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商標侵害!マツキヨのマスクを模倣し9,000万円荒稼ぎ!?

マツモトキヨシPBのマスクを模倣し販売した業者が、商標権侵害の疑いで逮捕され大きな話題となりました。

今回はこの事件の内容と、商標侵害・不正競争防止法について触れていこうと思います。

事件の内容は?

マツモトキヨシはプライベートブランドで「耳が痛くなりにくいマスク」販売していましたが、酷似している商品を販売している業者が商標侵害しているとして逮捕されたというのが事件の概要です。

コロナ禍でマスク着用が必須となる中、マスクを付けると耳が痛くなる!というユーザーの悩みに応えた商品として、マツキヨの「耳が痛くなりにくいマスク」は大ヒットしていました。

この大ヒットに便乗し、模倣品のマスクは2020年の3月から7月(およそ4ヶ月)の間で約5万3000箱をインターネットで販売。合計9,000万円以上を荒稼ぎしています。

マツモトキヨシもこの状況は把握しており、2020年5月19日時点で同社ウェブサイトにてユーザーに注意喚起を促していました。

模倣品を見てみると、酷似したパッケージになっておりパッと見区別がつきません。
左上にPBブランドマークが書かれていないことと、内容量が50枚になっていること以外ほとんど同じですね。

マツモトキヨシ マスク コピー品
マツモトキヨシ マスク コピー品

(出典:マツモトキヨシ 2020年05月19日:「弊社プライベートブランド商品と記載されたマスクの非正規販売にご注意ください (PDF:798.31KB)」)

裏を見てみても、マスクのつけ方の画像まで同じです。

しかしよく見ると、販売社名の詳細や素材提供会社のクラレのロゴが外されています。
JANコードも記載されていません。

ちなみに販売価格は正規品が698円(+税)なのに対し、一箱1,130円〜1,980円で販売されていたようです。

どこが商標侵害?

模倣品なのは一目瞭然だったのですが、どこが商標侵害に当たったのか気になったので調べて見ました。

おもて面のロゴは丁寧に外されていますので、おもて面で商標侵害になる箇所はなさそうです。
しかし裏面をよく見てみると、左下に「マツモトキヨシホールディングスのオリジナル商品です。」の一文が!

マツモトキヨシという文字はしっかりと商標登録されていたので、おそらくここで商標侵害となったのではないでしょうか。

「耳が痛くなりにくいマスク」の商標は?

最初は「耳が痛くなりにくいマスク」という商品名で商標を取っているのでは?と思い調べてみましたが、どうやら商品名では商標は取っていないようです。

しかしマツモトキヨシではなく、ライセンスインターナショナルという会社が同じ名前で商標を出願していました。
現在審査中で、まだ査定とはなっていない状態です。

耳が痛くなりにくいマスク

(JPlatpatより抜粋)

このライセンスインターナショナルという会社は「激落ちくん」や「バルサン」などを販売するLECインターナショナルの子会社のようです。

「激落ちくん」や「バルサン」はマツモトキヨシの店頭にも並ぶ商品ですので、ライセンスインターナショナルが妨害のために商標を申請したとは考えづらいです。
2社間でなにかしらの取り決めがあるのかもしれません。

仮に全くの無関係で、この商標が査定となれば「耳が痛くなりにくいマスク」は更なる波紋を生むのではないでしょうか……

マツモトキヨシが商標を出願してなかったら…?

もしマツモトキヨシが商標を取得していなかった場合、このようなコピー品は野放しになってしまうのでしょうか。

答えはNOです!

コピー品・模倣品に関しては商標侵害の他にも、不正競争防止法で対応することができます。

不正競争防止法とは?

公正な競争を確保することで、事業者の営業上の利益の保護するための法律です。

昭和9年に制定され、時代に合わせて改正を重ね今に至る法律です。最近では平成30年にITに関する内容を改正しています。

法律では具体的にどのような行為が不正競争にあたるのか、10個の定義を設けています。詳細はこちらをご確認ください。
不正競争防止法の概要

例えば

  • 豚肉を混ぜたひき肉を「牛ミンチ」として出荷
  • 中古車の走行距離を図るメーターを改ざんし販売
  • ヒット商品と同じ名前の模倣品を販売

これらの事例で実際に逮捕・実刑判決が起こっています。このように不正競争防止法では、商標法ではカバーできない不正行為を罰することができます。

今回のマスク事件でも、仮に商標を取っていなかったとしても不正競争防止法が適応されたのではないかと考えられます。

不正競争防止法のデメリット

では、わざわざ商標取得しなくても不正競争防止法で守られているから大丈夫!と思う人もいるかと思います。

しかし不正競争防止法には、訴訟をするのに非常に手間がかかるというデメリットがあります。

訴訟を起こす場合、”自社のブランド名・商品名は、消費者が「あの商品だ」と認識できるだけの知名度がある”ということを立証しなくてはなりません。

立証することができず、”ブランド名が周知のものである”ということが言えない場合は、不正競争防止法は適応されません。

模倣された場合、

  1. 商標を侵害されていないか
  2. 不正競争防止法に当たる行為をされていないか

という順番で考えましょう。

商標は取得しておくべき!

今回のケースでも商標を取得していたので、商標侵害でコピー品を摘発することができました。

模倣品から自社の商品を守る法律は

  • 商標法
  • 不正競争防止法

とありますが、商標を取得しておけばよりスムーズに対処することができます。

重要なのは正しい区分で商標を取得しておくことです!

何か新たな消費やサービスをするときは、まずはサーチをし他社の権利を侵害していないかもしっかりと確認しましょう。
その上で、自分が必要な区分を弁理士と相談し、決めていくことが非常に重要です。

また商標を取得しないで放置しておくと知らぬ間に他者に取られてしまった……ということにもなりかねません。

商標出願はなるべく早く行うことをお勧めします!

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