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台湾 2022年度版専利審査基準の改訂内容の紹介及び対応策

(2022年6月29日 発行)
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台湾特許庁は専利審査基準第二編第3章、第6章、第7章、第8章、第9章及び第14章の改訂内容を公表し、当改訂内容は2022年7月1日に施行されると発表した 1。今回の改訂では、特許における特実同日出願に関する審査原則、「除くクレーム(disclaimer)」とする補正、誤記の訂正、訂正、及び微生物寄託の証明書面等について変更がなされている。以下に今回の改訂内容のポイント及びこれに対する対応策を紹介する。

一.特実同日出願の審査における注意事項について

専利審査基準第二編第3章「特許要件」の第2-3-41頁においては、特実同日出願の審査における注意事項として下記2点が追加された。

  1. 特実同日出願について、特許出願の審査中、実用新案権について無効審決が下されたがまだ確定していない場合、原則として、実用新案権について行政救済で判決が確定してから、当該特許出願の審査を続行しなければならない。但し、各案件の状況や事情変更により、審査官は実用新案権についての無効証拠を参酌した後、特許出願の審査を行うことができる。
  2. さらに、特許出願において特許査定が下されてから公告までの間に、実用新案権について無効審決が下されたがまだ確定していない場合、特許と実用新案の審査結果は一致すべきであることから、審査官は自ら特許出願の特許査定を取消し、前記原則に従い改めて審査を行わなければならない。

二. 「除くクレーム(disclaimer)」とする補正・訂正について

台湾特許庁が2021年7月14日に公表した改訂版專利審査基準では、「除くクレーム」とする補正は、出願に係る発明について新規性欠如の引用文献、拡大先願の引用文献又は先願主義を満たさない証拠としての引用文献を克服するための場合に限られる、と規定されている。今回の改訂版専利審査基準の第6章「補正」においては、「出願人が拒絶理由通知書が出される前に自発的に請求項について先行技術と重なった部分を除外する消極的表現方式の補正を行う時、除外事項が出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面で開示されていないものである場合、除外しようとする先行技術文献を提出し理由を説明しなければならない。提出しなかった場合、新規事項の追加と見なされる。」と更に規定されている。

また、今回の改訂版審査基準の第9章「訂正」においても、上記規定と類似する規定が追加された。具体的には次のように規定された。

消極的表現方式による請求項の訂正は、出願に係る発明について新規性欠如の引用文献、拡大先願の引用文献又は先願主義を満たさない証拠としての引用文献を克服するための場合に限られる。また、特許権者が請求項について先行技術と重なった部分を除外する消極的表現方式の訂正を行う時、除外事項が出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面で開示されていないものである場合、除外しようとする先行技術文献を提出し理由を説明しなければならない。提出しなかった場合、新規事項の追加と見なされる。

三. 誤記の訂正について

改訂版専利審査基準第二編第7章「拒絶理由通知及び査定」の第2-7-6頁においては、次の誤記の訂正の態様が追加された。

  1. 図面における図面番号、符号及び容認される必要な文字注記と明細書に記載されているものとが明らかに一致しないこと、又は、各図面同士の間で明らかに一致せず誤って描かれていること等。
  2. 技術的性質の誤記。例えば、特許出願人が明細書又は特許請求の範囲に記載されている化学式又は数式について訂正を請求する場合、当業者が出願時の通常知識により元記載内容は明らかな過失又は誤りであり、且つこのような訂正以外の他の訂正方法は存在しないと判断する場合、その訂正は誤記の訂正と見なすことができる。

四. 微生物寄託の証明書面について

改訂版専利審査基準第二編第14章「生物関連発明」の4.2.4「寄託に関する注意事項」においては、次の規定が追加された。

出願人が、台湾と寄託の効力を相互承認する国が指定する当該国の国内寄託機関に寄託している場合、証明書面がブダペスト条約の締約国により承認された国際寄託機関が発行したものでない場合、当該証明書面は当該寄託した微生物の生存を証明できるか否かに留意しなければならない。証明できない場合、出願人に出願日から4ヶ月以内(優先権の主張があった場合、最先の優先日から16ヶ月以内)に生存証明を追加提出するよう通知しなければならない。期限内に提出しなかった場合、寄託していないと見なされる。

また、期限内に生存証明が提出されなかった特許出願に対し、実体審査では拒絶理由通知書で上記理由を明記し、上記理由により実施可能要件を満たさない事情を指摘し、答弁の機会を与えなければ、拒絶査定を下すことができない。

弊所コメント

上述の通り、今回の改訂版審査基準では多くの章について変更が加えられている。特に「除くクレーム」とする補正、特実同日出願及び微生物寄託の証明書面について比較的厳格な規定が追加されている。よって、改訂内容には十分留意する必要がある。弊所としても、引き続き台湾特許庁の動向を見つめて、改訂の進捗を即時的に更新する。

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