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脱下請けの事例紹介!ジンノ工業、他社特許を参考に独自技術を開発

中小企業 特許

中小企業の中には「今は下請けとして仕事をしているけれど、将来的には自社製品を製造販売したい」と考えている企業もいるのではないでしょうか?せっかく自社のオリジナル製品を開発しても、特許や商標出願をしておかないと他社から容易に模倣されてしまいます。

本日は、脱下請けした企業としてジンノ工業の事例を紹介し、特許戦略もあわせて解説します。

<この記事で分かること>
・ジンノ工業のオリジナル製品の開発アプローチ
・技術開発における特許文献の活用方法
・他社特許を侵害しないために気を付けること

(執筆:知財部の小倉さん

ジンノ工業:現場の声からオリジナル製品を自社開発!

ジンノ工業の事業内容

ジンノ工業は1984に創業した、ウォータースクリューろ過フィルターの会社です。先代社長の時代からプラントの配管・設備工事や洗浄などの請負事業をしていましたが、2010年ごろからはオリジナル製品の開発に取り組んでいます。

オリジナル製品を特許とともにホームページ掲載

ジンノ工業のホームページを見ると、製品が特許とともに紹介されています。ウォータースクリューろ過フィルターは特許第5173996号の技術により、目詰まりせずメンテナンス不要となっています。また、マイクロバブル発生装置は特許第5804175号の技術により、大量の微細気泡を安定して持続的に吐出することが可能となっています。

これらの技術は、地域の化学工場や製紙会社の設備取り付けやメンテナンスなどの経験を通じて「プラント設計の段階から改良できればもっと効率的な運用ができる」という神野社長の感覚と、現場でお客さんから聞いた「こんなものがあったらいいな」という要望から生まれたようです。

ジンノ工業の技術は四国知的財産活用推進協議会特許庁発行のRightsなど様々なメディアで、特許活用の成功事例として紹介されています。オリジナル製品ができた経緯をもう少し詳しく見ていきましょう。

オリジナル製品の開発と知的財産の活用

開発のきっかけは「現場の困りごと」

神野社長は、お客さんから「ろ過設備のフィルター洗浄作業を頻繁に行うのが大変」という声をよく聞いていたそうです。そこで、洗浄作業をしなくても長期間安定したろ過性能を発揮する「ウォータースクリューろ過フィルター」をオリジナル製品の第1号として開発しました。

従来のろ過設備は、ろ過方向とは逆に水を流すことでフィルターの汚れを取る「逆洗浄」が必要でした。しかし、ウォータースクリューろ過フィルターは、フィルターに原液を噴射しつつ、フィルターを回転させることで付着した汚れを落とすことができるため、逆洗浄が不要となり長時間安定した稼働が可能となりました。

コンパクトでメンテナンスも容易、排水を増やさずにランニングコストを低減できるため、水処理メーカーや食品・製紙・金属加工など、さまざまな業種への応用が期待されています。

技術改良から生まれた次の製品

神野社長はろ過精度をさらに上げるための技術開発をしていたところ、「水の中に微細な泡を発生させる方法」をひらめき、次のオリジナル製品であるマイクロバブル発生装置の開発に繋がっていきました。

ただ、マイクロバブルの発生技術を自社で保有しておらず、雲をつかむような状態でした。そこで技術を調べるきっかけとなったのが特許文献でした。

特許文献を技術情報として活用する

神野社長は特許と無縁でしたので、愛媛県知財総合支援窓口に行き、J-PlatPatを使った特許検索を教えてもらいました。既にマイクロバブルを発生させる技術として特許が登録されていました。

神野社長いわく、特許文献は技術者の知恵が詰まった最高の参考書のような存在だそうです。新製品の開発に取り組む際に、他社の権利を侵害していないか調べるため開発初期段階での特許文献調査を行いますが、神野社長は他社特許を技術情報としても活用しました。

具体的な活用方法としては、記載されている課題や解決手段を理解し、そこに至った過程を知ることで、技術者の苦悩や発想のポイントなどを読み取ります。ときには文献に書かれてある情報をもとに試作することもあるそうです!

こうやって新製品をゼロから自分で作って莫大な時間とコストをかけるのではなく、特許文献を活用して開発をショートカットすることができます。

特許のブランド力で脱下請け

特許文献を活用して自社技術を開発したら、特許出願を行って保護をします。特許権を取得することで会社の技術力の信頼を得るとともに販路拡大のきっかけとすることができます。ジンノ工業の特許技術は様々なメディアでも取り上げられ、広告としても機能していますね。

ジンノ工業は、リーマンショック後の不景気により取引先からの受注が減少しましたが、特許文献を起点にオリジナル製品を開発することができ脱下請けを達成しました。

ジンノ工業の事例から学ぶべきこと

他社特許を見て従来技術や技術課題を把握する

神野社長が言うように、特許は技術者の発想や技術課題を知る参考書として有効です。特に、中小企業はなるべく低コストで早く開発したいと思いますので、特許文献を読むことで大企業やその分野で先行している企業の知見を吸収しましょう。しかも、特許庁から無料で閲覧できますので、この情報を活用しない手はありません!

実際に、自社技術と同じ分野の特許文献は興味深く読めるようで、神野社長もインターネットで気になる特許文献を見つけたときには、時が経つのを忘れて夜中までのめり込んでしまうとのことです。

自社技術が他社特許を侵害しないかのチェックも忘れずに

他社特許を参考にするのは、自社の技術開発に役立ちますが、特許の内容をそのまま実施してしまうと他社特許を侵害してしまうことになります。もともと、特許権は他社に模倣させないために取得するものだということを忘れないようにしましょう。

神野社長も、「特許文献はあくまで参考にするものであって、そのうえでいかにオリジナルの手法を構築できるかが問われます。新規性や進歩性を満たすものができれば、それを自社の特許権として製品化することもできます。」と言っています。他社特許は参考にするけれども、マネしてはならないことを覚えておきましょう。

特許調査や特許戦略は専門家に相談する

ジンノ工業は、愛媛県知財総合支援窓口に相談して、先行技術調査や出願時に記載する特許請求の範囲のポイントについてアドバスをもらっていました。特許文献の検索方法や発明の特定は知識や経験が必要となりますので、専門家に相談することをおススメします。

例えば、ジンノ工業は応用技術でなく、できるだけ基本的な根幹となる技術で特許権が採れるように意識しています。根幹技術を広く押さえることができれば、権利の幅も広くなると考えているからです。このような特許戦略も専門家に相談して、将来の事業展開を見据えた権利を取っておきたいですね。

まとめ

今回は、特許を活用して下請け事業者から脱却したジンノ工業の事例を解説しました。特許は無料で手に入る情報ですが、技術課題や発明の着想など開発にも活用できるものですので、積極的に利用していきましょう。

ただし、開発した技術が他社特許を侵害しないように注意する必要があります。特許調査や特許出願にも知識や経験が必要ですので弁理士にアドバイスを受けながら進めましょう。

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