「カルビーの」といえば?な商標が出願された話-iPTimes.-
(この記事は、2023年6月5日に作成したものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆お菓子が好きな方へ
☆面白い商標出願に興味がある方へ
本記事のここがポイント!!
突然ですが「カルビーの〜」と聞くと、次に何が続くと思いますか?テレビCMでも有名かと思います。
今回はこの先日出願されたこの商標について詳しく見ていきましょう。
どんな出願?
今回出願されたのはこちらです。
こちらのTwitterアカウントは、最近出願された商標を呟いて教えてくれるアカウントです。このつぶやきに対して100件近くの「いいね」がつけられていました。また「今更」や「湖池屋はどうなるの」と言ったコメントも寄せられていました。
「カルビー」の「ポテトチップス」といえば、こちらのCM動画の最後に出てくる「カルビーの〜ポテトチップス」という歌はとても有名ですよね。
出願意図は?どんな時に権利侵害となる?
それにしても、「ポテトチップス」は一般的な語ですし、カルビーさんもかなり昔から「ポテトチップス」を販売しているのに何故この語を出願することにしたのでしょうか。
出願意図を知るためには、この商標の出願時に選択された出願区分や指定商品等を知ることが重要です。これらは、出願人がどんな商品やサービスでこのネーミング等を使いたくて出願したのかを知る手掛かりとなります。
今回の商標の出願区分と指定商品・指定役務は、第9類(電子出版物), 16類(雑誌,印刷物,書画,写真)です。
ポテチそのものではなく、出版物として「ポテトチップス」の語を使いたいということかなと思われます。
では、第三者が電子書籍や紙の書籍のタイトルの一部に「ポテトチップス」を入れたら権利侵害になるのでしょうか?例えば『ポテトチップスの歴史』というタイトルなどは、どうですか。
商標権は類似していても権利侵害と言われる可能性があります。
誤認混同(これもカルビーさんの商品かなと勘違いすること)のおそれがあるか?がポイントとなります。
類似しているかどうかの判断は、商標の見た目(外観)、商標を読んだときの音の感覚(呼称)、イメージ(観念)の3観点から判断されます。詳しくはこちらをご覧ください。
ケースバイケースということですね。
ほかには、カルビーさんと競合する湖池屋さんが自身のHPで「ポテトチップス」の語を使っていますが、本出願が権利化した際には権利侵害になるでしょうか?
それは問題ないと思われます。指定商品・役務も異なっていますね。
それに、この出願より先に湖池屋さんがサイトに掲載していたと思われます。もしこれが権利侵害!な場合は、むしろカルビーさんの出願が登録されることはないでしょう。
カルビーの他の出願も見てみよう!
今回の出願とは別に「カルビーのポテトチップス」という歌も「音商標」として出願されていたりしないのかな、と気になりませんか?特許庁の検索サイトJ-platpatで出願人の他の出願についても調べてみましたよ。
結果、この歌は見つけることができませんでしたが、カルビーさんの他の有名な2曲が登録されていることがわかりました。
なお、それぞれ楽譜下のリンク先の公報に飛び、「音声再生」というボタンを押すと登録されている音声も聞くことができます。
まずひとつ目はこちらです。どこかで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これもCMでよく聞きますよね!和音なんですね。
この音商標は、2016年12月22日に登録されています。
続いては、今年パッケージがリニューアルされた、こちらのロングセラー商品の音商標です。これも一度は聞いたことのある曲なはずです。
「かっぱえびせん」の有名な広告の曲ですね。こちらは2016年10月7日に登録されています。
かなりたくさんの楽器を使って演奏できるようになっていたことに驚きました!
さらにさらに!商標出願以外にも意外なものが意匠登録されているのを見つけました。
手を汚さずポテチを食べられて、便利なトングですよね!
我が家では、子供がまだ上手に普通の箸を扱えないのですが、ポテチ用トングを箸の代わりにしてご飯を食べていました…。
また、こちらの部分意匠も登録されていましたよ。
トングの引っかかるクリップの部分がポイントということですね。
公報にはこのクリップで「開封した菓子の包装袋を閉じることができる」とも書いてありました。
なお、これらの意匠は出願後に新規性の喪失の例外証明書提出書が提出されていました。
新規性喪失の例外と言えば、知財をテーマにしたドラマ「それってパクリじゃないですか?」でも話題になっていましたね。
こちらの「それパク」第6話の解説記事に、新規性喪失の例外についてわかりやすく記載されています。是非ご覧ください。
まとめ
今回紹介した商標は出願されたばかりで、その登録の可否についての審査はまだ始まっていないようです。
今後、この出願が登録になったかどうか知りたい方はJ-platpatをこまめにチェックしてみると良いかもしれません。
特許事務所で6年間勤務。明細書作成や中間処理に従事。翻訳の仕事も請け負ってきました。元々はデザイン系専攻でして、図面を作成するのが一番楽しい時間です。現在はフリーで活動中。
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