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スタートアップの知財戦略!特許の活用方法を事例をまじえて解説!

スタートアップの知財戦略について

知的財産は重要と聞いてはいるけど、「企業を立ち上げたばかりで余裕がない」、「知識が無いので何から手を付けたらいいか分からない」など、知財戦略が後回しになっていないでしょうか?事業をスタートする前に簡単なチェックだけでもやっておかないと、製品の販売を差し止められたり、損害賠償を請求されたり、困った状況に陥ってしまうかもしれません。

特許庁や特許事務所などの外部と上手に連携することでトラブルを未然防止できますので、今回はスタートアップ向けの知財戦略について企業知財部目線で解説します。

<この記事でわかること>
・スタートアップにおける知財戦略の必要性
・スタートアップによる知財戦略の事例
・知財戦略の実践方法

(執筆:知財部の小倉さん

特許事務所・知財部の専門求人サイト「知財HR」

スタートアップにおける知財戦略の必要性

知財戦略とは、知的財産を使って経営戦略や開発戦略を競合他社よりも有利に進めるための戦略です。特に、スタートアップやベンチャーなどの若い企業は、歴史ある大企業よりも立場が弱いため、知的財産を戦略的に活用することが重要となっています。

特許庁の公開情報を活用しよう

知財戦略に関して、社内に知識を持った人材がいない企業も多いと思います。そこで、まずは特許庁の特許戦略ポータルサイトを確認することをオススメします。

このサイトには知財戦略に関する情報だけでなく、国内・外国の制度についても解説されています。また、情報を読んで知識を習得するだけでなく、研修も紹介されていますので知財人材を育成する際にも有用です。

スタートアップに特化した情報も提供されている

特許庁のスタートアップ向け情報というページには、起業したばかりの時期に知財的に何を対策するべきかなどスタートアップに役立つ情報が提供されています。フローやイラストで分かりやすく説明されているので、知財に全く触れたことがない方でも簡単に理解できると思います。

特許のページでは、起業前にやるべきこととして以下のことを挙げています。

  • 使おうとしている社名や商品名について、他社の商標権が無いか確認する
  • 事業のコアとなる技術やデザインについても同様に、他社の特許権や意匠権が無いか確認する
  • 他社が知的財産権(特許権、意匠権、商標権)を有していれば、他社の権利を回避するよう自社の社名等を変更する。他社の知的財産権が無ければ、自社で権利を取る。

また、スタートアップが知的財産を活用するメリットについては、以下の3つを挙げています。

  • 独占:自社のアイデアやブランドを他社の模倣から守ることができる
  • 連携:他の企業と協業する場合、契約の条件を自社でコントロールできる
  • 信用:資金調達やM&Aの際に、自社の企業価値の裏付けとして、アピールできる

これらは一般的な知識ですが、スタートアップ向けコンテンツとして知財活動を企業で実践した事例も紹介されています。基礎知識を習得した後に、これらのコンテンツを読むとイメージしやすいでしょう。

企業による知財戦略の事例紹介

具体的な社内での活動をイメージしやすくするため、スタートアップ向けコンテンツとして公開されている「国内外ベンチャー企業の知的財産戦略事例集」から、ベンチャー企業で知財戦略を取り入れた事例を紹介します。

Spiber株式会社(大企業との連携や資金調達で知財を活用)

Spiberは、強靱かつ柔軟な「クモの糸」を人工的に量産する基礎技術を世界に先駆けて確立した企業です。THE NORTH FACEとのコラボレーションによりアウトドアジャケットを製品化しています。知的財産室は特許事務所出身と研究者出身のスタッフでバランスよく構成されています。

知財戦略を策定する前は、特許出願すべき内容とノウハウとして秘匿する内容の区別や出願の順番などを間違えると効果的に活用できないと特許出願を渋っていたようです。しかし、競合の特許対策から学び、特許取得数を目標値として定めて積極的に出願するように切り替えました。

その結果、技術力の高さを特許取得数で可視化することができ、大学との共同研究の交渉を有利に進めることができ、ベンチャーキャピタルによる資金調達においても、特許数の多さが競争優位性として評価されているようです。

ペプチドリーム株式会社(メガファーマと対等なアライアンスを締結)

ペプチドリームは、東京大学発の技術をベースにして2006年に設立されたバイオ医薬品企業です。東京大学TLO(技術移転機関)と連携して独自の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)をもとに、特殊ペプチド治療薬や低分子治療薬を開発しています。東京大学TLOが特許をペプチドリームにライセンスし、その特許技術を使って大企業と新薬の共同開発を行い、大企業からペプチドリームが開発費をもらうというビジネスモデルです。

PDPSを保護するための特許群には、3つのコア技術(フレキシザイム技術、FITシステム、RAPIDディスプレイシステム)に関する特許やその他周辺特許が含まれています。1つの特許ではカバーできない範囲を複数の技術に関する特許で埋め尽くし、特許ポートフォリオによる参入障壁を形成しています。

その結果、大企業との対等なアライアンスを締結させています。特にバイオや製薬業界では契約締結時には非常に厳しい審査が行われ、特許に穴が見つかると大幅にディスカウントされてしまうようですが、ペプチドリームは提携先企業から「我々が持っていないものを全てあなたたちが持っている」と言われるほど特許ポートフォリオの完成度が高いため、強気の交渉ができています。

知財戦略を実践してみましょう

上記2つの企業における知財戦略の事例を見てきたことで、事業戦略、研究開発戦略、知的財産戦略を「三位一体」とした経営を行う必要性は感じられたと思います。実践する前に以下の情報も見ておくと失敗が少なくなります。

スタートアップが経験するであろう課題を先取り

スタートアップがつまずく14の課題とその対応策という資料が特許庁から公開されていますので、こちらを確認することをオススメします。こちらは成功事例でなく失敗事例ですが、失敗事例の方が役に立つことが多いと思います。

例えば、「事業の絞り込み・優先順位付けが難しい」、「秘匿⼜は権利化の⾒極めがうまくできない」、「専⾨家に何を相談して良いのかわからない」など初歩的な質問や知財だけでなく経営戦略にも使えそうな内容が14テーマ記載されています。

知財関連のコミュニティにも参加しましょう

スタートアップの知財コミュニティポータルサイトとしてIP BASEというサイトも特許庁が運営しています。これは、スタートアップの「知財って重要そうだけど、まず何をすればいいか分からない」、「誰に相談すれば良いのか分からない」という声に応えたもので、「スタートアップがまず見るサイト」、「知財専門家とつながるサイト」という位置づけで運営されています。

更に無料でメンバー登録をすることで、メンバー限定コンテンツを見ることができます。メンバー限定コンテンツとしては、「初歩から実務までの小規模勉強会」などもあり、メンバー同士が繋がれるので特許事務所の弁理士などの専門家以外にも企業の知財業務経験者の話を聞くこともできます。

まとめ

今回はスタートアップに特化した知財戦略を解説しましたが、いかがでしたでしょうか?スタートアップを支援するために、特許庁から様々なサービスや事例集などの資料が提供されていますが、情報量も多いですので専門家に相談したいと思います。

知財タイムズではあなたの身近な特許事務所を探すことができます。知財戦略は特許だけでなく、意匠や商標も含む知的財産全般について頼れる特許事務所や弁理士を無料で探すことができますので、まずはご相談ください。

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