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特許分類の基礎知識。活用方法や検索のやり方も解説!

特許 分類

特許分類という言葉を最近聞いたけど、何なのかわからない。これは、出願する場合や調査する場合にどのように使えばいいのかとお悩みの方もいらっしゃると思います。

本記事では、特許分類とは何か、また、その活用方法についてもご紹介いたします。

ある程度理解をしたら、専門家である弁理士に相談しながら、理解していただければと思います。

そもそも特許分類とは?

特許分類とは、その内容を表現する記号になります。なぜ、この特許分類が存在するかというと、特許の内容は様々であり、更に、その特許を表現する上でもキーワードは多数に存在します。例えば、「鉛筆」という特許がある場合、その内容をその通り「鉛筆」と記載するか、上位概念化して「筆記具」と記載するか、英語表現で「ペンシル」と記載するか、は出願人の自由であります。

そして、これらの言葉を網羅的に抽出するのは、例えば特許調査で特定の内容を調査したい場合に漏れが発生します。

そのような場合に予め言葉が体系的に整理されており、この言葉に対して記号が付与されることにより、網羅的に特許の内容を調査することができます。

なお、これらの特許分類として以下の内容が挙げられます。

  • 1)IPC
  • 2)FI
  • 3)Fターム

IPCとは

国際特許分類(International Patent Classification)であり、IPCと略称されています。

国際と表現されていることからも、日本以外の世界各国で統一された記号になります。

従って、日本以外の国でもIPCを使用することで漏れなく特許の内容を調査することができます。

IPCの目的

そして、IPCは以下の目的を達成するために成立しています。

  • (a) 特許文献に含まれている技術及び権利情報へ容易にアクセスするための特許文献の秩序立った整理のための道具となること。 
  • (b) 特許情報のすべての利用者に情報を選択的に普及させるための基礎となること。
  • (c) ある技術分野における技術の状況を調査するための基礎となること。
  • (d) 種々の分野における技術の発展をも評価できる工業所有権についての統計を作成するための 基礎となること。 

IPCのセクション

そして、IPCは、8つのセクションに分かれています。

セクションは、IPCの第一階層で表示される記号になります。

  • A 生活必需品 
  • B 処理操作;運輸 
  • C 化学;冶金 
  • D 繊維;紙 
  • E 固定構造物 
  • F 機械工学;照明;加熱;武器;爆破
  • G 物理学
  •  H 電気

各セクションは、クラスに細分化されます。

クラスは、IPC の第2階層になります。

セクション記号にさらに2つの数字を付けたものが表示されます。

例)H01 基本的電気素子

クラスは1以上のサブクラスを含みます。

サブクラスは、IPC の第3階層になります。

クラス記号にさらに1つの大文字を付けたものが表示されます。

 例) H01S 光を増幅または生成するための,放射の誘導放出による光増幅 [レーザ]過程を用いた装置

サブクラス は、グループ と称される項目に展開されます。

 “グループ” はメイングループ ( IPC の第4階層)又はサブグループ(IPC のメイングループ階層に属している階層的 により下位のレベル)で構成されます。

各メイングループ記号は、サブクラス記号に続く1つから3つの数字、 斜線及び数字 00 を付けたものが表示されます。

 例:)H01S 3/00 レーザ

FIとは

IPCを基礎として、細かく展開された日本国特許庁オリジナルの特許分類です。

そのため、IPCよりもより詳細に調査を行うことが可能です。

なお、日本国内のみで使用可能ですので、海外での調査では使用できません。

File Indexの略称でFIと略称されます。

国内特許文献のキーワードとして利用されており、技術の進展に対応し適切なキーワードとして機能するように年に1回から2回、必要な分野において改正が行われています。なお、1つのIPCについて、複数の記号が追加される場合があります。

FIは、IPCの末尾に、展開記号または分冊識別記号、その両方を付加する形式で使用されています。

特許 IPC

展開記号は、IPCの最小単位を構成するサブグループを更に細かく展開する内容で、3桁の数字になります。そして、原則として、100より始まる3桁の数字が使用されています。

これらの展開記号にも階層を示すドットが表示されます。

特許 分類 コード

上記表で説明しますと、

34/24の下位の階層として、101→機体の走行と連動して作動するもの

              102→刈り取り対象を感知して作動するもの

等が例示されます。

分冊識別記号は、IPC又は展開記号を更に細かく展開する内容で、アルファベット1文字(IとOを除く)になります。また、「Z その他」という分冊識別記号があり、展開展開されている分冊識別記号 に属さないものが分類されるため、注意が必要です。

特許 コード

A01C 7/02の下位の階層として、A→圃場用

                G→育苗箱用

等が例示されます。

Fタームとは

ファイルフォーミングターム(File Forming Term)であり、Fタームと略称されています。

技術の複合化、融合化、製品の多様化 に対応し、特許審査のための先行技術調査(サーチ)を迅速に行うために機械検索用に開発された検索キーワードになります。

FIを所定技術分野毎に種々の技術観点から細区分したものがFタームであり、多観点での解析が可能となります。

Fタームは、特許情報中に記載されている技術的事項を把握した上で、種々の技術観点(目的、用途、構造、材料、製法、処理操作、制御等)が付与されています。

Fタームは、「テーマコード(英数字)5桁」+「観点(英字)2桁」+「数字2桁」にて構成されます。通常は、テーマコードが表示されることが多いため、5桁が省略された状態で観点2桁+ 数字2桁を指して「Fターム」と言うことも多いです。

 ここで言う「観点」とは、種々の技術観点(目的、用途、構造、材料、製法、処理操作、制御等)があげられます。

特許 テーマコード

一部のテーマについては、上記の表記形式に加えて、さらに「付加コード」と呼ばれる1文字の英数字が付与されることがあります。この付加コードは、Fタームの後ろに“ . ”と1文字の英数字を付加します。

CPCとは

CPCは、欧州特許庁(EPO)及び米国特許商標庁(USPTO)において、合意された特許分類です。これらの庁において、キーワードを共通化することにより、調査の効率化を図ることを目的としています。

特許分類 検索方法

j-platpat を使用した特許分類についての調査方法を説明します。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

特許・実用新案>特許・実用新案分類照会(PMGS)を選択します。

特許 分類

なお、特許分類の詳細をしりたい場合は、上記画面に遷移した後で、

IPC分類表及び更新情報を押すことで、IPCの詳細

FI改正情報を押すことで、FIの詳細

テーマコード表を押すことで、Fタームの詳細

を調査することができます。

特許分類

FI、Fターム、IPCのいずれかを選択します。

キーワード検索のタブを選択します。

キーワードでFI/ファセット単位 で、調査したいキーワードを入力します。

例えば、切断装置について調査したい場合は、

キーワードに「切断装置」と入力します。

特許 テーマコード

検索結果が表示されます。

特許 テーマコード

説明と記載された箇所に、調査したいキーワードが記載されています。

ただし、この内容だけですと、どのような技術内容まで完全に把握できないため、

FIハンドブックと記載されているボタンを押下します。

押下すると、当該キーワードが詳細に説明されております。

特許 分類

当該キーワードを参考にして、適切なFIを探しだし、このFIを使用することで、漏れやノイズが少ない特許調査を行うことができます。

特許分類を使用するメリット

なぜ特許分類を使用して特許調査を行った方がよいかを説明します。

大きくは3点あげられます。

  •  1)漏れやノイズが少ない。
  •  2)古い文献も調査ができる。
  •  3)言葉で表現が難しい特許でも調査ができる。

 1)漏れやノイズが少ない。

単語で特許調査を行う場合、当該単語を多数羅列しないと、その単語を使用していない特許は当然ながら調査することができません。

なお、当該技術を定義する言葉は、出願人がある程度は自由に定義することができるので、業界で標準的に使用している単語のみでは充分ではありません。

また、初めての分野の特許を調査する場合、どの単語を使用していたらいいのかがわからずに、調査することになります。

 

しかし、特許分類を使って調査することで、特定の単語以外の単語も網羅的に抽出することができるので、漏れも少なくなりますし、ノイズも少なくなります。

2)古い文献も調査できる。

言葉は、時代の変遷と共に変わっていきます。現在と普通に使用している言葉であっても、20年前だとその言葉がなかった可能性もあります。

そして、特許分類だと、技術を体系的に整理しているため、古い特許で使用されている言葉でも抽出することができます。

 

3)言葉で表現が難しい特許でも調査ができる。

例えば、目的や課題、位置関係、等と言葉で表現するのが難しい内容があります。これらも特許分類を使用することで、網羅的に調査することができます。

まとめ

特許分類は理解いただけたでしょうか。特許調査を行う際に、特許分類を使用することで飛躍的に特許調査の精度が向上します。ここをもう少し知りたい。と感じた場合は、専門家である弁理士に相談してみてください。

 

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