収益化しない人も必須知識!YouTubeの音楽と著作権の問題について解説します
YouTubeの動画には音楽がつきものです。しかしYouTubeにアップした動画は広く一般に公開されることもあり、場合によっては、著作権や肖像権などの法律に抵触することもあります。
今回は、YouTubeの音楽と著作権の問題について、解説します。
YouTube運営が行っている著作権管理の対応
YouTubeでは、著作権に関するトラブルに対応するため、ヘルプセンターをインターネット上に設けています。同時に著作権侵害に対しては、
- 著作権侵害による削除通知
- Content IDの申し立て
という2種類の申し立てに基づく対応をしています。
著作権侵害による削除通知は、著作権者、またはその代理人のみが行えます。この削除通知の依頼がなされた場合、YouTubeはまず解除通知の審査を行い、そして審査を通過した動画を削除します。
もう1つのContent IDとは、動画や音楽に関する著作権を守るための認証技術です。
YouTubeでは動画がアップロードされると、YouTube内の映像と音のライブラリーを参照し、Content IDと紐づけされている映像や音があるか否かがチェックされます。そしてアップロードした画像が、Content IDを取得している著作権のある動画や音と一致した場合に、一致した動画や音の著作権者への通知がなされます。
通知を受けた著作権者は、動画のブロックや音楽のミュート、あるいはYouTubeの収益分配といった対応を選択できます。
そもそも、著作権とはどのような権利?
著作権とは、著作物を創作した者に与えられる権利です。また、著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものを指します(著作権法第2条1項1号)。
また著作権は、複数の種類からなる権利の束で構成されています。権利の種類としては、著作財産権(著作権法第21~28条)、著作者人格権(著作権法第18~20条)、著作隣接権(著作権法第89~104条)があります。
著作財産権(著作権法第21~28条)とは
著作財産権とは、著作者の財産的利益を保護する権利であり、単に著作権ということもあります。著作財産権は、著作物の創作時に発生し、著作者の死後70年で消滅します。
著作財産権は以下に挙げる複数の権利からなっており、いずれか1つを侵害したとしても、著作財産権の侵害となります。
- 複製権
- 上演権・演奏権
- 上映権
- 公衆送信権
- 口述権
- 展示権
- 頒布権
- 譲渡権
- 貸与権
- 翻訳権、翻案権等
- 二次的著作物の利用に関する権利
これらの権利のうち、YouTubeの動画やライブ配信では、主に複製権、公衆送信権、翻案権に注意する必要があります。
複製権とは?
複製権とは、著作物を複製する権利です(著作権法第21条)。また著作権法における複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいいます(著作権法第2条1項15号)。
複製権の侵害に該当する例としては、複写や、録音・録画、写真撮影、サーバ等へのデータの保存などがあります。
したがって、著作権の切れていない動画や音楽を使用してYouTubeの動画やライブ配信をした場合、複製権の侵害となります。
公衆送信権とは?
公衆送信権とは、著作物について、公衆送信を行う権利です(著作権法第23条)。また、著作権法における公衆送信とは、直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいいます(著作権法第2条1項7の2号)。
公衆送信権の侵害に該当する例としては、他人の著作物をインターネット上にアップロードする行為などがあります。
翻案権等とは?
翻案権等とは、著作物を翻訳、編曲、映画化等、その他翻案する権利です(著作権法第27条)。また翻案とは、既存の著作物に依拠しており、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的な表現形式を変更して新たな著作物を創作することをいいます。
翻案権の侵害に該当する例としては、小説を映画化した場合が挙げられます。
著作者人格権とは?
著作者人格権とは、著作物の創作者が作品に対して持つ人格的利益を保護するための権利です。この権利は著作物の創作時に発生し、著作者の死亡と共に消滅します。ただし著作者の死後も、著作者人格権の侵害となるような行為は禁止されています。
著作者人格権は以下に挙げる複数の権利からなっており、いずれか1つを侵害したとしても、著作者人格権の侵害となります。
- 公表権…著作物でまだ公表されていないものを公表する権利(著作権法第18条)
- 氏名表示権…著作物の提供・提示に際し、著作者名を表示するか否か、どのような著作者名を表示するかを決定できる権利(著作権法第19条)
- 同一性保持権…自分の著作物やその題号などを、著作者の意に反して勝手に変更・改変しない権利です(著作権法第20条)
これらの人格権のうち、YouTubeの動画やライブ配信に関しては、音楽を勝手に改変してアップロードすると、同一性保持権の侵害に該当する場合があるということに注意する必要があります。
どんなときは、許可を取る必要があるのか【具体例】
著作権者の許諾が必要な場合
著作権の存続期間が満了していない場合には、著作物の使用について著作権者から許可を取る必要があります。したがって、著作権の満了していない音楽をYouTubeの動画やライブ配信で使用する場合には、著作者の許可が必要となります。
また、すでに公開されている音楽の一部を改変してYouTubeの動画やライブ配信で使用する場合には、同一性保持権の侵害とならないよう、著作者の許可が必要となります。
筆者の体験した例として、自分の所属しているスポーツの試合をYouTubeでアップロードした際、試合のインターバルで流した音楽が、著作権侵害の申し立てにより削除された、ということがありました。この件では、音楽を削除したうえで、YouTubeで試合を配信することで対応しました。
著作権者の許諾が不要の場合
著作権が既に切れている音楽については、著作権者の許諾をもらうことなく、音楽をYouTube上で使うことが可能です。
ただし、著作権が既に切れているような昔の音楽でも、演奏やCDの録音などにより著作隣接権が発生するため、著作隣接権が存続している間は、演奏者らCDの録音者などの許諾が必要となります。
また音楽を勝手に改変してアップロードすることは、同一性保持権の侵害に該当する場合があるため、注意が必要です。
その一方で、音楽サイト等では、著作権フリーの楽曲が公開されています。
これらの音楽については、一定の条件の元で、著作権者の許諾なく使用することが可能です。
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