「iPhone」と「アイホン」商標の関係!驚きのライセンス料は?
(この記事は2022年2月1日に作成されたものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆「iPhone」と「アイホン」の商標の関係を知りたい方へ
☆商標権の財産的な活用を知りたい方へ
いまや大人から子供まで、ほとんどの人が持ち歩いているであろうスマートフォン。
その筆頭商品は、やはりアップルの「iPhone」ではないでしょうか。
しかし、そのシンプルな名前ゆえに、日本上陸時には商標の問題も孕んでいたことが確認できました。その問題について、アップルインコーポレイテッドはどのように解決をしたのか?商標専門の弁理士が解説します。
「iPhone」の日本における商標権者は?
唐突ですが、「iPhone」に関する日本での商標権者はどの会社でしょうか?
もちろんアップルインコーポレイテッド(以下、「アップル」)もそのうちの一つですが、実は、アップルと全く関係のない日本の会社も商標「iPhone」の権利者です。
その会社の名は、アイホン株式会社。
愛知県を本社に置く会社であり電気機器メーカーです。(https://www.aiphone.co.jp/)
そして、この会社、実は商標の業界では結構有名です。
というのも、この「iPhone」の権利を持っており、アップルからライセンス料(それもかなり高額)を得ていることはほぼ周知の事実であるためです。私が弁理士としてクライアント様とご相談する際にも、よく例示として使わせていただいています。
では、なぜこの会社がアップルと関係しているのか?
初代「iPhone」は2007年6月頃に販売が開始されました。アップルは「iPhone」を日本で展開する際に、当然日本でも商標登録をしようと考えていたと思います。そんなとき既に「アイホン」や「AIPHONE」の商標が一番欲しい電話機などの電子端末の商品で商標登録されていたという現実にぶち当たります。
さて、困った。
著名企業であるため一層権利の侵害は避けなければならない。そこで、アップルは専用使用権という権利を設定して、「iPhone」を日本で使用し続ける権利を確保したということになります。
専用使用権って何?
では、その専用使用権とはどのような権利でしょうか?
これは、通常の商標の使用許可よりも、強力なバージョンの使用権とお考えください。
普通のバージョンは、通常使用権といって、「商標権者である私は、あなたにこの商標を使用させてあげますよ。その代わりライセンス料を頂きますね。ちなみに私もこの商標を使うかもしれないのでよろしくお願いしますね。」というものです。つまり、通常使用権の場合、商標権者の使用を妨げられません。
しかし専用使用権は違います。
商標権者であっても、設定した範囲内(地域・期間など)では商標の使用はできず、使用すると専用使用権の侵害となる、権利者にとっても非常に使用の制限が課されるものなのです。言い換えると、一定範囲では商標権者よりも専用使用権の方が強い、そんな逆転現象が起きることもあるということになります。
アイホン株式会社がそんな強力な権利をアップルに認めた理由としてはいくつか考えられますが、一番はアップル側の強い要望というのが濃厚でしょう。
もし、「通常使用権」でアップルに使用権を認めた場合には、基本的にはアイホン株式会社もその「iPhone」などの商標を使用できてしまいます。アップルとしては自社が作った商品だけを「iPhone」として売り出したい、そんな考えでいたはずです。
よって、この強力な「専用使用権」という権利にて使用許諾を受け、その分多めにライセンス料を払うことを条件にしたと思います。
ライセンス料は◯億円!?
アップルからアイホン株式会社に払われる驚愕の金額!
そんな強力な権利である専用使用権。
アイホン株式会社としてはライセンス料はかなり多くもらいたいと考えるのが自然な感覚かと思います。なぜなら、アイホン株式会社はその商標を一定範囲内では使えないのだから。では、その正確な額はいくらなのか?残念ながら、「iPhone」のライセンス料という形での正確な額は公開されていないようです。
しかし、私はあきらめない。
何らかの根拠を求めたい私。アイホン株式会社のHPにて何か資料となるものはないかと色々探してみると。。。
ありました!!有意義な資料が!
(引用:アイホン株式会社 決算情報ページより https://www.aiphone.co.jp/ir/docs/settlement/)
こちらは、もちろんすべて「iPhone」のロイヤリティーではないとは思います。しかしながら、やはり毎年1億5000万ほどのロイヤリティーを得ているという事実は確認できました。さて、このうちどれくらいが「iPhone」のロイヤリティーなのでしょう。とても気になりますねー。
商標権の財産的な価値も見直そう
さて、ここからは商標権一般についてのお話です。今後のためにも、ぜひ知識として頭に入れおいてください。
商標権は、自身の商品サービス名をあらかじめ登録しておいて、その商標と似ている商標を使用している無権原の第三者に対して、使用の差し止めや損害賠償を起こすことができる権利です。
商標権を取得すれば権利主張できるということは、みなさんなんとなくお分かりになっているようですが、一方で、商標権=財産権でもあるということは結構見落とされがちです。
実際、商標の実務を日々行っている筆者もご相談の中で「商標が似ているか似ていないか」「他人の使用の排除はできるか」などは相談事項として頻繁にあがってくるものの、「商標を財産権として活用したい」という相談はまだまだ少ないのが現実です。しかし、そこは立派な財産権ですので、ぜひ活用していきましょう。
商標権を財産権として活用していることの一番分かりやすい例は、フランチャイズ形式のコンビニエンスストアではないでしょうか。
例えば、セブンイレブンのオーナーは自身が確立したブランドではないものの、セブンイレブンの看板を使ってコンビニ経営をすることができます。これは、とっても有利なことなんですね。町の〇〇商店ではなく、セブンイレブンとなれば、皆がセブンイレブンを使うようになるのは火を見るより明らかでしょう。その代わり、セブンイレブンオーナーはロイヤリティーという形でその使用料を払っています。
さて、「iPhone」と「アイホン」の商標関係の話に戻ります。
今回の「iPhone」と「アイホン」の商標関係は商標権を財産権として活用できた、いいモデルケースです。
アイホン株式会社の「アイホン」なる商標登録は一番初めがなんと1955年の登録です。アップルの「iPhone」ができる遥か前に実は商標登録をしていました。その後、更新手続きを行い、権利を存続させていたところ、ある日、突然お金を生み出す財産として脚光を浴びたのです!
本当に何が起こるか分からないものですねー。人生と同じです。
まとめ
商標権は財産的な価値の活用により収益を図ることも可能です。但し、そのためには、抜けのない権利としての商標権を取得する必要があります。専門的な知識も必要となるところですから、やはり専門家である弁理士にまずは相談しましょう!
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弁理士歴7年。商標調査の件数は、5200件を突破しました。 商標のニュースは常に気になり、商標をこよなく愛する商標好きの 事務所勤務の弁理士です。好きな商標の言葉は、登録査定。
Twitter:@syohyosuki
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