ヨガスタジオの商標の取り方!大手3社の商標区分と種類を徹底解説!
1990年代に世界で注目を浴びるようになったヨガ。2000年代に入ると日本にもヨガブームが訪れ、2020年の時点で日本におけるヨガ人口は推定1600万人。
ヨガスタジオの数も増え続けていますし、最近は個人でオンラインインストラクターを始める人も増えてきています。まだまだ成長するであろうヨガ業界では、商標登録についてもしっかりと検討が必要です。
そこで今回は、大手ヨガスタジオ3社の商標の取り方を解説します。個人で開業したヨガスタジオでも商標を取る必要があるかもしれませんので、参考にしてみてください。
<この記事でわかること>
・商標の基礎知識(区分・種類について)
・ヨガスタジオが取るべき商標区分
・大手ヨガスタジオがどのように商標を取得しているか
区分とは
商標の区分は全部で45種類に大分されており、区分数が増えるたびに費用が発生します。区分内で指定商品・指定役務と呼ばれる、商品やサービスの詳細を指定する必要がありますが、何個指定しても追加で費用は発生しません。
詳しい内容はこちらで解説しています。
→商標の区分とは?
種類とは
商標には文字・ロゴ・音声・形状など、様々な種類があります。
詳細はこちらの記事で解説していますので、確認しておいてください。
→商標の種類!現役弁理士がわかりやすく解説します!
ヨガスタジオが取得すべき区分
ヨガスタジオは、「教育、スポーツ・文化・娯楽サービス」の41類に該当します。ヨガスタジオを開くのであれば、必ず取得しましょう。
他にも商品展開・事業展開により必要となる区分がありますので、下記の一覧表をご覧ください。
区分 | 内容 | 備考 |
09 | PC、スマホ、アプリ | オンライン配信用のアプリや、インターネットを利用してダウンロードできる音楽ファイルなどは9類です。 |
16 | 紙、書籍、文房具類 | パンフレットや教材を作る場合は16類に該当します。 |
35 | 小売・卸売 | ヨガグッズやサプリメントなど他社製品を販売する場合は35類が該当します。 |
41 | 教育、スポーツ・文化・娯楽サービス | コンサートやセミナー、スポーツ興行の企画・運営などが該当します。こちらは必須で取得しましょう。 |
44 | 美容、マッサージサービスなど | 美容やマッサージのサービスは42類に該当します。 |
代表される5つの区分をあげましたが、オリジナルのヨガグッズやサプリメントを作る場合など、上記以外の区分も取得の必要がが出てきます。
ただ、幅広く事業を展開する予定がある場合には商標取得の費用もかさみます。
注力事業に絞って出願する・事業の展開次第で後から出願するなど、臨機応変に対応しましょう。
モデルケースで解説!商標取得の費用
商標の取得費用の相場は1区分・5年間での出願の場合、約17万円です。
- 合計費用:173,400円
- (内訳)特許庁費用:53,400円
- (内訳)弁理士費用:120,000円 (弁理士会調べの平均費用)
ロゴ・カタカナ表記の商標で2区分・5年間でとった場合の費用を見てみましょう。
ロゴ | 2区分取得 | 340,000円 |
カタカナ | 2区分取得 | 340,000円 |
合計 | 680,000円 |
2種類を2区分で取っただけでも、約70万円の費用がかかります。
弁理士費用は事務所によって異なりますが、ざっくりとした費用感は頭に入れておきましょう。
使用するロゴや文字・該当する区分など、全て取得すれば安心ではありますが、予算や事業内容を考慮し実際どこまで取得しておくべきなのかを決めるのが商標取得のポイントです。
それでは実際に大手3社の取得している商標について解説していきますので、参考にしてみてください。
LAVAの事例
LAVAとは
出典:ホットヨガスタジオLAVAホームページ(https://yoga-lava.com/)
日本にヨガブームが起きた当初から、日本のヨガ業界を牽引してきたスタジオの一つ・ホットヨガスタジオLAVA。2004年に1号店をオープンさせ、2006年には50店舗、2013年には100店舗と着実に規模を拡大し、2021年現在で全国に440店舗以上を展開しています。
国内スタジオの運営以外にも海外店舗のオープン、日本初体感ヨガムービーの公開、瞑想アプリサービス開始、LAVAオリジナルヨガウエアブランド発表など邁進を続け、新型コロナウィルスの感染拡大後の2020年11月にはオンラインヨガサービス「LAVAうちヨガ+」を開始しました。
LAVAが取得している商標
LAVAは合計70個の商標を取得しています。
- ローマ字表記 (51個)
- ロゴ (19個)
出典:J-PlatPat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)
70個のうち5個をピックアップしてみました。
各商標の取得区分は以下の通りです。
ロゴ(カラー・左上) | 35,41 |
ロゴ(モノクロ・左中上) | 35,41 |
ローマ字表記(サービス名・左中下) | 41 |
ローマ字表記(アプリ・左下) | 09,42 |
パッケージデザイン(右) | 05 |
LAVAの特徴
メインのロゴからアプリのロゴ、キャッチコピーやオリジナルの用語など合計70個の商標を登録し、しっかりと権利を守っています。一方、取得区分を見てみると、メインのロゴはスポーツ・娯楽サービスの41類と小売業の35類、パッケージデザインはサプリメントの5類のみなど必要最低限の取得に留め、41類を取得していない商標もあります。
必要最低限の区分に留めることで、多くの商標を登録しつつ費用は抑えられる取得の仕方です。後から再度商標を出願することで、区分を追加取得することもできるので、事業の展開次第で検討してもいいでしょう。
ちなみに、1号店オープン当初は株式会社ベンチャーバンクがLAVAの運営母体でしたが、2016年に株式会社LAVA internationalとして独立。そのためか、主にロゴは株式会社ベンチャーバンクが、ヨガのメニューやネーミングについては株式会社LAVA internationalが商標の権利を保有しています。
studio yoggyの事例
studio yoggyとは
出典:studio yoggy ホームページ(https://www.studio-yoggy.com/)
studio yoggyも2004年に1号店をオープンしたヨガスタジオで、ピラティスやマタニティクラス、studio yoggyが独自に考案・開発した「ビューティ・ペルヴィス®」など多彩なメニューが魅力。「メンズヨガ」クラスを全国で開催したり、音声ガイダンスで楽しむヨガ「音ヨガ®」をiTunes Storeのオーディオブックにて配信するなど、様々な方面に事業を拡大しています。
また、ヨガインストラクターの養成講座にも力を入れていて、オンラインでも受講可能。「ヨギー・インスティテュートラボ」では、インストラクター資格取得後も継続的なサポートメニューが用意されています。
studio yoggyが取得している商標
studio yoggyは合計12個の商標を取得しています。
- ローマ字表記 (4個)
- ロゴ (8個)
出典:J-PlatPat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)
12個のうち5個をピックアップしてみました。
各商標の取得区分は以下の通りです。
ロゴ(メイン・左上) | 16,18,25,28,35,41,44 |
ロゴ(アプリ・左下) | 09,20,27,35,41 |
ロゴ(文字・右上) | 16,35,41,44 |
ロゴ(サービス名・右中) | 09,41 |
ローマ字表記(サービス名・右下) | 16,35,41 |
studio yoggyの特徴
studio yoggy は、メインロゴと文字のロゴをセットで取得しています。これはオーソドックスな商標の取り方です。
区分を見ると、パンフレットや教材が該当する16類、運動用具が該当する28類など比較的広い範囲で取得していますが、35類や44類はオンラインストアのオープンに合わせて後から取得されています。
また、アプリのロゴでは枕やマットレスが該当する20類やヨガマットが該当する27類も取得しています。これは、今後の事業展開を見据えているのではないでしょうか。
商標登録が遅れてしまうと他の企業が先に登録してしまい、自分たちは使えなくなってしまうということもあるので、このように早い段階から権利を守ることも大切です。
SOELUの事例
SOELUとは
出典:SOELUホームページ(https://www.soelu.com/)
2018年に女性専用LIVEヨガレッスンとしてスタートしたSOELU。2019年には男性の受講も可能となり、2021年現在国内最大級のオンラインヨガ&フィットネスサービスへと成長しています。
自宅で気軽に受講できることからワーキングマザーが利用者の4割を占め、人気子育てアプリや大手化粧品会社などとも連携。オンラインでインストラクターの資格を取得できる「SOELU campus」や、podcastでの瞑想ラジオの配信など先進的な事業展開も特徴です。
SOELUが取得している商標
SOELUは下記の商標を取得しています。
- ロゴ(図形・左)
- ロゴ(文字・右上)
- ローマ字表記(右下)
出典:J-PlatPat(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)
SOELUも図形のロゴと文字のロゴをセットで取得しています。
各商標の取得区分は以下の通りです。
ロゴ(図形) | 05,09,41 |
ロゴ(文字) | 09,41 |
ローマ字表記 | 05 |
SOELUの特徴
サービス開始からまだ3年ということもあり、登録されている商標も区分も必要最低限。2018年の時点では文字のロゴのみの登録で、区分も41類のみでした。
翌2019年に文字のロゴで9類を追加取得し、2021年に図形のロゴを5類9類41類でまとめて申請しています。
また、アプリなどが該当する9類を図形のロゴ、文字のロゴ共に取得しているのはオンライン専門のSOELUの特徴と言えます。先に挙げた2つのヨガスタジオでは、メインのロゴでは9類は取得せず、アプリのロゴを別途商標登録しています。
図形のロゴとローマ字表記でサプリメントの5類を取得しているので、ゆくゆくはサプリメントの開発・販売も視野に入れているのではないでしょうか。
まとめ
今回はヨガスタジオ3社の商標について解説しました。
各社とも異なる取り方をしていますが、各社の戦略を見ていると以下の特徴があります。
- 事業展開・事業規模に応じて段階的に商標を取得している。
- 事業の展望を見据えて取得することで、早い段階から権利を守っている。
- 共通のロゴ+サービス名として使用することでブランドの統一感を出している。
また、特有の用語が多いヨガ業界は、ネーミングが被りやすいと言えます。きちんと商標を登録していないと、他社が先に登録してしまうこともあります。
そうなると、事業名やサービス名を変えなけばならず多額の費用が発生してしまいます。商品やサービスを開発したら、すぐに特許事務所に相談をしましょう。
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