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【セカイチ知財-Vol.2-】商標はいつ取得すれば良い?

世界一分かり易い知財戦略

世の中は知財に対する迷信や誤解で満ちています。

誤解したままで知財に注ぎ込むお金は無駄金です。

「セカイチ知財」は名古屋に事務所を構えるブライテック特許事務所が、知財戦略を世界で一番分かり易く解説します。

「世界一分かり易い知財戦略(セカイチ知財)」を読んでいれば、知らない間に正しい知財戦略をイメージできるようになります。

(文責:ブライテック特許事務所所長 弁理士三林大介)

Vol.1のおさらい

第1話では、特許や商標を取得しようかと迷った時には、「その商品で儲かっているのか」を自問してみて、儲かっていなければ「取得の必要は無い」と判断するのが原則だというお話をしました。

また、この理由は「特許や商標などの知財は、儲けを守るためにある」からだという点についても、少しだけお話しました。

確かに、これが知財の本質なのですが、実際には、特許の場合は修正が必要です(逆に言えば、商標の場合は修正の必要はありません)。

第2話では、第1話を補足しながら、商標の場合について詳しく説明します。

商標の取得を考えるべきタイミング

第3話ではこれまでの内容を踏まえて、特許の場合について詳しく説明しようと思います。

商標の場合は、知財の原則通りに判断することができます。

従って、素晴らしいネーミングを思い付いた場合でも、急いで商標出願する必要はありません。

そのネーミングを付けた商品を売り出してみて、実際に儲けが出てきてから、商標出願を検討すれば十分です。

意外に感じるかも知れませんが、このことは、以下のようなことを考えてみれば極めて当然であることが分かる筈です

  • Q.どうして商標出願をするのか

A.その理由は、貴方が使っているネーミングを他人に真似されたくないからです。

  • Q.ではどうして他人が貴方のネーミングを真似するのか?

A.その理由は、貴方のネーミングを真似すれば儲かるだろうと他人が思うからです。

  • Q.では、他人はどうして、貴方のネーミングを真似れば儲かるだろうと思うのか?

A.それは当然、貴方がそのネーミングを使って儲けているからです。

つまり、貴方がそのネーミングを使っても儲けていないなら、他人がそのネーミングを真似しようとすることはありません。

従って、わざわざお金を払ってまで、商標出願する必要はないのです。
また、商標の場合は、特許とは違って、出願前にそのネーミングを自分で使っていても、そのことが理由で商標が取れなくなることはありません。

ですから、素晴らしいネーミングを思い付いた場合でも、実際にそのネーミングを使ってみて、手応えがあったら商標を出願するのでも十分に間に合うのです。

もちろん、すごい反響があるのを見た他人が、そのネーミングを商標出願してくる可能性はあります。他人に先に商標出願されてしまうと商標を取れなくなります。

しかし、貴方は、実際にそのネーミングを使って商品を売り出している本人なのですから、反響が出そうな手応えは誰よりも早く分かる筈です。

つまり、貴方が「このネーミングは反響がある」と思った時点では、まだ誰もそのことに気付いていない筈です。
ですから、手応えを感じてから商標を出願しておけば、他人に真似される心配はないのです。

新しい商品名、サービス名を考えた!

それでは早めに商標出願しておきましょう。
でないと将来に困ったことになるかも知れませんよ。

こんなことを言って、商標出願を勧めるような特許事務所を信用してはいけません。

商標は儲けを守るために存在しているのですから、そのネーミングで儲かる手応えが無ければ、そもそも守るべき対象が存在していません。

ですから商標出願する必要など無いのです。
また、世の中には「ブランド戦略」と言って、「ネーミングを活用して儲けを作り出す」という考え方も存在しています。

ブランド戦略では、儲けが出ていないネーミングを商標出願する場合もあるのですが、ブランド戦略というのは、儲けを生み出す商標を幾つも持っているような企業が、その儲けを更に大きくするために(大きなコストを掛けて)採用する戦略です。

ですから、当分の間(すなわち、儲けを生み出す商標を幾つも取得した大きな会社になるまでの間)は、知財の原則通りに、「そのネーミングで儲けが出ていなければ商標出願する必要は無い」と考えておけば十分です。

以上のように、商標の場合は、知財の原則通りに判断すれば十分です。

しかし、特許の場合は修正が必要となります。その理由は、特許の場合は、商標と同じように考えて、アイデアを使った商品を発売してみて、手応えを確認してから特許出願すると、特許法の規定から、特許が取れなくなってしまうからです。

しかし、特許の場合も「儲けを守るためにある」という知財の本質は変わりません。
従って、良いアイデアを思い付いたからと言って取り敢えず特許出願したのでは、守るべき対象が無いのに特許出願することになってしまいます。

つまり、特許の場合は、如何にすれば、知財の本質から外れないような特許を出願することができるのかを考えていく必要が生じるのです。

次回の第3話では、この点について詳しく説明しようと思います。

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