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知っているようで知らない著作権!本当にあった著作権事件ファイル「鬼滅の刃ケーキ事件」-iPTimes.-

(この記事は、2022年8月20日に作成したものです。)

こんな方に向けた記事です。
☆著作権について知りたい
☆鬼滅の刃が好き

本記事のここがポイント!!

今回紹介するのは「鬼滅の刃ケーキ事件」です。
『鬼滅の刃』といえば社会現象にもなった大人気漫画のひとつ!筆者も映画を観に行きました!

大好きな鬼滅の刃のキャラクターが描かれたケーキ。特別な日にプレゼントされたら嬉しいですよね。そんな特別なケーキがじつは著作権を侵害していた、という事件が起こりました。

「こういうキャラクターケーキってよく見かけるんだけど、著作権違反なの…?」
と思われた方もいるかもしれません。
近所のお店などで日常的に見かけてしまうと、これが当たり前だとつい思ってしまいますよね。

まずは事件の流れから

年数出来事
2020年12月
(〜2021年3月)
・『鬼滅の刃』のキャラクターを描いたデコレーションケーキをSNSを通じて販売
 (当時のケーキの販売価格は1個13,000円〜15,000円)
2021年2月・アニメ制作会社の関係者からの相談を受け、警視庁が捜査を開始
2021年11月・30代自営業の女性が著作権違反の疑いで書類送検

知っておこう!著作権には「親告罪」と「非親告罪」がある

著作権違反による犯罪には「親告罪」「非親告罪」があります。これまで著作権侵害の多くは「親告罪」として知られていました。

親告罪を簡単にいうと、「著作権者のみが告訴でき、侵害者に対して罰則を課すこと。」

逆にいえば、「著作権者が何も言わなければ罰則は課されない」というのが親告罪なんですね。

ネット上にあふれる情報の中から、著作権者が自身の著作物侵害を全て把握するのは不可能に近く、よほど悪質でなければ著作権者も声をあげていません。

これが「黙認=問題ない」という誤解を生んでしまっているのが現状です。

しかし、2018年の法改正により著作権の一部が「非親告罪」になりました。

以下の内容をすべて満たすものが非親告罪にあたります。

  1. 対価を得る目的又は権利者の利益を害する目的があること
  2. 有償著作物等(※)について原作のまま譲渡・公衆送信又は複製を行うものであること
  3. 有償著作物等の提供・提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されること

(※)有償で公衆に提供又は提示されている著作物等

(参考:文化庁

具体的な例をあげると「海賊版」などが有名ですね。この法改正で、著作権者本人じゃなくても公訴ができるようになりました。

今回の「鬼滅の刃ケーキ事件」に当てはめると、

  1. 1個13,000〜15,000円で販売されていた  →  対価を得る目的
  2. 「鬼滅の刃」のキャラクターが描かれていた  →  著作物を複製
  3. 2021年6月までの2年間でおよそ400万円ほどの売上があった  →  権利者の利益が不当に害された

となります。

これらを重く見たアニメ制作会社の関係者が、署に相談をしたことをきっかけに捜査が始まったとみられています。

知らずに著作権を侵害してるかも

私たちも知らずに著作権を侵害している可能性があります。

たとえば、SNSのアイコンに好きなキャラクターを使ってみたケースはどうでしょうか?著作権を侵害しているでしょうか?

答えは「著作権侵害している」です。

この行為は「非親告罪」にならないだけであり、「親告罪」は適用されたままなんですね。

誤解されがちですが、元の著作物を加工したとしても、類似性が認められると著作権の侵害にあたる可能性があるので注意しましょう。

まとめ

著作権侵害の事例として「鬼滅の刃ケーキ事件」を紹介しました。

著作権侵害は決して他人事ではなく、「知らずに侵害してました…」という可能性を十分に秘めています。

今回の記事で、著作権への理解が少しでも深まっていただけたら嬉しいです。

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