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ホログラム商標とは?現役弁理士が簡単に解説します。

ホログラム商標を出願することで何がカバーできるのかがわからない。とお悩みの方もいらっしゃると思います。

ホログラム商標は、動き商標と同様に2015年に導入された比較的新しいタイプの商標です。ホログラムで表現される範囲を商標として押さえることで、他社に対するブランド力を確保することができます。

本記事では、ホログラム商標とは何か、また、簡単な類否判断の方法についてもご紹介いたします。

ある程度理解をしたら、あとは弁理士に相談しましょう!

そもそも商標とは?

商標とは、「ネーミング」に該当する部分と、その「ネーミング」で使用する商品・サービス(商品は目に見えるもの・サービスは目に見えないもの)に該当する部分を組み合わせることで成立します。

例えば、ネーミング「TOYOTA」は、第12類で「自動車並びにその部品及び付属品」で商標を取得しております。

したがって、上記商標を保有しているトヨタ自動車株式会社以外は、上記ネーミングと上記商品の組み合わせを使用すると、商標権を侵害することになります。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1964-014967/54D099126BF63C5486AA0BBDEE5185952A38CEDFFD5A94176DB2E160EADD1D2F/40/ja

なお、商品については、「自動車並びにその部品及び付属品」で取得されているので、「船舶、航空機」は含まれません。

商標の種類

今回、ご説明する「ホログラム」以外にも、文字・図形・色・音等の様々な種類の商標があります。
商標の種類とは?種類や役割をわかりやすく解説!

新しいタイプの商標とは

従前は、新聞や雑誌等の紙に対して文字や図形を掲載することで、商品及びサービスの認知度の向上を図ってきました。しかし、スマートフォンやPC等のデバイスの発達やインターネット環境の充実化に伴い、今までの紙に限らない形で商品及びサービスを提供することが増加してきました。更に、海外諸国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス等)は、既にホログラムや音等を商標として保護されていました。

このような実情から新しいタイプの商標が2015年に導入される運びになりました。

このタイプは大別すると、5つになります。

1)ホログラム

ホログラム商標とは、図形が見る角度等によって、変化してみえるもの図形や写真です。

2)動き

動き商標とは、時間の経過に伴って、変化する文字や図形です。
動き商標について動き商標とは?現役弁理士が徹底解説します!

3)音

音商標とは、TVCM等で使用されるサウンドロゴです。
意外と身近な音商標!具体例も併せて徹底解説!

4)色彩

色彩商標とは、輪郭のない色彩のみからなる図形です。

5)位置

位置商標とは、図形等が商品の特定の位置にある図形です。

ホログラム商標

ホログラム商標とは、「商標に係る文字,図形, 記号,立体的形状又は色彩が変化するものであって, ホログラフィーその他の方法により変化するものであって,時間の経過に伴って変化するもの(「動き商標」という。)を除いたもの」と定義されています。

簡単に説明すると、「見る角度等で文字、図形, 記号,立体的形状又は色彩が変化するもの」になります。具体例としては、正面から見るか、左側から見るか、右側から見るかによって、文字等が変化するものになります。

なお、文字等が変化する。を表現するために、「変化の状態が特定されるように表示した一又は異なる二以上の図又は写真」を表示して、「ホログラム商標」を表現する必要があります。

「その他の方法」により変化するものであるから, 必ずしもホログラフィーによることなく,他の方法に より変化するものであって「動き商標」ではないもの は「ホログラム商標」に含まれる。

ホログラム商標 具体例

以下に具体例を説明します。

大きくは2種類に大別されるので、各々を説明いたします。

  • (1)ホログラフィーにより変化するホログラム商標
  • (2)温度により変化するホログラム商標

(1)ホログラフィーにより変化するホログラム商標

商標登録第5908593号 株式会社ジェーシービー

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-076917/610349C7DC7C92DD6BD81746FF60BC3BF23CCA9F4E9BCE09161FD0031EEB2E51/40/ja

「光の反射により」「光って見える」といった説明を加えれば,ホログラフィー特有の効果が登録商標の範囲に 含まれることになると考えられます。

3枚の画像が見る角度により変化します。

1枚目の画像:地球から太陽が昇る状態が表示されています。

2枚目の画像:1枚目の画像に加えて、緑色、青色、ピンク色等で構成された曲線が合成されています。

3枚目の画像:1枚目の画像に加えて、2枚目よりも濃い色で、緑色、青色、ピンク色等で構成された曲線が合成されています。

→これらの説明は、商標登録願に記載された「商標の詳細な説明」からも確認できます。

(2)温度により変化するホログラム商標

商標登録第6241211号 宝ホールディングス株式会社

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2019-067814/AFA9701B53EF3340B986AA282163A7EBD9B46F079A56A05A1AE88BFF59A03DB1/40/ja

4枚の画像が見る角度により変化します。

1枚目の画像:約20度以上の温度では、とっくりの中身は空の状態が表示されています。

2枚目の画像:約16度の温度では、とっくりの中身は。

3枚目の画像:約13度の温度では、とっくりの中身は。

4枚目の画像:約10度以下の温度では、とっくりの中身は空の状態が表示されています。

→これらの説明は、商標登録願に記載された「商標の詳細な説明」からも確認できます。

ホログラム商標を取得するときのポイント

1)商標欄には、願書に記載した商標が、視覚効果により変化する標章の変化の状態が特定できるように表示された一又は異なる二以上の図又は写真であって、商標の詳細な説明に、ホログラム商標と認識し得る記載する必要があります。

左側から見た場合には「とっきょちょう」(右下1の図)、正面から見た場合には「JPO」(右下2の図)、右側から見た場合には「特許庁」(右下3の図)のように見えることを表します。

以下のような場合は、視覚効果により変化する状態が特定できないため、ホログラム商標としては認められません。

https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/newtype/document/new_shouhyou_video/01.pdf

2)商標出願人側の意思として、商標記載欄の下に【ホログラム商標】を記載します。

3)2)で記載した動き商標の下に、商標の詳細な説明を記載します。

つまり、「ホログラム商標」を構成する標章の説明及びホログラム商標を構成する標章の説明及びホログラフィーその他の方法による視覚効果(立体的に描写される効果 、光の反射により輝いて見える効果、見る角度により別の表示面が見える効果等。以下「視覚効果」という。)により変 化する状態についての具体的かつ明確に記載する必要があります。

ホログラム商標 メリット

ホログラム商標 商標を取得するメリットは主に下記の2点です。

  • 時間の経過による変化以外の変化に特徴がある図形や写真などを保護できます。
  • WEB媒体等の幅を広げることができます。

時間の経過による変化以外の変化に特徴がある図形や写真などを保護できます。

時間の経過による変化以外の変化に伴って変化することが保護対象であるため、静止画1枚で消費者に認知してもらうよりも何か変化を伴わすことで消費者に認知してもらう方が消費者の記憶に残りやすいです。

その記憶に残りやすい部分は、商品やサービスの提供において大きく貢献する要素だと思います。

WEB媒体の幅を広げることができます。

二点目として、一点目と重複する部分もありますが、何か変化を見せる。という点は、紙媒体に限らず、WEB媒体でも表現することが可能です。

そして、WEB媒体は、インターネット環境の充実により、TVに限らず様々な機器での流用が可能であるため、ホログラム商標を活用することで、様々なWEB媒体での利用を保護することができます。

ホログラム商標 類否判断

ホログラム商標における類否判断を説明します。

(1)各々の文字が不可分的である場合

(ア)文字が複数の表示面に分割されて表示されている等、複数の表示面において各々の文字が不可分的に結合していると考えられる場合は、各々の文字だけのではなく、全体の文字を抽出するといえるため、当該全体の文字における一部分からなる商標とは類似しません。

例)見る角度により、「MOUN」と「TAIN」と変化する場合は、「MOUNTAIN」と不可分的に結合していると考えられるのが一般的であるため、他社商標「MOUN」と類似しません。

(2)各々の文字が不可分的ではない場合

(イ)特別な意味を有さない造語が複数の表示面にそれぞれ表示されている等、複数の表示面においての文字が不可分的に結合しているとまでは言えず、各々の文字が商標全体に占める割合が低い等の事情がないような場合には、各々の文字に着目することが適当であるため、各表示面に表示された文字から成る商標とは類似します。

例)見る角度により、「HBG」と「カタニ」と変化する場合は、「HBGカタニ」又は「カタニHBG」と不可分的に結合していると考えれられるのが一般的とまでいえないため、他社商標「HBG」又は「カタニ」と類似します。 

ホログラム商標における一部分の類否について

 (ア)  見る角度により、多数の表示面を有し、各々の図形が表示されており、それらが不可分的に結合しているとは言えなければ、各々の図形のみを着目して観察することが適当であします。しかし、各々の図形のみを観察しようとしている表示面に表示された図形の全体に占める割合が低い場合等は、一の表示面に描かれた図形等と類似する商標であっても、全体としては類似しません。

例)見る角度により、太陽、半月、三日月、雲、稲光、顔と変化する場合は、三日月の図形が全体に占める割合が低い場合は、他社商標「三日月」に類似しません。

図形商標の検索方法

j-platpatを使った調べ方

j-platpatでの調査方法を紹介します。

商標で「商標検索」を選択します。

称呼がわかっている場合は、全角カタカナで調べたい言葉を入力いたします。

例えば、「ジェーシービー」と入力します。

この状態で、「検索オプション」の「開く+」ボタンを押します。

開いた状態で、「動き商標」にチェックを入れます。

この状態で、検索ボタンを押します。

押すと、株式会社ジェーシービーが出願しているホログラム商標を確認することができます。

まとめ

ホログラム商標は理解いただけたでしょうか。今後、活用の幅がますます広がっていくとおもいますので、積極的に動き商標を出願していきましょう。不明点があれば専門家である弁理士に相談してみてください。

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