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動き商標とは?現役弁理士が徹底解説します!

動きの商標

動き商標とは何なのかよくわからない。とお悩みの方もいらっしゃると思います。

動き商標は、2015年に導入された比較的新しいタイプの商標です。動きで表現できる範囲を商標として押さえることで、他社に対する優位性を確保することができます。

本記事では、動き商標とは何か、また、簡単な類否判断の方法についてもご紹介いたします。

ある程度理解をしたら、あとは弁理士に相談しましょう!

商標とは?

商標とは、商標となりえる「ネーミング」に該当する部分と、その「ネーミング」で使用する商品・サービス(商品は目に見えるもの・サービスは目に見えないもの)に該当する部分を組み合わせることで成立します。

例えば、ネーミング「宅急便」は、第39類で「貨物車による輸送、貨物自動車による輸送」で商標を取得しております。

したがって、上記商標を保有しているヤマトホールディングス株式会社以外は、上記ネーミングと上記サービスの組み合わせを使用すると、商標権を侵害することになります。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1992-274672/2FF0F85888AFB03BBACB9E573714EADE713110AA3942B27AF9D4D493FF18FE88/40/ja

なお、サービスについては、「貨物車による輸送、貨物自動車による輸送」で取得されているので、「船舶による輸送、航空機による輸送」は含まれません。

商標の種類

今回、ご説明する「動き」以外にも、文字・図形・色・音等の様々な種類の商標があります。

詳細はこちらから確認してください。
商標の種類とは?種類や役割をわかりやすく解説!

新しいタイプの商標とは

従前は、新聞や雑誌等に対して文字を掲載することで、商品及びサービスの提供を行ってきましたが、スマホやPC等のデバイスの発達やインターネット環境の充実化に伴い、新しい形で商品及びサービスを提供することも増加してきました。

そして、海外諸国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス等)は、既に音や色彩等を商標として保護されていました。

このような実情から新しいタイプの商標が2015年に導入される運びになりました。

このタイプは大別すると、5つになります。

  • 1)動き:時間の経過に伴って、変化する文字や図形
  • 2)音:TVCMで使用されるサウンドロゴなど
  • 3)ホログラム:図形が見る角度によって、変化してみえるもの図形や写真
  • 4)色彩:輪郭のない色彩のみからなる図形
  • 5)位置:図形等が商品の特定の位置にある図形

動き商標

動き商標とは、「商標に係る文字、図形、記号、立体的形状又は色彩が変化するものであって、その変化の前後にわたるその文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合からなる商標のうち、時間経過に伴って変化するもの」と定義されています。

簡単に説明すると、「文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標」になります。具体例としては、パソコンやスマホ等のモニタに映し出され、時間の経過で変化する文字や図形等になります。

つまり、時間の経過に伴って変化する。を表現するために、「変化の状態が特定されるように表示した一又は異なる二以上の図又は写真」を表示して、「動き 商標」を表現する必要があります。

動き商標 具体例

上記より、以下に具体例を説明します。

大きくは2種類に大別されるので、各々を説明いたします。

  • (1)図で表現される動き商標
  • (2)写真で表現される動き商標

(1)図で表現される動き商標

商標登録第5808807号 富士通株式会社

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-030220/EEB5264D48EF3D5563955759B486E79C8C646CD57C15EF518CFB97C7FC2385DC/40/ja

4枚の画像が時間の経過に伴って変化します。

1枚目の画像:FUJITSUのロゴが表示されています。

2枚目の画像:「F」の上部に吹き出しが入り、この吹き出しには、「shaping tomorrow with you」が表示されています。

3枚目の画像:2枚目で表示された吹き出しが大きくなり、左側へ移動します。

4枚目の画像:「F」の文字が左側上方に表示されています。

→これらの説明は、商標登録願に記載された「商標の詳細な説明」からも確認できます。

(2)写真で表現される動き商標

商標登録第5846051号 株式会社アートネイチャー

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-036788/E40E83BFF92F71975F48AD4FF2C525A82A67083DB953D80B43B5AB618D480BDC/40/ja

17枚の画像が時間の経過に伴って変化します。

動き商標を取得するときのポイント

1)商標欄には、願書に記載した商標が、時間の経過に伴う標章の変化の状態が特定されるように表示された一又は異なる二以上の図又は写真であって、商標の詳細な説明に、動き商標と認識し得る記載する必要があります。

以下のような場合は、時間の経過に伴う変化の状態が特定できないため、動き商標としては認められません。

参考:https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/newtype/document/new_shouhyou_video/01.pdf

2)商標出願人側の意思として、商標記載欄の下に【動き商標】を記載します。

3)2)で記載した動き商標の下に、商標の詳細な説明を記載します。

つまり、「動き 商標」を構成する標章の説明及び時間の経過に伴う標章の変化の状態(変化の順番、全体の所要時間等)についての具体的かつ明確に記載する必要があります。

さらに、動き商標は、標章が変化する時間(所要時間)によって、需要者の受ける印象が変わるため、所要時間を記載する必要があます。つまり、約5秒間や5秒~10秒と幅を持たせることは具体的かつ明確ではないため認められません。

動き商標を取得するメリット

動き 商標を取得するメリットは主に下記の2点です。

  • 動きに特徴がある図形や写真などを保護できる。
  • WEB媒体等の幅を広げることができる。

動きに特徴がある図形や写真などを保護できます。

文字や図形等が時間の経過に伴って変化することが保護対象であるため、静止画1枚で消費者に認知してもらうよりもTVCMなどの動画で消費者に認知してもらう方が消費者の記憶に残りやすいです。

そして、その記憶に残りやすい部分こそ、商品やサービスを提供するうえで、他社に真似されたなくないブランディングになると思いますので、この部分を保護することができます。

WEB媒体の幅を広げることができます。

二点目として、一点目と重複する部分もありますが、TVCMに限らず、WEB媒体を閲覧していると、色んな広告を見ることがあると思います。youtubeを視聴中にも広告が再生されますし、yahooのトップページに広告が再生されています。

これらの広告は動的に表示されるものであるため、動き商標を活用することで、広告で再生する際に重要な部分を保護することができます。

動き商標 類否判断

動き商標における類否判断としては、以下の手順で実施します。

(1) 全体観察

動き商標を構成する標章とその標章が時間の経過に伴い変化する状態から生ずる外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合して、商標全体として考察します。

(2)動きそのものについて

 原則として、動きそのものについて、独立して自他商品・役務の識別標識として

の機能を果たし得る部分(以下「要部」という。)として抽出することはありません。

動き商標間の類否について

(ア) 時間経過に伴い変化する状態が、軌跡が線として表現される動き商標の場合、その軌跡が同一又は類似の軌跡であれば、原則として類似します。

(イ) 時間経過に伴い変化の状態が軌跡として残らないような動き商標の場合、原則として、類似しません。これは、上部が球体であるのに対して、下部が紅葉であり、外観・称呼・観念のいずれも異なるためです。

動き商標と文字商標等との類否について

 (ア)  時間経過に伴い変化する状態が、軌跡として線で表現される動き商標と、その軌跡により形成された商標と同一又は類似の商標であれば、原則として類似します。

(イ) 時間経過に伴い変化する状態が、軌跡として線で表現される動き商標と、その動き商標と同一又は類似の図形商標であれば、原則として類似します。さらに、時間経過に伴い変化する状態が、軌跡として線で表現される動き商標と、その軌跡により形成された商標と同一又は類似の商標であれば、原則として類似します。

図形商標の検索方法

j-platpatを使った調べ方

j-platpatでの調査方法を紹介します。

商標で「商標検索」を選択します。

称呼がわかっている場合は、全角カタカナで調べたい言葉を入力いたします。

例えば、「ヒサミツ」と入力します。

この状態で、「検索オプション」の「開く+」ボタンを押します。

開いた状態で、「動き商標」にチェックを入れます。

この状態で、検索ボタンを押します。

押すと、久光製薬株式会社が出願している動き商標を確認することができます。

まとめ

動き商標は理解いただけたでしょうか。今後、活用の幅がますます広がっていくとおもいますので、積極的に動き商標を出願していきましょう。不明点があれば専門家である弁理士に相談してみてください。

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