重陽の節句に欠かせない「菊」にまつわる知財の話
9月9日は重陽の節句。
古来から長寿を祝う日ですが、そんな重陽の節句に欠かせないのが、なんと言っても菊の花です!
仏花や菊まつり、菊花展などで身近な存在でもある「菊の花」にまつわる面白い知財はあるのか?編集部が調べてみました。
ちなみにこの日に菊の花を使う理由は、重陽の節句の伝来元である中国の文化に関係しています。
古代中国では九が縁起の良い数字とされていて、そんな九が2つ重なる9月9日はとてもおめでたい日とされていました。そして菊の花には寿命を伸ばす力があると考えられていたため、重陽の節句に取り入れられていったそうです。
食用菊「里の悦び」
ひとくちに菊の花、といっても様々な品種があります。そのなかでもまず最初にご紹介するのは、食用菊です。
なかなか食用菊の品種を挙げられる人は少ないと思いますが、「もってのほか」という紫色の食用菊があります。この「もってのほか」を改良した品種に「里の悦び」があり、農林水産省に品種登録されていました。(出願番号10637。現在は育成者権が消滅済)
観賞用菊「夢の煌めき白」
正直、食用菊はあまり新品種の開発が盛んではありませんが、一方の観賞用菊はたくさんの新品種が開発され、品種登録をされています。
今回取り上げる「夢の煌めき白」(出願番号32605)は、花弁の先端に複数の突起がある、かがり弁という珍しいタイプの菊です。新雪がふわふわと積もったような、不思議な見た目が印象に残る品種です。
除虫菊から始まった、殺虫剤で有名なあの会社の名前は
除虫菊、という言葉をみなさん一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
昔の蚊取り線香の材料として有名な植物なのですが、「除虫菊」でJ-PlatPatを検索すると、意外な検索結果が商標の欄に表示されました。
殺虫剤で有名な「KINCHO」の様々なロゴがヒットしたのです。
詳細を調べたところ、金鳥は正式な社名を「大日本除虫菊株式会社」、登記上の表記を「大日本除蟲菊株式会社」としているそうです。(寡聞にして、編集部は今回初めてキンチョーの正式な社名を知りました)
知っている会社の意外な一面を知れるという意味でも、知財の調べ物は奥が深いものです。
「菊花」という商品名を商標登録しているパターンも
株式会社日本香堂ホールディングスという、お香の会社が「菊花」という言葉が含まれる商標を登録していました。
日本香堂さんは天正年間に創業した、とても歴史のある老舗のお香屋さんです。品質の高さや確かさのほか、「商品名の素敵さ」でも商品を売っている部分があるので、商標登録をしてしっかりとした保護を行っていると思われます。
◯菊花の香りで秋の訪れを◯
— お香・数珠 香源銀座本店 (@kohgen_ginza) October 22, 2019
本日は即位礼正殿の儀により祝日ですが、雨の冷たい一日になりそうですね。
日本香堂の大江戸香「長寿菊花」は、清涼でなめらかな菊の香りです。
お香は短く手軽なミニ寸サイズで、香立付きなので贈り物にも◎。#香源 #香り #お香 #銀座 pic.twitter.com/pdfr5HIJKH
【日本香堂の商品名 例】
- 桜の花衣
- 花街牡丹
- 秋錦(あきにしき)
- 冬響(ふゆひびき)
実際、こちらの商標の区分は第3類 で、指定商品も「 香料,薫料,せっけん類,歯磨き,化粧品」となっています。
まとめ
今回は「菊」という一風変わったテーマで身の回りの知的財産を紹介していきましたが、いかがだったでしょう。
私たちの身の回りには、普段意識していないだけで様々な知的財産に満ち溢れています。
知財タイムズでは「身近な知財」のようなサクッと読める記事もたくさんあるので、ぜひ色々見てみてくださいね。
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