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フラペチーノに関するスターバックスの商標戦略を弁理士が解き明かす!

(この記事は2022年4月18日に作成されたものです。)

こんな方に向けた記事です。
☆スタバファンの方へ
☆企業の知財部門等に属し、スタバの知財戦略を知りたい方へ
☆商標について詳しく知りたい方へ

私の中ではオシャレコーヒーショップ第一位のスタバ!

オシャレな内装、美味しいコーヒー、接客サービスなど、まさにキラキラとしたお店ですが、私のとってはまぶしすぎて、入る時少しだけ勇気をいれて入店します!

今回は、誰もが知っているであろうスターバックスについて、皆が知らない知財戦略について検討していきます。

意外に少ない「フラペチーノ」の商標登録!

商標登録の大原則とは?

商標登録の大原則は、「他人に勝手に使われたくないコトバ」は商標登録をすること!

これに他なりません。

結果的に商標登録ができないことはあるとしても、出願さえもしないということは、「通常は」ありません。

なにせ場合によっては、他人に横取りされて自身が使用できなくなってしまうこともあるのですから。

もちろん、スターバックスも例にもれず、多数の「フラペチーノ」の商標登録をしているだろうと予想していました。

がしかし、その予想は見事に打ち砕かれるのです…。

(引用:特許情報プラットフォーム|J-PlatPat|

あれ、意外と少ない!?

特許庁データベースにより調べてみますと、カタカナ表記の「フラペチーノ」は4件、ローマ字表記でも現権利としては8件にとどまります。

確かに、他の企業と比較すると、一つのドリンクとしては多数の登録商標を保有してはいます。それは間違いない事実です。

ただ、私、商標好き太郎はこう思うのです…。

味ごとの商標登録がされていない!!!
私の好きな「エスプレッソ アフォガート フラペチーノ」や「抹茶 クリーム フラペチーノ」などの商標登録はなぜしない?

なぜ味ごとの商標登録をしないのか?

結論、商標登録にかかる費用と「フラペチーノ」という名称自体の特殊事情によります。

当たり前ですが、商標登録には多額の費用がかかります。

スターバックスくらいの大企業になりますと、全世界での商標登録をしなければならないため、費用はできる限り抑えたいという考えにもなるでしょう。

よって、「フラペチーノ」という根幹の名称はちゃんと商標登録をしておいて、その他は商標登録をしないという戦略を取っているものと考えます。

それから、むしろこちらの考えの方がより有力と思われるのですが、「フラペチーノの名称の強さ」が関係していると思います。

先ほど、商標登録をしないと他人に取得されてしまう恐れがあるということ言及しましたが、「フラペチーノ」にはそのような事態は起こりにくいです。

スターバックスの企業努力により、「フラペチーノ」はスターバックスの商品名として極めて有名となりました。もし、抹茶 クリームフラペチーノをはじめ、「味」プラス「フラペチーノ」の名称で、他人が出願してきたとしても、特許庁は登録させない可能性が高いのです!

スターバックスの築いてきたブランド価値が無になりますし、一般の人もスターバックスの商品であると誤認する恐れがあります。

よって、スターバックスとしては、他人は「フラペチーノ」を含む商標について登録することは極めて難しいということを見越して、味ごとの商標登録をしていないのでしょう。

こちらは少々私の予測も入っておりますが、「あえて」商標登録をしていない、そんなスターバックスの商標の戦略が見え隠れします!

スタバブランドを守るため、無効審判もバンバンいってます!

ここからはスタバの商標戦略・防御編です。

スターバックスくらいの著名ブランドを有する企業になると、その防御力も高まる傾向にあります。具体的にいうと、少しでも自社ブランドに似た商標が登録された場合、なんとかその商標権を無効にするために審判・訴訟を起こすこともあるということです。

私、商標好き太郎がスタバに関する審判の中で印象に残っている事件と言えば、以下の事件です。

知財高判令和2年9月16日(令和元年(行ケ)第10170号)

<問題となった商標ロゴ>

登録商標第5903256号

<スタバのロゴ>

詳細は割愛をしますが、こちらはスタバ側の主張は認められなかった事件です。

スタバ側としては「緑色の円により示されているものは、一般人からすると、スタバを想像するのではないか?この商標登録は無効にすべき」という主張でしたが、緑色の円それのみでは、必ずしもスターバックスを連想させないというのが裁判所の見解です。

私も裁判所側の見解を支持しますが、これほどまでに自社ブランドを守ることに必死である防御力はやはりあっぱれですね。

スタバへ挑戦者現る!この商標は登録できるのか?

「〇〇フラペチーノ」が商標登録出願がされていた!

やっぱり「フラペチーノ」に関連する商標登録出願はされないよな〜、そうだよなー。

と考えていた私ですが、詳しく調べたところ、ナント!意外な商品群で商標登録出願されている事実を発見しました。

(引用:商願2022-19364

上記はおそらく、スターバックスとは全く関係のない第三者が出願したと思われます。

文言から想像するに、あのシャリシャリとしたフラペチーノについて飲みやすいストローを商品として販売したいとの意図があるのでしょう。

さて、これは登録に至るのでしょうか?

弁理士・商標好き太郎の今後の予想

ここからは私の予測も含めた見解としてお読みいただければ幸いです。

さて、この「フラペチーノストロー」は…

9割方、登録できない!

理由としては単純で、商標中に「フラペチーノ」が入ってしまっているからです。

「フラペチーノ」はもはやスターバックスの有名な商標(コトバ)となっていることは間違いないでしょう。

例え、スターバックス側が「フラペチーノストロー」を出願していなかったとしても、スタバの商品と誤認されてしまう可能性があります。

そういった誤認、特に一般の方の誤認を避けるためにあらかじめ登録不可と特許庁は判断するだろうと予想しております。

条文でいいますと、商標法4条1項15号に該当するということになりそうです。

(商標登録を受けることができない商標)
第四条

次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

十五

他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

出典:商標法 | e-Gov 法令検索

また、仮に登録されたとしても、その後取り消しを求めてスターバックス側が争いを起こす場合も十分に想定できます。

「フラペチーノストロー」が登録されると、フラペチーノ用のストローと一般の方が認識し、あのシャリシャリした飲み物をあたかも普通名称のように「フラペチーノ」呼びはじめ、それが浸透していってしまう可能性があります。

そうです!スターバックス側が避けたいであろう普通名称化するリスクが発生してしまうのです。

大事に大事に育ててきた「フラペチーノ」の普通名称化は許さない!

そんな考えから、スターバックスは戦っていくでしょうね。

まとめ

皆に愛されるスターバックス!そのブランドを守るために、企業も必死です。

そして、ブランド保護のための最たる法律が商標法です。

ブランド保護のために、商標法を活用しない手はありません。

ぜひ、商品やサービスの保護のために、商標専門の弁理士に相談してみましょう!

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