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ITベンチャーにとっての特許出願の必要性!弁理士が解説します!

ITベンチャー 特許

特許出願と聞くと、創業間もないスタートアップ企業や、IT技術で起業を考えている人には、ハードルが高いと思えるかもしれません。
製品開発や市場開拓などで忙しく、つい先延ばしになってしまうこともあるのでは?
本記事では特許とはどのような制度なのか。またITベンチャーにとって特許出願がなぜ必要なのか、その意義やメリットを説明します。

(執筆:金原正道 弁理士

特許制度の目的

ソフトウエアやシステムなど、IT技術を活用したアイデアを考えたら、その発明を、国からお墨付きを得た権利にするのが特許制度です。

特許は、出願書類を特許庁に提出します。審査を受けて登録が認められれば、独占的な権利として登録され、保護されます。
新規な技術かどうか、容易に思いつくことのできない進歩性のあるものか、誰よりも先に出願したものか。こうした基準は、特許になるかどうかの要件といい、特許法という法律で決められています。AIやIoT分野の審査基準も公表されました。

AI・IoT分野の審査基準

特許庁では、AI関連技術が様々な技術分野に発展していることに伴い、AI関連技術、IoT関連技術に関する事例を作成し、公表しました。
音声対話システムの対話シナリオのデータ構造、宿泊施設の評判を分析するための学習済みモデル、車載装置及びサーバを有する学習システムなど、第四次産業革命に関する審査事例について説明しています。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/ai_jirei.html 
AI関連技術に関する特許審査事例について(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/iot_shinsa.html 
IoT関連技術の審査基準等について(特許庁)

特許にするための記載の要件や判断のポイントを、わかりやすく示すことを目的として公表されたものです。どのような事例が特許になりうるのか、検討する材料になるでしょう。

ITベンチャーが特許出願することの意義とメリット

特許出願内容が公開され、独占権を得られる

特許出願から1年半がたつと、その内容は公開されます。ただし、ソフトウエアのコードなどまで公開する必要はありません。
出願内容は誰でも、特許庁のデータベースで見ることができるようになります。

つまり特許制度は、新規な技術を公開するのと引き換えに、一定期間、独占権を与えるというものです。こうして技術が進歩していくことが期待されている特許制度は、そもそも会社の成長のためにあるようなものです。

審査請求をするか、しないか選ぶことが可能

特許庁で審査されるには、出願日から3年以内に、出願審査請求書を提出しなければなりません。早く権利にしたければ、出願と同時にすることもできます。
費用は審査請求の時にもかかります。時期をみて手続きをするのでもいいでしょう。3年もたてば、事業の進捗も見えてくるかもしれません。

事業の方針転換などをする場合には、審査請求をしなければ費用はかかりません。この場合には出願は取り下げたものとされますが、競合が同じ権利を取得することは防げます。

権利を活用できる

特許が成立すれば、特許出願日から原則20年間の独占的な排他権が認められます。
独占とは、許諾のない第三者は、その特許を使って事業をすることができないこと。
排他とは、特許を模倣した相手に対し、使用の中止を求めたり、損害賠償の請求をしたりできること。
自社で独占的に使用したり、他社と提携してライセンス契約をしたりすることもでき、さまざまな活用ができる、まさに知的財産なのです。

ITベンチャーにこそ特許は必要

ITベンチャーにとっての特許の意義と活用法

ひと口にベンチャーといっても、いろいろなステージがあります。
会社を設立して事業が軌道にのりはじめたスタートアップ企業は、やがて売り上げが増えたり、黒字化できたりする段階へ。
さらに成長が加速し、出資者を得て資金調達を行う、他社と提携する、株式市場への上場を視野に入れるITベンチャーも続々と登場しています。

成長のそれぞれの段階で、事業を有利に進めるためには、せっかくの技術やアイデアが模倣されてしまっては困ります。
類似の技術が存在しないような、斬新なITサービスであれば、特許は強力な参入障壁となり、市場での優位性を発揮することが期待できます。
類似サービスがある場合にも、他社と差別化できる優れた機能や効果により、特許を取得できることもあります。
特許には、競合から自社の事業を守る効果があるのです。
さらに新しい技術を取り入れて開発をしたり、他社との契約をしたり、時には資金を調達したりすることもあるでしょう。

特許出願しないことのデメリット

もしも特許出願をしていなかったら、どうなるでしょうか。
せっかくの優れた技術があっても、それが世の中に公表されたとたんに、誰もが似たようなシステムを作るかもしれません。
特に、資金も人材も豊富な大企業が参入してきては、競争上不利になってしまいます。交渉や提携の面でも不利になる場合さえあります。

特許出願のデメリットは実はメリットにもなるかも。

特許出願にはいくつかデメリットと言われているものがあります。
しかしそれらは本当にデメリットなのでしょうか?

一般的に特許出願のデメリットと言われていることについて、考察していこうと思います。

費用がかかる

ベンチャー企業にとって、特許出願のハードルが高く感じられる理由の1つは、費用がかかることです。
特許庁に納付する費用と、弁理士に依頼した場合にかかる費用。平均すれば、特許出願には少なくとも数十万円くらいの費用がかかります。
これは一番のデメリットといえるかもしれません。

しかしデメリットの裏には、メリットがあります。
ITベンチャーにとっての最大の資産は、もしかしたら頭の中にあるアイデアかもしれません。ソフトウエアの記述や収集したデータなどのデジタルデータも、重要な資産です。
目に見えない無形のものは、高い技術であっても、権利として不明確です。不正にコピーされてしまってはお手上げです。

特許出願に費用をかけることは、金銭を、明確な権利という無形の資産に形を変えることでもあるのです。

出願内容が公開される

特許出願の内容は、出願から1年半たつと公開されると述べました。
特許庁のデータベース、特許情報プラットフォームでは、誰でもキーワードや出願人名などで検索して、その内容を、文章や図面などで見ることができます。

 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/ (特許情報プラットフォーム)

これはデメリットではないのでしょうか?
ただ、内容が公開されたとはいっても、誰でも勝手に実施できることが許されたわけではありません。警告しておくことで、将来、特許になったときに金銭を請求できる方法もあります。

そもそも、出願から1年半もたつ頃には、実際にその事業を開始し、営業活動に励んでいるかもしれません。むしろ、マスコミやプレスリリース、SNSなどを活用した広報・宣伝も必要です。
特許出願の内容が公開されたかどうかに関わらず、事業の仕組みやシステムの機能、利点などは、むしろ広く知られることが望ましいものです。

特許出願をきちんとしているという事実そのものが、事業のアドバンテージとなり、企業のブランディングの一助ともなるでしょう。

ITベンチャー 特許

ITベンチャーの特許戦略

特許活用戦略は成長ステージに応じて

特許を取得するには、他社より早く出願しなければなりません。
アイデアや起業から間もないスタートアップ企業こそ、ビジネスの種を守り、参入障壁を築く特許出願を。
事業が軌道にのったらということではありません。
特許庁が、新規なものか、進歩性があるかを審査する基準は、出願日前の従来技術と比較するため、この意味でも特許出願は早い方がいいのです。
無形のアイデアが生命線のITベンチャーであれば、なおさらです。

会社が成長するにつれ、他社との契約や提携なども出てきます。
資金調達や、商談、契約をする際には、特許は有利な交渉材料となるでしょう。
共同開発をして、他社と共同の出願をすることとなった場合にも、その前に自社だけの出願を済ませていれば、自社開発した権利の範囲が明確になります。

国もデジタル化技術を支援している今がチャンス!

関連する新しいサービスを開始したり、パソコンからスマホに移り変わるように、技術動向が変化した場合には、さらなる特許出願も検討する必要があるでしょう。
近年、AIやIoT、自動運転などを武器にした、まだ規模としては小さいITベンチャーでも、続々と株式市場に上場する事例があります。
出資者や、取引金融機関にとっても、知的財産を戦略的に活用している企業には安心感があります。

特許庁・経済産業省なども、国の成長戦略の一環として、出願の支援やベンチャー向けの費用の軽減策など、様々なベンチャー支援メニューを用意しています
こうした情報に詳しい弁理士も増えています。

特許活用の成功事例に続こう!

特許庁では、「一歩先行く国内外ベンチャー企業の知的財産戦略事例集」をまとめて公開しています。参考になる事例がたくさんあるのではないでしょうか。

https://ipbase.go.jp/public/examples.php IPBASE(特許庁)

弁理士である筆者は、開業した頃に、そんなITベンチャーの特許出願を担当し、特許が成立し、創業したてのその会社は出資者を募ることもできました。
ようやく数年前に黒字が定着したような、大変ニッチな事業内容ではあったのですが、類似企業は国内にはありません。海外の類似企業は提携先となりました。
弁理士をやっていて面白いことの一つは、こうした成果を目の当たりにできる点です。

特許出願の重要性や、権利を活用する方法を知っているかどうかで、会社の成長も大きく左右されることがおわかりいただけるでしょう。
ITベンチャーにとっては、特許が大きな武器となり、強力な盾ともなるのです。

面倒な出願準備は特許事務所選びで解決

IT分野専門の弁理士を選ぶ重要性

特許を取得するための手続きは難しく、専門家である弁理士に依頼するとしても、どうやって探したらいいのか、迷うこともあるでしょう。

自社で特許出願をしようとしたら、専門的な書類や、図面を作成するのは面倒です。手間も時間もかかり、自社には専門知識がないことが多く、実際には困難であることがほとんどです。
ここは、弁理士に依頼することを考えましょう。

弁理士が所属する特許事務所には、それぞれ専門分野などの特徴があります。
特許は、書類の書き方によって、権利の内容が広くなったり狭くなったりすることもあります。
ITベンチャーの場合には、ダウンロードするアプリ、サーバー上で動作するソフトウエア、データベースやコンテンツ、これらを動かすためのサーバーや通信回線、ユーザーの端末など、システムの構成や動作を出願書類で説明しなければなりません。
業種によっては、通信回線に接続されたロボットや、工場の制御機器、商品に付されたバーコード、ICタグの説明も必要かもしれません。

ITベンチャーであれば、ハードウエアにもソフトウエアにも詳しく、最新の技術動向や、将来の業界まで見わたせる弁理士のいる特許事務所を探したいものですね。
最適な弁理士が味方になれば、出願準備の面倒さは解決し、事業に専念することができるでしょう。

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