有名なゲーム訴訟まとめ!ときメモから任天堂、ウマ娘ほか
みなさんはゲームが好きですか?
お気に入りのゲームには炎上もトラブルも、スマホゲーならサ終(サービス終了)もなく運営されてほしいものですが、なかなかそうはいかないのが現実です。
今回は数あるトラブルの中でも、「ゲームにまつわる訴訟」をテーマに事例を紹介していきたいと思います。
知名度の高いゲームはもちろん、重要判例となっている訴訟も多数取り上げているので、弁理士の方などにも参考にして頂ければと思います。
なおこの記事でどんな訴訟を紹介しているかは、ぜひ目次をご覧ください。紹介の順番は、提訴した年と決着がついた年を参考にしたおおまかな時系列順としています。また見出しの内容はどれも一審時の「原告 vs 被告(ゲーム名)」です。
目次
コナミ vs スペックコンピュータ(ときめきメモリアル)
恋愛シミュレーションゲームのなかでも有名な「ときめきメモリアル」。これを巡って、1996年にコナミがスペックコンピュータを、著作物の同一性保持権侵害を理由に提訴しています。
この事件は、第三者(スペックコンピュータ)がゲームの改変セーブデータのメモリーカードを販売したために起きました。メモリーカードを使うと主人公の能力値が変更でき、実質ゲームストーリーを改変できたのです。
この改変は著作物の同一性保持権の侵害にあたるか、が裁判では争われました。
第一審の大阪地裁ではスペックコンピュータの主張がほぼ認められましたが、控訴審の大阪高裁ではスペックコンピュータの権利侵害が認められ、コナミが勝訴しました。
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馬主 vs テクモ(ギャロップレーサー)
競馬ゲームの中には実在の競走馬の名前が使われている作品もありますが、それら有名競走馬の名前の権利を巡って事件が起きました。
テクモ(現:コーエーテクモゲームス)の「ギャロップレーサー」は、プレイヤーが騎手となって競走馬に乗るというゲームです。このゲームは実在の競走馬の名前を馬主の使用許諾なく使っていたため、パブリシティ権の侵害を理由に馬主たちがテクモを訴えました。
パブリシティ権とは「顧客吸引力を有し、経済的な利益を与えるものであり、それを支配する権利」です。もっと簡単に言うと、有名人の名前や写真にある”使うとモノが売れる力”を守るための権利、です。
第一審の名古屋地裁、控訴審の名古屋高裁ではテクモの権利侵害が認められました。しかし2004年に最高裁で言い渡された判決ではテクモの権利侵害は認められず、馬主たちが敗訴する形で終結しました。
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アスキーのダービースタリオンも訴えられた
別の競馬ゲーム・ダービースタリオン(通称ダビスタ)も実在の競走馬の名前を使っているため、馬主たちは訴訟を起こしました。
ちなみにダビスタは競走馬を育てる育成シミュレーションゲームで、ギャロップレーサーとは若干ゲーム内容が違います。
東京地裁も東京高裁も、ダビスタの権利侵害は認めなかったため、こちらも馬主たちの敗訴という形で決着しています。
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GREE 対 DeNA(釣り★スタ と 釣りゲータウン2)
こちらはゲームの著作権が取り上げられるとき、よく話題に出る訴訟事件です。
本訴訟はGREE(提供ゲーム:釣り★スタ)がDeNA(提供ゲーム:釣りゲータウン2)を提訴したことに端を発します。
第一審の判決は2011年11月に東京地裁で、控訴審の判決は2012年8月に知財高裁で言い渡されました。
地裁ではDeNAの著作権侵害が認められ賠償金支払い等が命じられましたが、高裁ではDeNAの著作権侵害は認められず、GREEの逆転敗訴という結果になりました。
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カプコン vs コーエーテクモ(無双シリーズ他)
ゲームにまつわる知的財産は著作権だけではありません。もちろんゲームに関わる特許権もあり、特許権侵害をめぐった裁判も起きています。
今回紹介するのは、カプコンの保有している特許権2件を、コーエーテクモの製作販売しているゲームが侵害しているとして2014年に提訴された事件です。
地裁では2つの特許権のうち、ひとつは「無効理由がある」とし特許権の行使を認めず、もう一方の権利のみを「間接侵害にあたる」と認定し、損害賠償請求を認めました。
その後コーエーテクモは知財高裁に控訴します。知財高裁ではまずひとつめの特許に対し「無効理由はない(特許権の行使は可能)」と認め、更に2件とも「間接侵害にあたる」としました。
最終的に最高裁への上告は棄却されたので、この一件はカプコンの勝利という形で幕を閉じました。
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GREE 対 Supercell(クラッシュオブクラン他)
ここまでは日本国内の訴訟を紹介しましたが、世界的に有名なゲームを巡っての訴訟も、もちろん起きています。
2017年、GREEはSupercellを特許侵害の疑いで提訴しました。
Supercellはクラッシュオブクランなどの人気ゲームを出している企業です。そしてこの訴訟の影響で、一時期クラッシュオブクランはゲーム機能の一部が制限されたため、一般ユーザーからも注目を集めていました。
訴訟はまず日本で起き、次いでアメリカでも提訴することとなります。
最終的には日本と米国、どちらの訴訟も和解することで終結を迎えました。
特に日本での訴訟はライセンスを締結したことがGREEから発表されているので、SupercellからGREEにライセンス料の支払いがあったことが予想されます。
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PUBG Corp. 対 NetEase, Inc.(PUBG と 荒野行動)
バトロワゲームの代表格とも言える「PUBG」と「荒野行動」、実はリアルの法廷で争いを繰り広げたことがあるんです。
事の起こりは2018年4月。「PUBG」を配信しているPUBG Corp.が、「荒野行動」を配信しているNetEase, Inc.に対して、著作権侵害や不正競争に基づく差止請求、廃棄請求、損害賠償請求をしました。
事前にライセンス交渉といった調整をしていたそうですが、上手くいかず、裁判へと発展したそうです。
本件は2019年に和解という形で終了しました。ただし和解内容は不明なので、実質どちらが勝った形なのかも判明していません。
実際のところ、本件が著作権侵害にあたるのか?はこちらの記事で解説しています。
ゲーム画面やゲームシステムにおける著作権侵害訴訟の事例 「PUBG」と「荒野行動」の訴訟
任天堂 vs マリカー(マリオカート)
任天堂の代表作のひとつであるマリオカート、通称マリカーを巡っての訴訟が起きたことがあります。
これは公道カートの利用者に対しマリオ、クッパなどのコスチュームを貸し出すなどしていた企業「マリカー(現 MARIモビリティ開発)」が訴えられたという事件です。
2018年に判決の出た第一審(東京地方裁判所)は任天堂の訴えを一部認め、賠償金の支払いと営業差止を命じました。
その後に起きた第二審(知的財産高等裁判所)では、2019年に判決が言い渡されました。控訴審では任天堂側の主張がほぼ全面的に認められ、5,000万円の賠償金支払いがMARIモビリティ開発に命じられました。
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任天堂 vs コロプラ(白猫プロジェクト)
ゲーム訴訟で絶対に名前のあがる事件と言えば、任天堂の特許をコロプラのゲーム(白猫プロジェクト)が侵害しているとして起きた裁判でしょう。
提訴が起きたのは2018年ですが、その前の2016年から任天堂は特許訂正や侵害指摘といった準備を進めていました。
紆余曲折ありましたが、最終的には2021年、コロプラが和解金33億円を支払うことで決着を迎えます。
任天堂・コロプラの訴訟が和解金33億で決着!内容や経緯を図解でわかりやすく解説
任天堂の法務部
余談ですが、任天堂×知財訴訟と聞くと「任天堂法務部最強説」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
実際、任天堂は多くの訴訟を扱っており、高い確率で勝ち星をあげています。
このあと紹介するウマ娘訴訟の際も、ネット上では「コナミも任天堂相手なら訴訟を起こさなかったんじゃないか」との声が上がっていましたらから、任天堂=訴訟に強いというイメージが定着していることが見て取れます。
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コナミ 対 Cygames(ウマ娘)
ギャロップレーサーやダービースタリオンに次いで、ウマ娘も提訴される事態となりました。
2023年、ウマ娘がコナミの保有している特許を侵害しているとしてコナミがCygamesを訴えます。事前に両者の間で交渉があったそうですが失敗し、訴訟へと至っています。
本件はまだ裁判が始まったばかりで、どんな結果になるのかはまだ不透明です。
2023年6月時点でわかっていることをまとめた記事があるので、詳細はこちらをご覧ください。
「ウマ娘」ゲーム訴訟の行方を占う。今わかっている経緯とこれからの予想
任天堂・ポケモン社 vs ポケットペア(パルワールド)
一番最近のゲーム訴訟のなかで話題になったものと言えば、Palworldの一件です。
2024年9月に任天堂と株式会社ポケモンが、”Palworldは複数の特許権を侵害している”として開発・提供元であるポケットペアを提訴しました。
Palworldは2024年1月に発売されたゲームで、リリース当初からキャラクターや世界観などがポケモンに似ていることでも話題になった作品です。
なお9月に訴訟が提起されるまで、ほぼすべての記事・ニュースは「ポケモンキャラを盗用(著作権侵害)をしているか?」といった感じで著作権にスポットを当てていました。ですが訴訟自体は著作権と別の、”特許権侵害”を理由に起こされています。
2024年9月時点で分かっていることについては、こちらの記事にまとめています。
まとめ
有名なゲーム訴訟・重要な判例となっているゲーム訴訟を紹介してきましたが、みなさんはこの一覧を見てどんなことを思いましたか?
今回は「ゲーム訴訟」というテーマで事例を紹介しましたが、私たちの身の回りには著作権をはじめ、特許、商標、意匠など様々な知的財産(無形資産)があふれています。
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