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オリンピック関連商標って、どれくらい保護されるの?表現規制についても解説します!

今年のビックイベントと言ったら、何と言ってもオリンピック。

コロナの影響で、開催自体も危ぶまれましたが、開催されたことはとても良かったですし、私自身もとっても感動しました!

ただ、どうしても、オリンピックから生まれる収益面を考えてしまう……

そして、その利益を守るための商標問題。今日はそんなオリンピック関連商標を見ていきましょう!

この記事を読んでわかること
・オリンピック関連商標は登録できる?
・オリンピック商標使用のルール
・オリンピック関連のこんなものは登録できない!

五輪関連商標は意外にも保護には消極的だった!?

オリンピック・五輪については、大体「あの国際的な運動競技大会ね。」とみなさん認識されますよね?しかし、「オリンピック」という言葉と「五輪」という言葉は、商標登録という意味では、全く別の保護体制になっております。

先に、「オリンピック」の方を検討していきます。こちらは、正式名称ですが、なんと、大正時代から商標登録され、しっかりと保護されております。これは流石に私もビックリしました!当たり前といえば当たり前ですが、抜群の知名度を図る「オリンピック」の語。やはり、保護は万全のようです。その後、何度も更新手続により、権利を保有し続けています。

(商標登録第99160号 Jplatpatより)

一方、「五輪」。こちらは、なるほど、2017年にようやっと出願手続を済ませ、2019年登録となっています。

「五輪」を商標登録しなかった理由としては、色々要因はあると思われますが、一つには一団体が独占権を取得してしまうのは、主催者としても望んでいなかったのではないかということ。二つ目にそもそも商標「五輪」は、条文上登録不可としている条項があるため(商標法4条1項6号)、わざわざ出願する必要もないと考えたことなどが予測されます。

厳しすぎない?商標使用のルール(表現規制)

横断幕の謎

オリンピックの知的財産については厳密なガイドラインが記されております。

https://www.joc.or.jp/games/olympic/tokyo/pdf/marketing_guideline.pdf)

こちらの資料を参考に厳しすぎない?と感じる商標の使用ルールをピックアップします。

所属選手がオリンピックに出場するというのは大変めでたいことであり、かついい成績を収めようものなら、それを企業ロゴと共に使用したいと考えるもの、企業としてもその選手の遠征費など負担をしている場合、当然そのくらいの見返りが欲しいというのは本心ではないでしょうか。

しかし、以下の画像。

(知的財産保護・日本代表選手等の肖像使用についてより抜粋:https://www.joc.or.jp/games/olympic/tokyo/pdf/marketing_guideline.pdf)

オリンピックパートナーと言われる一部の著名企業以外は、上記のような使い方は便乗使用を判断さえ、その使用を禁止されている。これを見たときは、あまりにも酷ではと思いますが、それほど便乗使用について目を光らせているということになりますね。

また、横断幕にも当然このような使用は制限がかかっており、要はオリンピックにかこつけての企業ロゴなどの使用は一定の企業にしか認めていません。

日本がんばれ!的な商標の過剰保護

「ニッポン頑張れ!」そんな応援フレーズにも過剰な保護がなされております。

これは商標登録されているので、もちろん適法な保護であるものの、やはりやりすぎ感を感じてしまいます。

例えば、以下の登録商標などがあります。

「がんばれ!ニッポン!」などは、オリンピックだけでなく、ワールドカップや世界陸上などの世界大会でも応援フレーズとして使用したいものですが、少なくとも、商品サービスに貼り付けて、商品を販売する・映像を配信するなどで使用した場合は侵害である可能性が高くなり、使用を躊躇してしまいますよね。

商標「TOKYO2020」も地名と数字の組み合わせからなる商標であり、本来であれば、商標法3条1項6号の規定により登録不可となりそうですが、出願人なども加味して、特許庁も判断してそうですね。ここまでくると、どうしても過剰な忖度のように感じてしまいます。

これまでの五輪・オリンピック商標の登録◯✖️

オリンピックのマークを似せた商標は登録できる?

皆さん!以下のマークを見て、特に登録できるか否かはどのようにお感じになるでしょうか?

パッと見た感じを考えてみてください。

上記2件は、審判請求をした後でも、「登録不可」と判断されました。

上の鎖が繋がれた画像はまだしも、ハート型が五つ並んだ商標は、それほど「五輪」を想起させるでしょうか?出願人の意図は不明であり、おそらくオリンピックに寄せているかもしれませんが、一瞥した際の外観は全く異なるのにも関わらず、これが登録できないのは、少々過剰であると私は感じてしまいます。

では、どこまで五輪と遠ければ登録できるのかというと、以下の商標くらい遠くなっていれば登録となっています。

(商標登録第5466064号)

なるほど。

そもそも五つの輪の画像ではないというのと、「やきとり」と「オリンピック」がいい感じで結合しているこの商標であれば、五輪商標と類似ではないと判断されるようです。

ちなみ、オリンピックではないものの、「オリンピック」を想起させるという意味では以下のような商標もございました。いやはや、特許庁による鉄壁のディフェンスが敷かれていますね。

商願2020-92301

この「くっぴんりお」商標は、現在、拒絶理由通知となっており、現在係争中ですね。

「梅五輪」は登録できる?

さて、最後に「五輪」を含んだ商標の最近の審決例を一つ紹介します。

出願人が学校法人津田塾大学の「梅五輪」商標です。

こちらは、明らかに「五輪」と商標自体は類似ではありませんが、「五輪」の力はすごいですね。おそらく、「五輪」が入っているから、商標全体の称呼や外観などを加味することなく、一旦は類似と判断されてしまったようです。

但し、結果的に、この商標は登録査定を勝ち取れましたね。

それでも、本出願は2019年1月ですから、約2年半ほど登録性について、特許庁と争っていたことになります。

という訳で、今回はオリンピック・五輪に関連する商標をまとめてきました。

皆さん、オリンピック・五輪関連商標について、登録を狙っても良いですが、このように時間と費用がかかる可能性がある点も考慮しつつ、商標登録を行ってみてはいかがでしょうか。

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