ゲーム判例シリーズ(2)〜ときめきメモリアル事件編〜-iP Times.-
(この記事は、2022年3月18日に商標専門弁理士が作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆弁理士受験生や法学部などで知的財産法を勉強中の方へ
☆気になる判例をチェックしている方へ
☆ゲーム界隈で少しだけ判例に詳しい人になりたい方へ
本記事のここがポイント!!
著作権についての意外な盲点。同一性保持権を解説します!
ときめきメモリアル事件とは?
ゲームに関連する争いをシリーズでお伝えしているゲーム判例シリーズ第二弾!
今回は、恋愛シミュレーションゲームのときめきメモリアルに関する事件をお伝えします!
なお、初学者の方は、まずは以下の記事を読んでいただくと一層理解が深まると思いますよ!
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殺風景な法律判例を勉強している中で、キラキラと輝く「ときめきメモリアル事件」というなんともポップな事件名に学生時代に出くわしました。初めて見たときの衝撃と言ったら……
しかし、本事件は著作権に関する重要判例という立ち位置のものですので、しっかり学んでいきましょう!
カンタンにまとめると
- どんな問題だった?→他人が勝手にゲームの内容を変えてしまった!
- 何に対しての問題?→著作物の同一性保持権について
- 結論を一言でいうと?→ゲームの内容を勝手に変えた場合、著作権侵害である。
著作者とは全く関係のない第三者がこのゲームで使用するメモリーカードを販売していました。そのメモリーカードを使用すると、主人公に与えられる各種能力パラメータが変更でき、実質ゲームストーリーを変更して遊べるというものです。そうであれば、著作物の同一性保持権を侵害しているのでは?という点が争われました。
著作物の同一性保持権とは?
こちらは、著作物の内容を勝手に変えられない権利です。
著作権というと、どうしても財産権(複製権や頒布権)の方が世の中的にはよく知られていますよね。
しかし、それだけでなく、著作者人格権というものが権利としてあります。
公表すること自体などを著作者が決定できる権利(公表権)、著作物について氏名を表示することを要求できる権利(氏名表示権)、そして今回の同一性保持権です。
外付けのメモリーカードとはいえ、ゲーム自体の内容を勝手に変えてしまった点が同一性保持権を侵害しているとはっきりと認定された訳ですね。
確かに、その音楽・映画、もちろんゲームも一生その著作物の作者だということは良くも悪くもついて回るわけです。そんな状況で、勝手に作品を変えられたら、著作者としてはたまったものではありません。
また、著作者の心情にも配慮が必要ですよね。
よく耳にしませんか?
「作品は自分の分身なんです」
と。
それを勝手に変えられるというのは、もしかすると、世間からの評価よりも辛いものなのかもしれません。
よって、著作物を勝手に変えるな!ということを権利として保護しているのです。
まとめ
著作権については、「人格権」も考慮に入れなければならないことを覚えておこう!
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