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【5/23 最新情報!】ゆっくり茶番劇商標問題、ドワンゴ記者会見についての弁理士の視点-iP Times.-

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(この記事は、2022年5月23日に商標専門弁理士が作成したものです。)

こんな方に向けた記事です。
・ゆっくり茶番劇商標問題が気になっている方へ
・ドワンゴ記者会見の内容を詳しく知りたい方へ

本記事のここがポイント!!

ゆっくり茶番劇商標問題について記者会見が行われましたが、その内容を詳しく弁理士が解説いたします。

今回の問題についてドワンゴ側の対応は?

まず、ドワンゴ側は今後の対策として、4つほど挙げられておりました。

  • 1、商標権の放棄交渉
  • 2、商標登録無効審判
  • 3、相談窓口の設置
  • 4、「ゆっくり」関連用語の商標登録出願

このうち、1、2および4が法律的な観点からの対策となります。

ドワンゴ側は、まずは商標権の放棄交渉を進める旨を表明しておりました。

「なぜ期限がある無効審判よりも先に商標権の放棄交渉を進めるのか?」と記者が質問していましたが、これは

「その方が労力等を割くことなく事態を沈静化させるのに最善だから」

に他なりません。

商標登録無効審判は、確定するまでに時間と費用を要します。

期間として1から2年の年単位であり、専門の特許事務所等に依頼すると、数十万単位の費用がかかります。

それと比較しますと、放棄交渉の方が時間と費用もかからないことになります(もちろんうまく交渉がまとまればですが)。

また、動画配信者にとっても、安心して使えるようになるのが早いに越したことはないですし、ドワンゴとしてもこの問題をより早く解決できる方法です。種々の事情を加味すると、できれば交渉をして権利を放棄してもらいたいというのが本音だと考えます。

次に、交渉がまとまらなければ、無効審判を起こすとのことでした。

ここまでいくと、いよいよ登録性についての争いという色が濃くなります。

時間と費用がかかり何より結果がどう転ぶか分からない無効審判には移行させたくはないという本音が、容易に想像がつきます。

また、類似事案が起こらないように、「ゆっくり」関連用語の商標登録出願をする対策も示されておりました。

「ゆっくり茶番劇場」、「ゆっくり茶番」および「ゆっくり劇」などの商標(言葉)で、似たような混乱が生じないように防衛的な出願を行うとのことでした。

このような防衛的な出願は商標の業界では度々行われていることであり、「特徴的にはやや弱いけれども一応出願をしておこう。」「万一他人に登録されるのを防ぎたい」との目的で出願されることはあります。

今回の問題を受けて、これ以上は類似問題を起こしたくないための措置でしょう。

ドワンゴ側も、ゆっくり〇〇などの特徴が弱いと思われる商標については登録できないことを確認するために出願する用意をすることが言及されておりました。

また、仮に登録になってしまったとしても、権利としては放棄するとのことです。

対策としてはとても良いものであると考えられます。

但し、本件に近しい「ゆっくり〇〇」が既に出願されている可能性は否定できません。

現時点では、「ゆっくり〇〇」なる、特に本件と関係していると思われるものは出願されている事実が確認できませんが、出願された商標が特許庁データベースに掲載されるのはタイムラグがあります。

つまり、「ゆっくり〇〇」が出願されているかを正確に確認することは。現時点ではできないのです。

万一、「ゆっくり〇〇」が出願されているとすれば、さらなる混乱を生じさせると思われます。

(引用:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t0100|特許庁データベース J-platpat)

商標的使用って何?

会見では、繰り返し「商標的使用」との言葉がありました。

これまでのコメントでも多数出てきている言葉ですよね。

この「商標的使用」ですが、難しい言葉でいうと、自他商品役務識別力や出所表示機能を発揮するような形での使用ではないこと。

もっとカンタンに言うと、

ある登録商標を見て、商標として認識できない又はしない形での使用

を指します。

ドワンゴ側は繰り返し「ゆっくり茶番劇はジャンル名にすぎない」ことを言及しておりました。

確かに、使用方法などをみると、この主張は妥当ではあると考えます。

しかしながら、一方で、その主張を盾に使用を継続しても良いのかというと、そうでもないと私自身は考えております。

権利として成立しているものであり、明らかな無効理由を含むものでない商標権は原則有効です。

この前提は変わらず確認する必要があります。

例えば、商標的使用については、「テレビまんが」事件(東京地裁昭和55年7月11日判決)が参考になりそうです。

登録商標「テレビまんが」があり、他人がその登録商標「テレビまんが」を許可を得ずに使用しておりました。

侵害訴訟の場面で、その他人の使用は、一休さんがテレビまんがであることを示したにすぎず、商標的な使用ではない。よって、本質的に商標の機能を発揮できる状態の使用ではないから侵害を免れたという事例です。

ゆっくり茶番劇商標問題もこれに近しいと考えております。

ゆっくり茶番劇も、やはりジャンル名と使用されている事実が認められますので、この判決を参考にしても良いかもしれません。

その他の会見での気になった言及事項

上述の事項以外にも、様々なお話がされておりました。

その中でも、私が気になったのは、法慣習や法律事項についてどのように考えているかの質問が多かったことです。

正直、「いやそれは今は分からないし検討もしていない」が本音かと思います。

あくまで、この問題について検討に精一杯で、「商標のこんなところが納得できない」「法律を変えていこうというアクションは起こすのか」など、まだまだ先の話です。

これは質問としては酷であると感じました。

商標川柳・今日の一句

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