Menu

「ガチャガチャ」商標!テレビで起きた登録商標の問題とは?

「親ガチャ」「上司ガチャ」「配属ガチャ」。

偶然の選択であること、運次第を示す言葉として、近年「〇〇ガチャ」というのが定番表現に用いられるようになってきました。もちろん、この「ガチャ」の元となる言葉は、カプセルに入ったあのおもちゃの「ガチャガチャ」であろうと思います。

この「ガチャガチャ」自体は登録商標ですが、登録商標は口にしたり・ブログで宣伝することなどもダメなのか?

そんな素朴な疑問に現役弁理士が回答します!

<本記事を読むと…..>
・登録商標の使用についての陥りがちなミスが分かる
・登録商標は何を保護するものであるのかが分かる

「ガチャガチャ」は登録商標!

本屋・おもちゃ屋などの1コーナーに「それは」現れます!

透明ケース内に同じく透明カプセルがぎっしりと詰まっており、そのカプセル内にはキャラクター人形や消しゴム、スクイーズの商品など、たくさんの「宝物」が!

100円玉を入れ、何が出てくるか一瞬の高揚感とともにお目当ての商品が出てきた時の興奮。

筆者もガチャガチャが大好きでしたので、子供時の感情を今でも思い出せます。

そんなガチャガチャですが、実は登録商標というのをご存じでしょうか。

カプセルに入った人形・おもちゃというよりも、もう「ガチャガチャ」と呼ぶ方が市民権を得ており、普通はどのように言うのかさえもやや難しいことから、「ガチャガチャ」が普通名称かのように認知されていますよね。

しかし、そこはしっかりと商標権として現に有効に存続しておりますので、例えば、「ガチャガチャコーナー」などとして、いわゆる「ガチャガチャ」を置いてしまうと、それは権利の侵害である可能性が極めて高いです。

おそらく皆さんが想像するガチャガチャの登録商標は以下のものですね。

登録第2031315号

(引用:特許庁データベース-Jplatpatより)

こんなガチャガチャも登録商標!

上記掲載の通り、「ガチャガチャ」は登録商標です。

なーんだ。あのカプセルに入ったおもちゃについては「ガチャガチャ」が登録商標だったことなんて知っていたよ。というあなた!

実は、あのカプセルに入ったおもちゃとしての「ガチャガチャ」ではなく、菓子およびパンなどの「ガチャガチャ」も登録商標だったのはご存じでしょうか?

実は、カタカナ表記のガチャガチャは、皆さんが真っ先に想像する株式会社バンダイが権利者であるあのおもちゃの「ガチャガチャ」以外にも3件登録商標となっています。

なぜ、言葉としての「ガチャガチャ」が複数登録商標であるかというと、音の響きなど非常に魅力があるためです。

  • 1、同じ単語を繰り返すという手法は商品名などとして覚えてもらいやすいリズムを作る
  • 2、擬音語としての「ガチャ」(=鍵を開けた時の音など)は既に存在する言葉であるため、やはり耳に残りやすい
  • 3、音の数もちょうど良いため、似た音の登録商標も発見されなさそう。つまり登録しやすそう

このように、一般的な商品名であると思っても、商品名などに使うことは大変危険な行為であることがお分かりいただけるかと思います。

「ガチャガチャ」はれっきとした登録商標!

普通名称であると誤解されがちですが、勝手に使用した場合には権利の侵害になる可能性大です!

羽鳥アナも当然黙る。登録商標は口に出すのもダメなのか?

商標登録は「言葉」としての登録ではない

ある情報番組で、羽鳥アナウンサーが「ガチャガチャ」という登録商標を言おうとしてやめたというシーンを観ました。

ここに、「登録商標」「商標権の侵害」について大いなる勘違いが含まれていると筆者は感じます。

結論、言葉として発するということだけで、商標権の侵害になることはほぼありません。

例えば、登録商標をノートに記載したり、ツイッターでつぶやいたりすることは商標権の侵害となることは通常ありません。

ですが、一般の方にとってみると、登録商標を使用するということは結構ハードルが高く感じるのかもしれませんね。

生放送のテレビ番組であり、発した言葉を取り消すことができないという緊張状態にあった羽鳥アナウンサーはとっさの判断で「ガチャガチャ」と言うことさえも控えたのかもしれません。

ちなみに、「商標=言葉の登録である」「この言葉をどのようなシーンにおいても誰にも使わせたくない」という誤った認識・解釈は、弁理士として日々業務に当たる筆者も結構出くわしたりします。

と言いますのも、商標登録についてご相談頂いたクライアント様から、この「言葉」を登録したいと度々言われるためです。

商標登録というのは「言葉」単独で登録するということはできず、その商品名やサービス名として使用するのかを指定する必要があり、商品サービスと結びつけない形での登録は一切できません(これを難しい言葉で「商品役務の指定」といいます)。

洋服の名前、スポーツジムの名前、アプリの名前等々、登録しようとするものについては、必ず商品サービスを指定しなければなりません。言い換えると、商標として登録されていたとしても、単に言葉を使用されているだけではそもそも侵害を問うことができない可能性が高いということになります。

一般人が見落としがちな侵害の要素とは?

侵害の1つの要素として重要なのが、「業(ぎょう)として」という要件です。

商標権の侵害であるというためには、この「業(ぎょう)として行っていること」、つまり、ざっくりいうと、侵害を犯した者が商売として行っていることを要します。

例えば、Twitterでよくつぶやかれている「スタバなう。」という言葉。

こちらは大方「スタバにいるよ!」ということをつぶやいているのみで、何もスタバという店名や商品を売っている訳ではないので、スターバックス・コーポレイション社の商標権を侵害しているとは言えません。

一方、喫茶店のマスターが自分のお店を宣伝する際に「スタバなう。」と看板に記載するなどの行為は、スターバックス・コーポレイション社の名声を利用しようとしている事実が認められますので、場合によっては侵害が認められるケースです。

侵害の要件として、「業(ぎょう)として」使っていることが必要。

商標の使用がなんでもかんでも侵害になるということではないのでご注意を。

まとめ

ご自身の判断で、商品名を決めるのは大変危険な行為!

必ず、商品サービスを開始する際は、商標の調査などを行い安全に使えるものか、確認してからにしましょう。

商標調査は専門的な知識を必要としますので、商標専門の弁理士にぜひご相談ください。

商標登録の関連記事

タグ
商標登録は専門の弁理士にお任せ
まずは気軽に無料相談を!