デュエマの商標!あのカードゲームの商標が話題!
カードゲームは男の子・男性たちに根強い人気を誇る遊びだ!
これからのクリスマス・お正月の期間で買ってもらおうまたは子どもたちに買ってあげようとする人も多いのではないでしょうか。
そんなカードゲームの人気シリーズ「デュエマ」について、特に「商標」という観点から現状を探っていきます。
この記事を読むと分かること!
・商標登録は早いもの勝ち!そんな商標登録の大原則
・商標登録の番人・特許庁がみんなのために意外と頑張っている
・商標登録が遅れる(又はしない)とどうなる?
「デュエマ」商標は現時点でどうなっているの?現状を解説!
以下のように、「デュエマ」は登録商標です。
それ自体は何ら驚くことではないけれども、以下登録状況をみると、中々不可思議な状況になっていました。
<デュエマ・登録状況>
まず、第一に「デュエマ」の出願自体が2020年であるという点。これはもちろん色んな事情があるけれども、はっきり言って、商標権としての保護が「遅すぎる」と感じています。
この点、会社が知的財産保護への意識が低いのでは?と感じるのかもしれないが、それはどうやらないようです。この会社は2010年頃から関連するカードの商標は保護しているようなので。
これらを観ると、当初から多数使用されてきたであろう「デュエマ」商標をどうしてこれほど放置してしまったのかは疑問なところです。
(弁理士個人の私の見解は本記事終盤に記載しますよ。)
もう一つは、権利者の「ワールド・ハイビジョン・チャンネル株式会社」とは誰なのか?という点です。何故、株式会社タカラトミーで権利を取っていないのかは疑問ですが、どうやら「株式会社タカラトミー」と「ワールド・ハイビジョン・チャンネル株式会社」とは共同で事業を進めている、いわば「仲間」のようでした。
(以下の書面で言及されています。)
A、何らかの事情で「デュエマ」の保護は遅れてしまった模様。でも、現在は、しっかりと「デュエマ」は登録商標になっているので、勝手に使った場合は、権利の侵害となります。
何故、保護が遅れてしまうのか?については後半部に弁理士としての見解を記載いたしました。
「デュエマ」商標は紆余曲折を経て登録になっていた!
何っ!「デュエマ」と「デュエルマスターズ」の権利者が異なるだと!
上記に記載した通り、「デュエマ」はワールド・ハイビジョン・チャンネル株式会社が、「デュエルマスターズ」は「株式会社コナミデジタルエンタテインメント」が権利者となっており、その時点で権利者がごちゃごちゃと入り組んでいる様子が伺えます。それだけでなく、「デュエルマスターズ」のカードゲーム以外のアクセサリー・お菓子・洋服等々は、「ウィザーズ・オブ・ザ・コースト エルエルシー」という米国会社が権利をとっています。この「ウィザーズ・オブ・ザ・コースト エルエルシー」社はゲーム開発を行なった会社で、全く関係のない会社がいきなり権利をとってしまったということではないようです。
でも、そうすると、今度は何故「ウィザーズ・オブ・ザ・コースト エルエルシー」社は、日本で自らの名義ですべて権利を取らなかったのか、ますます疑問は募るばかりです。
これは弁理士的には、その辺の摩訶不思議な話よりよっぽど謎に包まれ原因究明を進めたい話なのです。
何故だ!短縮語の「デュエマ」が今話題なのか?
著名・有名な商標というのは各方面から狙われます。
本当は倫理的には許されないことだけれども、勝手に他人が有名商標を取得してしまう(横取り目的)、または売りつける目的で権利取得してしまうなど、度々起こっています。
実は、この「デュエマ」も保護が遅れてしまっていたため、その横取り危機がありました。それ故、現在ホットな話題となっています。
(詳細は以下に解説)
一般人が「デュエマ」を出願したらどうなる?
結論として、基本的には登録は認められません。
なぜなら、本来有名商標の「使用者」に登録させるのが、実態に即しているからです。
ただ、有名商標であっても、権利が取りたいと誰でも出願(申請)できてしまうので、その場合どうするかというと、、、
商標登録を認めるか否かの番人・特許庁は、必殺技として「伝家の宝刀」を抜くのです。
その伝家の宝刀とは、「デュエマ」はタカラトミー社の商標として有名だから、あなたに登録を認めないというものです。そして、なぜそれが必殺技なの、伝家の宝刀なの、というと、本来は保護されるはずのない「未登録商標」を保護しているから。
実はなんと、この「デュエマ」で出願し、登録を試みようとした方がいたのです。
(この行動自体はもちろん合法)
商標登録出願2019-154836「デュエマ」、出願人は株式会社TCGになります。
今回のケースでは、あまりに「デュエマ」がタカラトミー社の商標として有名だから、株式会社TCGさんには登録を認めませんという通知されました。
特許庁が未登録の商標を保護するのは極めて稀で、商標登録出願2019-154836「デュエマ」では、その必殺技が出された感があり、私、商標好き太郎としてはなかなかテンションが上がってしまう状況です。
A、商標登録をしないということは、常に横取りされるリスクがある。だから、あなたの身に起こらないうちに商品名やサービス名は早めの保護を図ろう!
弁理士が解説!短縮語の商標登録はなぜ遅れてしまうのか?
商品名の短縮語の商標がすぐに登録されない深ーいワケ
これまでの争いごと、ゴタゴタを知ったみなさんは、こう感じたかもしれません。
「だったらさ、さっさと商標登録すればいいじゃん?そのための商標登録制度なんでしょ?」
でも、そう簡単にもいかない理由があるのです。
主な理由としては、以下の3つ。
- 1、商品名などのすべての短縮語を正確に保護するのは難しいから
- 2、会社側で決めた名前ではないから
- 3、お金がかかるから
短縮語というのは、基本的には商品の愛用者・ファンなどが勝手に言い出すものです。
会社というのは、ネーミング決定について並々ならぬ苦労をしています。
キャッチーな言葉にしよう、これだと覚えてもらえないなどなど、企画部署が一生懸命考えます。いざこれに決めた!となったら、今度は、他社が商標権を持っていた、がっくり。というのはザラに起きています。
そういった状況で、この商品名がどのような短縮語で呼ばれることになるかなんていうのは正確に認識できるはずもありません。
例えば、「デュエマ」を例に取ると、「デュエルマスターズ」について、「デュエ」もありうるし、「デュエマス」などもありうる。たまたま「デュエマ」に落ち着いた短縮語を予想して出願しておくというのはかなりこんなんです。
そして、2の「会社側で決めた名前ではない」というのもありますね。
会社は常に新たな商品サービスを開発し、市場に出した商品は売り上げ推移の確認やアフターフォローは当然行うでしょう。但し、ネーミングについてのアフターフォローは正直そこにじっくり時間と人員をさくことは難しいです。そういった意味で、今回の「デュエマ」も認識が遅れてしまったのではないかというのが弁理士である私の予想です。
また、実際費用がかさむということもあります。
企業によっては数百・数千という登録商標を保有しています。それだけでも、多額の費用をかけて保護しているのに、それらの短縮語ともなるともうそれはそれはものすごい費用がかかってしまいますよね。企業だって、いくらでも用意できるということはないため、どうしても保護が手薄になってはしまいます。
最強法務部・任天堂が闘っているゲーム短縮語の商標
商標好き太郎の記事にて度々登場して頂いている任天堂さん!
こちらは、数々の人気ゲームタイトルを保有する言わずと知れた企業ですが、その人気ゲームタイトルなどの適切な保護にもかなり手を焼いている様子が伺えます。
今回はゲーム短縮語がテーマですので、みんな大好き「マリオカート」の話を少し取り上げます。
以下の登録状況をご覧ください。
残念ながら、マリオカートの短縮語としてお馴染みの「マリカー」は一旦任天堂さんの権利として設定されてしまっているんですね。
そして、よく見ると、任天堂さんは「無効審判」といって、「この商標権権利としてなかったことにして」と訴えています。
そりゃ確かに、「マリオカート」の短縮語「マリカー」もしっかり守りたいですからね。
特許庁としても設定当時、「マリオカート」は有名だけれども、「マリカー」はさほど有名ではないとの認定で、登録を認めてしまったのでしょう。
一旦商標登録されてしまうととんでもない苦労が待ち構えています……
A、企業は自社ブランドを守るために必須です。楽しいゲームの裏には、そうした企業の水面下での苦労や努力があるのですね。
知財タイムズからのお知らせ!
上記で解説されているように、商標には様々なトラブルが潜みます。
商品を開発したら、まずは商標登録を検討しましょう!
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弁理士歴7年。商標調査の件数は、5200件を突破しました。 商標のニュースは常に気になり、商標をこよなく愛する商標好きの 事務所勤務の弁理士です。好きな商標の言葉は、登録査定。
Twitter:@syohyosuki
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