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QRコードという言葉は使用してもいいの?商標は?弁理士が徹底解説します!

QRコード 商標

急に使われ出した言葉・死語となった言葉など、世の中の言葉は日々変化をしていきます。

例えば、「ガラケー」という言葉。ガラケー自体はほとんど見なくなりましたが、最近では「ガラケー」という言葉自体もほとんど目にすることはなくなりました。

そんな変化の中で、一般的に広く使用されてしまったが故に、普通名称であるかのように認識されている登録商標も一つや二つではありません。今日は、その「不遇な登録商標」(=筆者の考えた言葉です)の一つを紹介していきます。

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QRコードは登録商標なの?

突然ですが、皆様!

「バーコード」ってご存知でしょうか?

いやいや、これは愚問だったかもしれません。

そう買い物をする際に、商品の裏側に付されている多数の線で構成されているマークですね。ピッと読み込むあの独特の模様です。

では、「二次元バーコード」はご存知ですか。

正直、私は「二次元バーコード。。。???」となってしまいました。

そう!こちらは、皆さんが馴染みの言葉に置き換えると、「QRコード」でございます。

この関係はなかなか興味深く、おそらく皆さんの認識と反対になっているかもしれません。

というもの、

  • 「二次元バーコード」=普通名称
  • 「QRコード」=登録商標

なのです。

つまり、業として(簡単にいうと「商売として」)、このQRコードという言葉を使用すると、権利の侵害となってしまいます。

QRコードの使用はOK?

基本的に使用不可です。

(引用:特許庁データベース Jplatpatより)

(侵害の要件)

  • 1.登録商標として現に存在している
  • 2.使用許諾などを受けていない
  • 3.業として使用している(簡単に言うと「商売として」)
  • 4.登録商標について無効となる理由もない

上記4つの要件が揃えば、基本的には侵害を構成しますから、場合によっては懲役刑や罰金刑を受けることになります。

では、何故この登録商標「QRコード」が皆さんの注目を集めているかと言えば、それは皆さんの認識としてこの言葉が限りなく普通名称に近いから。

誰もがこのマークを見た時に、「QRコードでしょ。」と思いませんか?

と同意を強要するつもりはありませんが、少なくとも私は「QRコード」が登録商標であるとは考えませんでした。

このような状況になった要因は多数あると思いますが、一番はこの「QRコード」の言葉が出来たとき、そもそも二次元バーコードがまだ世に浸透していなかったからというのが主な要因と筆者は考えます。「QRコード」=このバーコード=普通名称として誤認という構図が出来上がってしまい、それが広まってしまったものと考えられます。

権利保有企業が定めている特殊ルール

この「QRコード」は株式会社デンソーウェーブが商標権者となっております。

普通、商標権者からすると、どんな形であれ登録商標を勝手に使用されるのは避けたいと考えるもの。しかし、この株式会社デンソーウェーブはしっかり「QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。」と記載すれば、使用しても良いと記載されております。

(引用:https://www.qrcode.com/faq.html

これを見ると、株式会社デンソーウェーブがある程度普通名称的に使用されることを認識していると推測します。そして、世間一般にもそのような状況が浸透しているのをやむなしと考えている節があります。普通は、二次元コードという名称をお使いくださいと案内するところを、登録商標である旨を表記はしてくださいね。とやや一段柔らかい表現にしています。

QRコードはこう言い換えよう!

一般名称であれば、使用可である。

先ほど記載をした通り、QRコードは「二次元バーコード」と言い換えましょう!

正直、「二次元バーコード」はなかなか馴染まないかもしれませんが、これであれば、他人の権利を侵害することはありません。

ここで、QRコードは普通名称的だから、使っても大丈夫と判断し、使用をするのは大変危険!確かに、商標法には26条に近しい規定はございます。(商標権の効力が及ばない範囲)しかし、これは、裁判所が普通名称と認定したり、明らかに普通名称になっているもの以外を使用可とする規定であり、後述するように絶対使用不可となる理由もありますので。

商標の面白さがここにある

これは、専門家からの見方になってしまいますが、やはり商標は面白いなと感じます。

というのは、商標登録をしていたとしても、すべてがきちんと守られる訳ではなく、その後の使い方で保護が十分になるか否かが決まるという商標が生き物であるかに感じられるためです。

上述の通り、おそらく二次元バーコードがあまり普及していなかったがために、QRコードの名称が二次元バーコードに代用されてしまい、不本意な形で広まってしまったものと考えます。企業としては使用開始時に、「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。という風に、しっかりと表示しなければならなかった。もしかすると、表示していた可能性もありますが、それを上回る勢いで広まってしまったのかもしれませんね。

QRコードの裁判例

株式会社デンソーウェーブが保有する登録商標「QRコード」は不使用取消審判という審判を起こされたことがあります。不使用取消審判とは、この登録商標は使っていないから取消欲しいというのを求めるものです。もちろん、3年間不使用であるなどの要件があるため、簡単に起こせるものではないですが、どうにか株式会社デンソーウェーブの権利を取り消そうとした企業があるのですね。

結論から言うと、権利が取り消された訳ではありませんでした。

それどころか、「QRコード」は普通名称とはなっていないと判断されています。

つまり、裁判所としての最終判断も普通名称ではないとしているため、「QRコード」の使用はダメということになります。

知財タイムズからのお知らせ!

「QRコード」の事例のように、広くユーザーに知れ渡った時に、商標登録をしていなかったらすぐに模倣されてしまいます。

商標と登録は自社のブランド・製品を守る大切な権利です。
しっかりと弁理士に相談しておきましょう!

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