知財EXPOに行ってきました!
第一回法務・知財EXPOに行ってきました!
法務・知財EXPOとはリードエグジビジョンジャパンの主催する大型展示会の一つで、主に法務・知財専門の展示会です!
https://www.office-expo.jp/ja-jp/about/legal.html
出展企業の多くは、法務顧問サービス、リーガルテックであったり、知財の管理サービス事業者また人事・総務管理代行事業者など様々で約500社以上の企業が出展しておりました!
実は今回が初の開催となる、法務・知財EXPO。
知財に関する注目が、社会的に高まっていることがわかります。
今回は法務・知財EXPO最終日に行われた特別講演の「事例に学ぶ・収益を上げる知財戦略立案のヒント」について書こうと思います!
特別講演の内容
特許庁の小松竜一氏がスピーカーを務める「事例に学ぶ・収益を上げる知財戦略立案のヒント」ですが、特許の主な役割と特許活用の成功事例を解説してくださいました。知財の初心者にとっても非常にわかりやすい内容となっていました。
各事例については特許庁の公開する
経営における知的財産事例集
という資料を元に解説をしてくださいました。
簡単に当日の講演内容をまとめていこうと思います。
特許の役割
特許の役割は大きく分けると以下の3つとなります。
- 独占
- 連携
- 信用
独占
独占は特許の最も代表的な機能であり、皆さんが思い描く特許の機能そのものです。自社の発明を真似されることを防ぐ機能があり、真似された場合は特許の侵害として訴えることができます。
Mieleの事例
経営における知的財産事例集のP.36に掲載されているMieleの事例は典型的な独占の事例です。
Mieleは創業以来続く、「必要な時に自分たちで開発せよ」という哲学に基づいて事業を行なっています。そのため、プロダクトは部品から全て自社で開発を行なっています。特許や意匠などの権利を組み合わせ、市場に独自の地位を築いている企業です。
連携
連携とは自社の特許を活用し、他者と連携(外注)をして成長を広げることを指します。
メリットとして業界の垣根を超え、様々な企業とともに事業を行うきっかけとなることや、今まで取引のなかった大手企業とつながりを持つこともできる、自社のマーケットを拡大することができるなどが挙げられます。
話題のオープンイノベーションもこの連携にあたります。
オープンイノベーション
オープンイノベーションは以下の2つのタイプに分かれます。
- アウトサイドイン
- インサイドアウト
アウトサイドイン
アウトサイドインとはインバウンドとも呼ばれ、事業過程の一部や知財活用のアイデアを外部から取り込むことを指します。例えば、保有する特許を用いた商材開発に必要な部品などを自社で製造せず外部に委託することは、このアウトサイドインにあたります。
また保有している知財の活用アイデアや、ユーザーニーズなどを自社に取り込む事もこのアウトサイドインにあたります。
PHILIPSの事例
PHILIPSでは「他社で作れないものを自社で作る」という思想の基、事業を展開しています。上記で紹介しているMieleとは正反対の事例です。製品開発を行う上で、他社が開発可能なものは全て他社に委託をし、自社だけが作れるものにより多くの資源や時間を投資し事業を拡大しています。
これはアウトサイドインのオープンイノベーションで成功している事例の一つです。
また同社では知財部の位置付けが少し他社と異なっており、本来R &D部門や事業部門が担うコアコンピタンス(自社の強み)の特定を行っています。
PHILIPSがいかに自社の持つ知財に重きを置いているかがわかる事例です。
インサイドアウト
インサイドアウトとはカーブアウトとも呼ばれ、自社の休眠特許や活用しきれていない知財を切り出して、別事業として開発を行ったり、他社と共同で開発を行うことを指します。
自社の持つ休眠特許をライセンスとして貸し出し、別の企業に開発を任せることもこのインサイドアウトにあたります。
Deutsche Telekom(ドイツテレコム)の事例
ドイツテレコムでは、将来的にイノベーションを起こすサービスの創出を重視しており、自社の持つ知財を用いて他社と連携しながら収益化をすることを目指しています。
オープンイノベーションの起点となる「T-Labs」という組織をもち、この「T-Labs」を拠点に多くのスタートアップと連携をして事業を展開しています。
まさにこれはインサイドアウトのオープンイノベーションにあたります。
ドイツテレコムが自社の持つ休眠特許の将来的価値や特徴を、正確に把握できているからこそできる事業展開の方法でしょう。
信用
最後に信用ですが、この信用と企業が特許を保有することで、社会的に大きな信用を得ることを指します。
この信用によって、企業は
- 広告宣伝効果
- 資金調達に役に立つ
というメリットを得ることができます。
そのため企業はエンジェルの段階から、しっかりと知財戦略を取り入れることが重要なのです。
特にエンジェルの段階ではプロダクトが定まっていない場合もあるので、
特許の権利範囲が非常に重要になってきます。
権利の範囲が狭すぎた場合、類似の発明を他社に権利取得されてしまうことも考えられますので、早い段階でしっかりと知財戦略を練ることが重要です。
また知財戦略を練るのに最も重要なポイントは、自社のビジネス領域にも知見があり、信頼のおける弁理士を見つけることです。
将来のビジネスの成功のためにも、自分にあった弁理士を探しましょう。
行ってみた感想
実際に特別講演を聴講し、知財の重要さを改めて実感しました。
昨今オープンイノベーションなどでも注目を浴びていますが、やはり知財は事業の成長のカギを握る非常に重要な権利です。
個人事業から大手企業まで、しっかりと知財戦略を練っておく必要があるということを特別講演を通じ感じました。
特許は縁遠いと思っていたが実はそんなことがなかったんだ!と気づく企業もこれから増えてくるでしょう。
皆さんも特許だけでなく、知財全般の企業戦略を一度しっかり見直してはいかがでしょうか。
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