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システム特許の取り方と事例紹介!企業知財部が解説します!

システム特許

IT関連の特許は新しい分野であるため、難しいという先入観を持ってしまいがちです。

「システム特許、ソフトウェア特許、ビジネスモデル特許など色々な呼び方があるけど何が違うの?」、「最近の特許動向を知りたいけど特許の審査は複雑で難しそう」などと疑問に思うことがあっても気軽に聞ける専門家も周りにおらず、あいまいな理解となっていませんか?

今回は、ソフトウェア特許やビジネスモデル特許と比較しながらシステム特許について解説します。

<この記事でわかること>
・システム特許とは
・特許登録しやすいクレームの書き方
・権利行使しやすいクレームの書き方

(執筆:知財部の小倉さん

システム特許とは

システム特許とは、「複数の要素が関係し合い、全体としてある機能を発揮するもの」を特許出願したものです。特許出願書類では、発明の名称や請求項で「~システム」という名前が付いています。

システム特許の具体例

システム特許複数の要素が関係し合っていればよいので、意味を広くとらえればソフトウェアである必要はありません。例えば、以下のような構造と電子回路の組み合わせもシステム特許です。

【請求項6】
 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の接続構造を有する電子回路システムであって、
 柔軟性を有する第1の基体に実装され前記第1の導電端子に接続する第1の電子回路と、
 柔軟性を有する第2の基体に実装され前記第2の導電端子に接続する第2の電子回路
 を有することを特徴とする電子回路システム

 →参考:特開2019-053973(J-PlatPat)

実際には、ソフトウェアがハードウェアに組み込まれて1つのシステムを構成していることが多いです。例えば、以下のようなサーバと車両との組み合わせです。

【請求項1】
 車両に搭載される複数の機器の情報を、前記車両の外部にあるサーバに収集する車両情報収集システムであって、
 前記複数の機器からの情報を取得する取得部と、
 前記複数の機器からの情報を、前記情報の変更頻度に応じて分類して記憶する記憶部と、
 前記変更頻度の高い順から、前記情報を前記サーバに送信する送信部と、を備え、
 前記取得部、前記記憶部、および前記送信部は、前記車両に搭載される、車両情報収集システム

 →参考:特開2021-060843(J-PlatPat)

ここで、サーバが車両情報を収集したり、車両内の記憶部(コンピュータの一部)が情報の送信する順番を決めたりする機能はソフトウェアによって実現されます。

ソフトウェア特許との違いは?

システムや機器を動かすためのプログラムの発明を特許出願したものが、ソフトウェア特許です。システム特許の特徴がソフトウェアとハードウェアの連携であるのに対し、ソフトウェア特許はその処理内容に特徴があります

ソフトウェア(プログラム)特許は、例えば以下のようなものです。ソフトウェア(プログラム)特許は、例えば以下のようなものです。

【請求項5】
 コンピュータに、
 Webサービスを利用するための第1資格情報を取得するための第2資格情報であってユーザが認証されたことを示す第2資格情報を取得するためのユーザ認証を管理装置に要求させ、
 前記管理装置にてユーザ認証が成功した場合に前記管理装置から送信される第2資格情報を受信させ、
 受信した第2資格情報を認証サーバに送信させ、
 第2資格情報の送信に応じて前記認証サーバから送信される第1資格情報を受信させ、
 受信した第1資格情報を用いて前記Webサービスを利用させる、 プログラム

 →参考:特開2021-060924(J-PlatPat)

ビジネスモデル特許との違いは?

ビジネスモデルとシステムは非常に似ており、システムはビジネスモデルよりも広い概念という関係です。会社が提供するサービス(システム)のうち、マネタイズに重要な部分を発明として出願したものがビジネスモデル特許です。

例えば、以下はいきなりステーキの例です。

【請求項1】
 お客様を立食形式のテーブルに案内するステップと、お客様からステーキの量を伺うステップと、伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップと、カットした肉を焼くステップと、焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップとを含むステーキの提供方法を実施するステーキの提供システムであって、上記お客様を案内したテーブル番号が記載された札と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機と、上記お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印しとを備え、上記計量機が計量した肉の量と上記札に記載されたテーブル番号を記載したシールを出力することと、上記印しが上記計量機が出力した肉の量とテーブル番号が記載されたシールであることを特徴とする、ステーキの提供システム。

 →参考:特許5946491(J-PlatPat) 

ビジネスモデル特許の効果は、以下のようにお店のウリに繋がる内容となります。

  • 接客スタッフ等は、どのテーブルのお客様がどのような注文をされたかを把握できる。
  • 量のみが異なる肉が多く厨房等に並ぶことがあっても、それを区別して取り扱うことができる。

審査基準におけるシステム特許

ソフトウェアやシステムの発明は特許出願後、どのように審査されるのでしょうか?特許庁の審査基準の中にも「コンピュータソフトウエアを利用するものの審査に当たっての留意事項」という項目が追加されていますので確認していきましょう。

システム特許は物の発明

特許法上、発明は3つに分類されます。物の発明、方法の発明、物を生産する方法の発明です。プログラムは物の発明に分類されますので、ソフトウェア特許は物の発明に分類されます。また、プログラムと装置の組み合わせであるシステム特許、ビジネスモデル特許も物の発明に分類されます。

審査基準にも以下のように記載されています。

  • 「方式」又は「システム」(例:電話方式)は、「物」のカテゴリーを意味 する用語として扱う。

発明と判断されない場合もある

自分ではシステムと記載したつもりでも、全体として発明と判断されない場合があります。

【発明と判断されない例1】
 遊戯者ごとに n×n 個(n は 3 以上の奇数)の数字が書かれたカードを配付し、各遊戯者が自己のカードに、コンピュータによる抽選で選択された数字があればチェックを行い、縦、横、斜めのいずれか一列の数字について、いち早くチェックを行った遊戯者を勝者とする遊戯方法

コンピュータを使っていますが、全体としてはゲームのルールを書いているだけです。それでは技術的思想とは言えず、ただの取り決めになってしまいます。

【発明と判断されない例2】
 デジタルカメラで撮影された画像データ

これもデジタルカメラでの撮影が自動でされていたとしても、画像データ自体は発明にはなりません。

システム特許侵害の事例

今までの事例を通じて、システム特許はソフトウェアとハードウェアの複合体であることが分かりました。ただ、特許侵害を立証するには訴える相手がクレームの内容をすべて実施していることを証明しなければなりません。システム特許の侵害立証の難しさを解説します。

誰が特許権を侵害する?

例えば、車両とサーバの間で通信するシステムの特許があったとします。

【侵害事例1】
サーバ側での要件、車両(ユーザ)側での要件をすべて満たす必要があります。片方を訴えようとしても「自分はあなたの特許の一部しか実施していません」と逃げられるでしょう。

【侵害事例2】
また、サーバが外国にある場合、特許権が日本にしかないとどうすればよいのでしょうか?そもそも外国には日本の特許権は効力が及びません。

裁判例をチェックしよう

システム特許に関する特許侵害訴訟は既に発生しているので、過去の裁判例の内容から学ぶことで自社の特許に反映していくことが重要です。ここでは特に重要な裁判例を紹介します。

【裁判例1】電着画像事件(東京地裁H13.9.20)
被告製品の製造工程では特許権の途中までを実施し、最終段階を完全に実施していなかったというものです。しかし、被告製品の購入者は必然的にその最終段階を実施することになっていました。被告は被告製品の購入者を道具として実施しているという考え方(道具理論)により、特許権の侵害が認められました。

【裁判例2】一太郎事件(知財高裁大合議H17.9.30)
ワープロソフト「一太郎」をインストールしたパソコンが特許権を侵害するもので、インストール用のディスクはこのパソコンを生産するために用いるもので、課題の解決に不可欠のものと判断されました。その結果、パソコンの特許権の間接侵害が認められました。

クレーム書き方の注意点

システム特許を登録させるためには審査基準に対応したクレームとし、権利活用するためには裁判例を参考にしたクレームとする必要があります。

審査基準に対応させる

システムの特許はソフトウェアとハードウェアの組み合わせに新規性や進歩性があると思いますので、その部分を意識するとよいです。例えば、ソフトウェアで処理した結果によってハードウェアの動作が変化するという制御の要素が入っていれば発明と言えるでしょう。


ゲームのルールやお店のサービス内容などは自然法則を利用していないと見られ、発明と認定されない場合があります。一部分だけでなく、発明全体として自然法則を利用した技術的思想となるように見直しましょう。

裁判例を参考にする

侵害立証を容易にするために、システムの発明だけでなく、システムに使われる装置やプログラムの発明もクレームに入れておくとよいでしょう。また、プログラムの発明を方法の発明として捉えなおすこともできると思いますので、権利行使のパターンを増やすために多面的にクレームを作りましょう。

処理結果など外部から観測可能な構成をクレームに入れるようにしましょう。内部処理の内容は外部から観測できないので侵害立証が困難となりますし、自社のノウハウが含まれる部分になります。侵害立証容易とノウハウ流出防止の両面から内部処理は構成に入れないようにしましょう。

また、日本だけでなく外国にもサーバやユーザがいるのであれば、外国出願を検討する必要があります。ただし、サーバは移設しやすいので、自社の主要な市場のみで権利化していくという割り切り方もあります。

裁判例の最新動向はチェックするようにして、侵害立証しやすいクレームの考え方を常にアップデートするようにしましょう。専門家から定期的にレクチャーを受けるようにしてもよいと思います。

まとめ

今回は、システム特許の基本的な考え方を具体例を通じて解説しました。

ソフトウェアは目に見えないために侵害立証が困難などの難しさがありますが、システムはさらにハードウェアとの組み合わせで特許侵害が複雑化します。権利行使をし易い権利を取るためには、審査基準だけでなく裁判例の動向をチェックして実務に反映しましょう。

また、日本だけでなく中国の企業もソフトウェアやシステム関連の特許を毎年数万件と出願しています。新事業のアイデアをお持ちなら急いで出願しましょう。

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