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企業知財部からみたパテントトロール!裁判事例や対策を徹底解説!

パテントトロールという言葉を聞いたことがあるでしょうか?特許権による権利行使によって収入を得ることを目的として活動している個人や団体のことです。パテントトロール自体は製品の製造や販売を行っていないため、対抗手段が限られているので、目を付けられると厄介ですよね。

今回はパテントトロールの事例を紹介しつつ、中小企業としての対処法についても解説します。

<この記事で分かること>
・パテントトロールのビジネスモデル
・日本や米国でのパテントトロール訴訟事例
・中小企業のパテントトロール対処法

(執筆:知財部の小倉さん

パテントトロールとは

パテントトロール(パテント・トロール)は、自らが保有する特許権を侵害している疑いのある者に特許権を行使して賠償金やライセンス料を得ようとする者です。

パテントトロールの多くは、自らはその特許にかかる発明を実施していません(例えば、発明を使用した製品の製造販売やサービスの提供をしていません)。そのような特徴から、以前は「特許不実施主体」(NPE:Non-Practicing Entity)と呼ばれていましたが、NPEには大学や研究機関も含まれてしまうため、「特許主張主体」(PAE:Patent Assertion Entity)と呼ばれています。

本記事においてもパテントトロールはPAEの意味として説明していきます。

パテントトロールについてはこちらの記事で米国弁護士&日本弁理士が詳細に解説しています。
→ 参考:パテントトロールって何?!米国弁護士&日本弁理士が解説!

パテントトロールは儲かる?

パテントトロールのビジネスモデルは、儲かるように作られています。具体的には、自社で特許を取得もしくは他社から購入します。そして入手した特許を使って事業会社に権利行使をし、和解金をもらいます。

なるべく短期間で「獲得した解決金>投資額」となれば儲けも大きくなります。パテントトロールは訴訟費用の相場もよく知っていますので、和解金として訴訟にかかる費用よりも安い和解金を提示することで、支払いをしたほうが得のように思わせてくるようです。このようなテクニックを駆使して、短期間でなるべく高い金額を儲けることができます。

参考:企業内弁理士から見たパテントトロールの動向調査報告(パテント2016 Vol.69)

パテントトロールのやっていることは違法行為?

実は、違法行為ではありません。合法だからこそ困っているという状況です。パテントトロールは正当な権利者から特許権を購入して、その権利範囲に含まれる技術を実施している会社に声を掛けます。そしてお互いが納得した金額で、和解金をもらいます。

訴えられる側としては、パテントトロールは事業をしていないため、別の特許で権利行使をし返すこともできませんので、非常に交渉しづらいです。こちらは製品の差し止められる弱みがあるのに、パテントトロール側は差し止められる事業もないという厳しい状況となります。

国内外のパテントトロール訴訟事例

以下ではパテントトロールの実際の裁判事例を見ていきます。米国と日本とで代表的な事例を紹介します。

参考:パテント・トロールの現状と問題点(知財ジャーナル2008)

米国の訴訟事例:ブラックベリー事件

NTP, Inc(以下、NTP社)が携帯情報端末ブラックベリーに関して、カナダのResearch in Motion Limited(以下、RIM社)と争った事例です。「ブラックベリー」はRIM社が開発した情報端末でビジネスマンを中心に人気となりました。

NTP社は自身が保有していた無線通信システムの特許を侵害したとしてRIM社を訴えたところ、バージニア州東部地方裁判所はNTPの主張を認め、5370万ドル(約53億円)の損害賠償金の支払いをRIM社に命じました。

もちろんRIM社は控訴しましたが、最終的には6億1250万ドルの和解金をRIM社がNTP社に支払うことで2006年3月に事件が終結しました。

日本の訴訟事例:ADCテクノロジー社

ADCテクノロジー社はソフトウェア開発を行う会社ですが、携帯電話関連の「二画面携帯」に関する特許をオランダのReem Properties B.V.社から取得し、NTTドコモに対して特許権を侵害しているとする警告状を送付しました。

NTTドコモは携帯端末の製造元であるNECとともに、ADCテクノロジー社は損害賠償請求権や不当利得請求権を有さない確認訴訟を東京地方裁判所に求めました。結果として、ADCテクノロジー社の特許は取り消されることとなりました。

しかしながら、ADCテクノロジー社はこの一件で知名度が向上し、9社に特許をライセンスしていたようです。また、ADCテクノロジー社の特許を買い取ろうとする大手企業もいたようで、多くの利益を得たことが予想されます。

任天堂VSコロプラ訴訟でも経験が活きた

白猫プロジェクトに関して任天堂がコロプラを訴えた際に、任天堂が圧倒的な実力差を見せていました。実は、任天堂は米国でパテントトロールに訴訟を提起され、撃退した経験があるようです。

そのような経験が任天堂の最強の知財部を形成する背景にあったのかもしれませんね。

参考:任天堂・コロプラの訴訟が和解金33億で決着!内容や経緯を図解でわかりやすく解説

パテントトロールの対処法

では、パテントトロールに狙われたらどのように対応すればいいのでしょうか?基本的な対応をここでは紹介します。

早期解決を目指す経営者ほどカモにされる?

経営者はつい早く解決できるのであれば、訴訟費用よりも安い和解金をパテントトロールに払って終わりにしようと思ってしまいます。しかし、そのような金払いの良い企業は、パテントトロールにとってはカモとみなされるようです。

クロスライセンスの交渉も無意味

既に上でも述べたように、パテントトロールは事業をしていないことが多いため、自社特許とクロスライセンスの交渉をする余地がありません。ここには期待しないでおきましょう。

知財担当者の使命は和解金の最小化

和解金の支払いを断る根拠としては、パテントトロールの持っている特許が先行技術により無効の可能性がある、権利範囲に自社製品が入っていないという主張ができるように準備しましょう。

パテントトロールはなるべく短期で和解金の回収をしたいと思っていますので、こちらも交渉を長引かせて和解金の額を下げるように交渉していきましょう。

中小企業が狙われている!

大手企業は知財部員の人数が多いですので、上記のような対策が採れるようになってきているようです。そこで次のパテントトロールのターゲットは知財リソースの少ない中小企業に変わっているようです。

ウェブサイトで自社技術を詳細に開示していませんか?

販路拡大を目的として、自社のウェブサイトに開発技術を詳細に載せていませんか?パテントトロールからすると手持ちの特許権と製品との対比がしやすくなり、ターゲットになりやすくなります。

分割出願や関連出願を使った連続攻撃で担当者の工数を削ってくる

また、中小企業は知財担当に充てられるリソースが少ないため、たくさんの特許で何度も警告してきたり、和解金を求めてくることがあります。担当者の工数がなくなり、会社の知財機能がマヒしてしまいます。

まとめ

本日はパテントトロールの事例や対処方法について解説しました。パテントトロールとしては、お金をたくさん持っている大企業への攻撃を続けてきましたが、最近では人材不足の中小企業も攻撃の対象になっているようです。

大企業だけでなく、特に中小企業はパテントトロールに狙われないように準備が必要です。他社特許調査をしてから開発に着手しましょう。そして、他社から権利を取られないように特許や商標を自社で取得しておきましょう。当然ですが他社特許調査に漏れがあってはいけませんので、弁理士や特許事務所など専門家に相談しましょう。

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