キャラクターの商標登録って必要?現役弁理士がお答えします!
キャラクターを創作した時に、
権利はどのように守ればいいの?
商標を取るべき?
著作権で保護されているって聞くから、著作権だけで大丈夫?
など、権利に関して悩む人は少なくないかと思います。
キャラクターはどの範囲が商標で保護できるか、どの範囲が著作権で保護できるかをしっかり理解しておかないと、著作権でキャラクターについて主張できない場合は、何も打つ手がない。という最悪のケースも想定されます。
本記事では、キャラクター商標とは?や商標を取得するメリットについて簡単にご説明いたします。
ある程度理解をしたら、後は弁理士にお任せで大丈夫です。
キャラクターの商標登録なら、相場の約半額で商標が取得できる、原田国際特許商標事務所がおすすめです。
そもそも商標とは?
標とは、文字、図形、記号等の組み合わせとその文字、図形、記号等の組み合わせをどの商品に載せるか、どのサービスで使用するかで、商標権の範囲が確定されます。
つまり、「ドラえもん」という文字と、商品「おもちゃ」で出願し商標登録になった場合、商標権としての範囲が
- 「ドラえもん」×「おもちゃ」
で確定します。そうすると、商標出願をしていない会社(競合他社)は、商品「おもちゃ」について、商品名「ドラえもん」で販売や製造、展示、輸出、輸入等の商取引はできません。つまり、競合他社から見れば、商標権を取得されてしまうと、その文字を一定期間使用できない。というリスクが発生いたします。
他社の商標を侵害すると、
上記の例で、仮に競合他社が商品名「ドラえもん」という商品「おもちゃ」を販売した場合、商標権を侵害することになります。このような場合、商標権を保有する会社から(1)損害賠償(2)刑事罰(10年以下の懲役又は1000万以下の罰金)(3)使用差し止め等を要求されます。
キャラクター商標とは
キャラクター商標とは、簡単に言うと「キャラクターが使われている商標」と定義されます。キャラクターとは、広辞苑によると、①性格。人格。個性。キャラ。②小説・映画・演劇・漫画などの登場人物。その役柄。③文字。記号。を意味しますが、商標におけるキャラクターとは①又は②が該当します。
キャラクター商標は大別すると、以下の4種類にわけられます。
- (1)会社の案内標識(サインポスト)として使用されるキャラクター
- (2)商品に使用されるキャラクター
- (3)サービスで使用されるキャラクター
- (4)上記以外で使用されるキャラクター(例、地域キャラクター等)
キャラクター商標の具体例
(1)会社の案内標識として、虎の図形がキャラクター商標として登録されています。
この虎のキャラクターはタイガー魔法瓶株式会社のHPでも確認できます。この虎のキャラクターを見た消費者は、このキャラクターが水筒に使用されると、タイガー魔法瓶株式会社の商品だ。ということがわかります。
従って、タイガー魔法瓶株式会社としては、文字で社名を記載することで、消費者に対して認知してもらう事も可能ですが、虎のキャラクターをタイガー魔法瓶株式会社のキャラクターであるということを周知することで、商品にこの虎のキャラクターを付与するだけで会社名を認識してもらう役割を担います。
商標登録第3205623号
(2)商品で使用されるキャラクターとして使用される例を説明します。
「フェラーリ」という車好きなら憧れのイタリアの高級車のエンブレムに用いられています。この例も、上記(1)と同様に、商品名「フェラーリ」を文字で記載するのではなく、馬のキャラクタを表示することで、フェラーリということを消費者に知らしめる役割があります。
商標登録第1600638号
(3)サービスで使用されるキャラクターとして使用される例を説明します。
キリンの図形の横に「nanaco」と英語で記載されています。この例においても、文字で
「nanaco」とだけ記載したものを示して消費者に認知してもらうよりも、キリンの図形と「nanaco」の文字を記載した方が、消費者の記憶により残りやすいと思います。セブンイレブンのキリンといえば。「nanaco」を思い出す人は多いのではないでしょうか。
なお、なぜキリンにしたかというと、キリンの長い首が「7」という数字を想起させて、セブンイレブンのセブンと重なるからつけたらしいです。
参考 https://www.7andi.com/library/dbps_data/_template_/_res/ir/disclose/pdf/2006/0519_01.pdf
商標登録第5019516号
(4)上記以外で使用されるキャラクターとして使用される例を説明します。
彦根市が所有している「ひこにゃん」です。このひこにゃんは、彦根市がデザイナーさんにデザイン料を支払い、彦根市の地域経済の活性化のために、制作されたものです。指定商品は、「キーホルダー」「おもちゃ」等の色んな商品で取得されており、彦根市で購入できるグッズだと思われます。また、ひこにゃんの公式サイトまでありますので、彦根市の力の入れ具合がわかります。
参考 https://hikone-hikonyan.jp/
商標登録第5104692号
キャラクター商標の必要性
キャラクターは、漫画や絵本、ゲーム等に登場する人物や動物等で表現できる以外にも、会社の案内標識になったり、地方や地域のマスコットとして使用されたりと、様々な用途で使用が可能となります。
また、キャラクターを使用することで、文字のみでは決して表現できない部分を表現したり、文字とキャラクターが結合することで表現できる部分を表現したりすることができます。キャラクターによっては、消費者にとって、文字よりも印象に残りやすいという効果もあると思います。
そして、そのようなキャラクターのメリットを最大限にいかすために、キャラクターで商標を出願して、商標権を取得する。という必要性があります。
キャラクター商標のメリット
キャラクターの大部分が図形であることから、その図形をトレースしたりすることで、素人でも簡単に模倣することができます。模倣が容易ということは、それだけ類似品が流出しやすかったり、類似サービスが出回りやすかったりします。
キャラクターなので、著作権で保護できるのではお考えの方もいるとは思いますが、著作権では不十分な場合もありますので、説明いたします。
まず、一つ目として、著作権は相対的な権利なので、創作者同士が相手のキャラクターを模倣をせずに独自に創作したのであれば、同じキャラクターに対して著作権が2つ独立して存在することになります。つまり、先にキャラクターを考えた人が持っている著作権は、後で同じようなキャラクターを考えた人が持っている著作権に対して対抗することができません。つまり、同じようなキャラクターが流通してしまうことを防止できません。
商標権は、絶対的な権利なので、登録されてしまうと、独自にそのキャラクターを創作していようが、第三者の使用を排除することができます。
また、著作権は、著作者の死後70年後までしか存続しませんが、商標は登録料を納付している限り、半永久的に存続します。従って、ヒット商品のリバイバル等がある場合、著作権だと著作権法による保護を受けれない時期がありますが、商標権では特にそのような時期はありません。
キャラクター商標を取得するときのポイント
以下のポイントを記載いたします。
- ①色彩について
- ②ネーミングについて
- ③商品及びサービスについて
- ④立体商標について
①色彩について
キャラクターは色彩を与えることで、白黒で表現する場合と比較しても、消費者にとって、非常に印象に残ると思います。
つまり、同じキャラクターであったとしても、色彩が違う(色彩を変える)ことで、他人の商標と非類似(非侵害)と判断される場合があります。言い換えると、色彩が同じまたは似ていると、他人の商標と類似(侵害)と判断される場合があります。
色彩は、商標権の類似範囲に大きな影響を与えますので、色彩に独創性がある場合(通常は用いない配色など)は、色彩を付けた状態で図形商標を出願したほうが類似範囲が広くなるので、好ましいです。一方で、色彩がありふれた場合は、色彩を付与せずに(白黒)で商標出願を実施するようにしましょう。
②ネーミングについて
図形に限らず、その名称についても、商標権を取得することができますので、名称についても、他社の商標権を侵害していないかの調査を必ず行い、侵害していないのであれば、商標を出願するようにしましょう。
つまり、キャラクターは図形であるため、図形の商標のみ取得しておくと、後から第3者に文字を取得されて、文字だけそのキャラクターを使用できないというリスクを回避できます。
なお、キャラクターと文字を別々に申請すると、2件の商標出願の場合と比較すると、コストが高くなるため、キャラクターと文字を併せて1件で商標出願することも可能です。ただし、この1件の場合にすると、例えば、キャラクターのみを模倣されてしまう場合、文字がないという理由で商標としては非類似といわれる可能性もあるので、費用はかかりますが、別々で分けて出願したほうが良いと思います。
③商品及びサービスについて
キャラクターは、多様な商品であったり、サービスで用いられるため、現在実施している内容だけではなく、今後事業として実施の可能性が高い商品も商標出願の際に、申請しておいた方が好ましいと思われます。つまり、実施の可能性が高い内容まで商標を取得しておくことにより、類似商品や類似サービスの発生を防止することができます。
ただ、区分が異なると、費用がかかりますので、最初は事業として実施する商品のみ、サービスのみを申請しておくという方法も可能です。
④立体商標について
キャラクターが2次元ではなく、3次元として特徴があるのであれば、3次元で商標出願をすべきです。3次元で表現することで、よりキャラクターの細部を表現することもできますし、2次元では表示できない範囲まで商標権で保護することができます。
なお、立体商標については、別の記事をご参照ください。
(参考 https://tokkyo-lab.com/syouhyou/info-3d)
キャラクター商標の検索方法
j-platpatを使った調べ方
j-platpatでの調査方法を紹介します。
商標で図形等分類表を選択。
図形等分類表で対応する図を選択。
例えば、子供を図形化した内容を調べたい場合は、「3.1.6. 猫又はその他のネコ科の小型動物」を選択します。
これを選択すると、更に、細かく選択することができます。
例えば、子供の少女を選択したい場合は、「3.1.6.01 猫、山猫」を選択し、押下します。
押下すると、図形等分類の検索ウィンドウに「3.1.6.01」という数字が入力されますので、
この状態で、右側の商標検索にセットを押下します。
押下すると、画面が切り替わり、図形等分類という検索項目に、「3.1.6.01」というキーワードが入力されますので、この状態で、類似群コードや区分を入力して、調査することができます。
商標を取得したい場合
キャラクターの商標出願の流れ
キャラクターの商標出願は下記の流れで行います。
- (1)キャラクターの特定
- (2)登録する図形を決定
- (3)区分選び
- (4)出願
(1)キャラクターの特定
どのキャラクターで出願するのかを特定します。例えば、10種類のキャラクターがあった場合、全てを商標出願するのだと、費用や時間も勘案して現実的ではありません。一番人気があるキャラクターだけ等と選定した方が好ましいです。
(2)登録する図形を決定
キャラクターのみで出願するのか、文字も含めた状態で出願するのかを検討します。これは、商品に付す場合は、どちらなのか。と実際の使用用途で判断することが好ましいです。まずは、自社の商品やサービスを保護するために出願するという目的を忘れないようしましょう。
(3)区分選び
次に、どの商品やサービスで申請するかを検討します。こちらもあまり商品やサービスが多いとコストがかかりますし、不使用取消審判といって、実際に使用していない商品やサービスが取り消されるリスクがあります。よって、現時点や2~3年以内に事業として実施する商品やサービスから取得していく。でよいと思います。
(4)出願
実際に、キャラクターと商品、サービスを記載して出願します。
一般的な商標の流れはこちらで詳しく解説しています。
(参考 https://tokkyo-lab.com/syouhyou/info-flowmk)
費用
- 出願:3,400円+(区分数×8,600円)
- 登録:区分数×28,200円
がかかります。
また、特許事務所に依頼する場合は、事務所費用が別途かかります。
詳細は、以下のリンクをご参考ください。
(参考 https://tokkyo-lab.com/syouhyou/info-syouhyou)
まとめ
キャラクター商標については理解できたでしょうか。
キャラクターの商標を取得する際は
- どのキャラクターで登録するのか
- キャラクター名も併せて取得しているか
- キャラクターの用途は何か
- 区分はどうするか
- 立体でも取得しておくべきか
など考える必要があります。
キャラクターが使えない。若しくは、真似されたど何もできない。とならないように、積極的に、専門家である弁理士に相談しながら、キャラクター商標を取得していきましょう!
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ゲーム業界の知財部で10年以上勤務。日々、他社の知財を警戒しながら、自社の商品を守るため、奮闘中。 調査や出願、一通りの業務をこなしてきました。
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