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成功率は?商標の登録異議申立ての有効性を考えてみた-iPTimes.-

(この記事は、2022年11月4日に作成したものです。)

こんな方に向けた記事です。
☆企業の知財担当者の方
☆登録異議申立て制度を知らない方

本記事のここがポイント!!

「登録異議申立て」をご存じでしょうか?
登録異議申立ては、他の手続ほど多く発生しないので、知らない方もいるかもしれません。
今回は、登録異議申立て制度の概要や有効性を見ていきます。

登録異議申立て制度とは?

商標の登録異議申立てとは、特許庁が行った商標登録の判断に異議がある場合に、第三者がその登録の取消しを要求できる制度です。

商標登録がされるためには、出願した商標が特許庁の審査官に審査され、登録査定をもらう必要があります。

しかし、審査官も人間ですから、登録すべきではないのに判断を誤って登録してしまう可能性は否定できません。

そのため、登録異議申立てを認めることで、誤った判断で商標登録がされた場合に、特許庁へ登録の見直しを要求できるのです。

なお、この登録の見直しは、審査官よりさらにキャリアを積んだ「審判官」が担当します。

登録異議申立ての成功率は?

特許庁が発行する「特許行政年次報告書2022年版」によれば、2021年の登録異議申立ての成功率(取消決定率)は、なんと約5%と非常に低いです。

引用元:特許行政年次報告書2022年版

2021年が特別に低いのではなく、2020年は約13%、2019年は約12%と低水準なのです。

なぜ成功率がここまで低いのでしょうか?

登録異議申立てが成功すると、商標登録の取消しが決定します。

そして商標権者は、その決定に不服がある場合には「審決取消訴訟」を裁判所に提起できます。この訴訟の被告は、特許庁のトップである「特許庁長官」です。

そうすると、審判官としては「訴訟を起こされるくらいなら登録を維持したい」という心理が働きそうですね。

こういった背景が、登録異議申立ての成功率を低くしている1つの要因かもしれません。

少なくとも成功率で見れば、登録異議申立ては有効な手段!!とゴリ押しはできませんね。

情報提供を活用しよう!

情報提供(刊行物等提出書の手続)を知らない方は、以下の記事を参照してください。

◆その登録待った!刊行物等提出書ってどんな手続き?-iP Times.-

登録異議申立てと情報提供を費用で比較した場合、登録異議申立ては最低でも11,000円の特許庁費用がかかるのに対し、情報提供の特許庁費用は無料です。

次に期間で比較すると、登録異議申立ては商標登録後、約2か月以内に行わなければなりません。一方、情報提供は、商品カテゴリーによって異なるものの約2~4か月の準備期間を確保できます。

そうすると、まずはおトクな情報提供をして権利化の阻止を図り、阻止できければ登録異議申立てを検討するのが他人の商標をアタックする有効な手順かと思います。

登録異議申立てだけでは、心もとないですからね。

まとめ

登録異議申立ての成功率の低水準は、今後も変わらないかもしれません。

それを踏まえた上で、情報提供の制度を積極的に活用して、つぶすべき他人の商標の権利化を阻止しましょう!

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