断捨離商標。使ってもいいケースとは?
(この記事は2022年4月27日に作成されたものです。)
こんな方に向けた記事です。
☆断捨離について登録商標がどうか調べている方へ
☆「断捨離」の使用していいケースを知りたい方へ
あー、部屋が散らかってしまっておる。
片付けしないと、片付けしないと。
この際、「断捨離」しようかな〜。
おっと、気をつけないと。
「断捨離」自体は登録商標です!
迂闊に使ってしまうと権利侵害の可能性が出てきてしまうので、要注意!
この記事を読み、「断捨離」の登録状況について勉強しましょう!
断捨離の登録商標を確認する!
野球でいう、キャッチボール。
サッカーでいう、ブラジル体操くらいに、商標を考える上で必須な登録商標チェック。
いつも通り、特許庁データベースで調べていきましょう!
なぜ、一々登録状況を確認する必要があるのかというと、
世間一般の登録商標の定義があいまいであるから
に他なりません。
例えば、多くのパターンは既に権利が消滅しているケースがあります。
登録商標と示されていたり、Rマークがつけられていたりと色々あるのですが、よくよく調べてみると、権利自体が消滅していることもあります。
また、一つの商品サービスくらいしか登録していないのに、あたかも広範囲で権利取得しているかのように伝えているケース。
これは、特に個人の方がよく勘違いしている様子がうかがえます。
商標登録をする際は、必ず、指定商品役務を記載しなければなりません。
つまり、指定商品役務を指定しない言葉のみ登録しておくということはできないのです。
繰り返しとなりますが、正確な権利状況の把握は必須ですね。
さて、この「断捨離」については、知識の教授(41類)や書籍(16類)などをはじめ、ほとんどの区分で商標権を取得されていることが分かります。
つまり、「断捨離」という言葉は、多くの場合、使用不可となりそうです。
誰が権利者となっているのか?
権利者は「山下英子」氏となっております。
個人で権利取得されており、一番はじめの商標登録は2004年ですから、随分と前から権利として保有していたのですね。
権利者の山下氏とは?
(引用:やましたひでこ公式サイトHPより|https://yamashitahideko.com/)
インターネット検索によりますと、おそらく権利者の方であろう公式HPを発見しました。
しっかりとRマークをつけて使われている様子が伺えます。
本来のサービスとしては、我々が想像するような「断捨離」のようです。
つまり、無駄なものを捨てて、片付けよう!そのやり方を教えるサービスやその情報を積極的に発信されているようですね。
ただ、モノへの執着を捨てようということも学べるようで、人生の生き方も同時に学べるようです。
断捨離商標が普通名称のように広まってしまった要因
流行語が発端となる
登録商標であるにも関わらず普通名称化をすることは起こりえます。誤った又は適切でない伝えられ方によってメディアなどに取り上げられ、結果、普通名称化してしまうというパターンです。
実は、この「断捨離」についてはテレビ番組で取り上げられた際、権利者から使用を控えてくれとの警告をされたということがありました。
おそらく、誤解を与える可能性を権利者の方が懸念したのかなとも予想します。
テレビは現在も絶大な影響力をもつメディアです。
メディアの取り上げ方によっては普通名称化に拍車がかかる可能性も当然はらんでいます。
商品名サービス名が知れ渡れば、それだけサービスを知ってもらえますから、一般的には望ましいことでしょう。
ただ、その「有名」の壁を越え、普通名称になれば反対に何の利点もなくなってしまいます。
そのようなことを懸念されたのかもしれませんね。
他にも気をつけたいこんなケース
- その言葉についての普通名称にあたる言葉がない又はほとんど知られていないというケースも十分に注意しなければなりません。
要は言い換え表現がほとんどないパターンです。
これまでの記事で書いてきたような「ホッチキス」などはその典型例。
(引用記事:https://tokkyo-lab.com/syouhyou/info-generalterm|知財タイムズ商標記事)
今回のテーマである「断捨離」もこのケースかと思います。
「断捨離」は整理整頓術ではなく、「モノを捨てることにより気分もスッキリさせよう。」「モノへの執着をなくそう。」なる意味合いも込められているようです。
よって、特別な意味が込められたこのコトバを「断捨離」「断捨離」と言い始めてしまったという訳ですね。
但し、「断捨離」は現時点で普通名称と判断されている訳ではないので、その点はくれぐれもご注意を。
「断捨離」を使いたい時はどうすればいい?
一番簡単なのは、権利者と交渉をして使用許可をもらうことです。
通常使用権と言って、当事者間の契約で商標の使用を認めてもらうというものです。
この場合、一般的には費用が発生します。
一方、許可をとっていない場合、商品やサービスの名称として「断捨離」を使用することは権利の侵害となります。
そうそう。最後に。
「では、このようにブログ記事に書くのは権利の侵害ではないの?」
という点に回答しましょう!
結論、権利の侵害ではありません!
商標というのは、その登録商標を示しただけで直ちに侵害になるということはありません。
今回の私の記事は、「断捨離」をテーマにしていますが、これを商売としてサービス名として「断捨離」と使用している訳ではないのです。
難しい言葉で、商標的使用ではないということになるために、侵害には当たらないのです。
但し、注意なのはブログタイトルを「断捨離」や「断捨離〇〇」などにする行為は危険です。
ブログという情報発信サービスを「断捨離」や「断捨離〇〇」で行えば、権利の侵害に問われる可能性がありますから、ご注意を。
まとめ
登録商標になった後にも、無断使用や普通名称化のリスクなどはあります。
登録商標自体はどんどん使用していき、認知度を上げていく必要がありますが、同時に他社の使用状況等のチェックも必須ですね!
弁理士歴7年。商標調査の件数は、5200件を突破しました。 商標のニュースは常に気になり、商標をこよなく愛する商標好きの 事務所勤務の弁理士です。好きな商標の言葉は、登録査定。
Twitter:@syohyosuki
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