次の仮面ライダーシリーズを商標分野から推測!
ほぼ毎年、新作シリーズが発表される仮面ライダーシリーズ。
今も昔も、子どもたちのヒーローであり続けていますよね。
毎年出されるシリーズもの、そして大ヒットコンテンツとなりうる超人気作品。
この二つのフレーズだけで、商標を調べたくなってしまうのが、我ら商標専門弁理士の職業病!
本記事では仮面ライダーシリーズのシリーズ作を商標登録の面から、現役弁理士が解説します。
<本記事を読むと…..>
・企業にとっての商標登録の重要性が分かる
・商標登録をしないことによるリスクが分かる
公開情報から次の仮面ライダーシリーズを推測する!
次回作の仮面ライダーシリーズ名を公開されている情報から推測するのは可能か?
結論、可能です。
仮面ライダーシリーズの商標権は東映株式会社が権利者となっております。
当然この東映株式会社は、仮面ライダーシリーズの名前が決まり次第、商標登録出願をしていますが、なんと「仮面ライダー〇〇」のほとんどの出願が4月から6月あたりに集中しています!
つまり、4月から6月に特許庁データベースをチェックすれば、次の仮面ライダーシリーズ名が一足先に分かってしまうのです。
この方法は特段難しくはないので、興味ある方は調べてみてはいかがでしょうか。
ステップ1
「特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP]」をGoogle検索
ステップ2
「商標」にカーソルを合わせ、「商標検索」をクリック!
ステップ3
以下のように、商標(検索用)に※「仮面ライダー?」と、出願人/権利者/名義人に「東映株式会社」とそれぞれ入力。
※商標検索の際の「?」は、ここはどのような単語がきても良いことを示します。
今回の例で言うと、「仮面ライダー〇〇」を調べたい時に、この「〇〇」にあたるのが「?」マークなのです。
やはり今回の仮面ライダーシリーズである「仮面ライダーリバイズ\KAMEN RIDER REVICE」も2021年5月の段階で出願されていましたね。
商標を調べることにより、企業の知財戦略も知ることができます。
特許庁のデータベースは無料公開情報だから、積極的に調べ、知財に関する見識を深めましょう!
東映株式会社が公開前にシリーズ名を明かす理由
東映株式会社はサプライズ感がなくなってしまうのに、何故作品公開前にシリーズ名を公開するのか?ズバリ理由として、「他人にその商標を使われたくはないから。」
但し、公開しているというよりも、公開せざるを得ないの方がより正確です。
転ばぬ先の商標登録
権利について発生するのであれば当然のことながら権利を取得している内容を公開している必要があります。それは何も知的財産権に限ったことではないですが。
当然商標権も権利ですから、どのような言葉がどのような範囲で権利はいつまで続くのかをしっかりと公開する必要があります。
しかし、商標と同じ知的財産権の中でも、異なるルールとなっている法律もあります。
例えば、特許法。
特許(発明の保護する制度)は一定期間公開されない時期というのがあります。また、意匠(物のデザインを保護する制度)でも、秘密意匠制度というものがあり、請求により一定期間公開されないという制度があります。
一方で商標にはそのような制度が一切ありません。
その理由は、発明やデザインと異なり、商標は作ったものではない=創作物ではないと考えられているためです。
企業の本音!本当は公開したくないけれども……
上述したように、予め仮面ライダーシリーズ名を公開してしますと、どうしてもサプライズ感は弱まってしまいます。現状、例えば「仮面ライダーリバイス\KAMEN RIDER REVICE」と作品が発表されても、一定数が既に知っていたという状況になっている訳であるため、本音としては公開はしたくないのでしょう。
商標弁理士としては、どうしてもここに企業様の苦悩が垣間見えてしまいます。
(苦悩というのは少し言い過ぎかもしれませんが)
図式で示すと以下のようになります。
- 商標登録出願することによる利益>シリーズ名を先に公開することによるサプライズ感の減少等の不利益
つまり、企業としてより堅実な方を取りにきているという印象を受けます。
独占したい言葉がある場合に、商標登録をしていないということは、丸腰で戦いに挑んでいると言っても過言ではありません。
そして、大企業ほどその商標を保護しないことのリスクを分かっています
- 他人の権利を侵害することによる金銭的な損失。
- 知的財産権について意識の低さを露呈する企業ブランドの毀損。
- 商標(商品名やサービス名)を再び変えるロス。
それらのリスクがある以上、サプライズ感がなくなろうが構わないのかもしれません。
商標登録は早いもの勝ち!登録したい言葉がある場合は、早めに行動すべし。
一般人が「仮面ライダー〇〇」を出願したらどうなる?
これは十中八九、登録不可です。
というのも、仮面ライダーシリーズ=東映株式会社のコンテンツということが世間に知れわたっており、この仮面ライダーシリーズ名を全く関係のない会社や個人に登録を認めることは東映株式会社だけでなく、一般人の人にも不利益が生じると考えるためです。
要は特許庁も世間への影響を考慮して先回り的に登録不可とするのです。
商標法の条文として、4条1項15号、または19号に該当することが濃厚です。
つまり、全く関係のない会社や個人が「仮面ライダー」を含んだ商標を出願した時点で、東映株式会社と何か関係があるのかなという誤認を与えかねないとしてほぼほぼ登録不可となると考えられます。
まとめ
独占したい言葉やロゴがある場合は、必ず商標登録を行いましょう。
商標登録出願自体は個人でも行うことはできますが、我々弁理士は日々言葉や商標の研究を欠かしていません。
一般の方では気づかないような知識やアドバイスを得ることができますので、ぜひ専門家である弁理士に相談してみましょう。
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弁理士歴7年。商標調査の件数は、5200件を突破しました。 商標のニュースは常に気になり、商標をこよなく愛する商標好きの 事務所勤務の弁理士です。好きな商標の言葉は、登録査定。
Twitter:@syohyosuki
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