スマホは知財紛争の中心地!?
世の中のトレンドの中心となる業界において知財紛争はつきものです。
各社とも今度伸びるであろう領域については積極的に研究開発を進め、特許を取得し独占できる状況を築こうとします。
そのため特許の出願が多い領域に目を向けることで、今度のトレンドを読み解くことができます。
今回はそもそも知財とは何かというところから、スマホに関わる知財紛争ついて紹介しようと思います。
知財とは?
まずはそもそも知財とは?という所から説明します。
知財とは知的財産権のことを指し、代表的な権利は特許、実用新案、意匠、商意などが挙げられます。
これらの権利を“空飛ぶ車”という架空の製品を例に考えてみると、車を飛ばす技術が特許権、空を飛んでも空気抵抗に負けないワイパーが実用新案権、空飛ぶ車にふさわしい、未来的なデザインが意匠権、この車のブランド名が商標権で保護されます。
知財について詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
→意外と知らない?特許とその他知的財産権の違い
知財紛争はどのように起こる?
知財紛争とは知的財産権を保有するものが、他社に対して知的財産権侵害を訴えることから始まります。
訴えられた者は該当の商品やサービスの差止や、損害賠償金の請求を受けることとなります。
この訴えに対して、訴えられた側が訴訟内容に合意しない場合、知財紛争が起こります。
知的財産権侵害については特許を例に、こちらの記事で詳しく解説しています。
→知らないじゃ済まされない!特許権侵害差止請求と損害賠償請求
スマホの知財紛争の背景
スマホの黎明期である2010年頃から、スマホに関わる技術は特許紛争の中心地となりました。
iPhoneを有するAppleや、GalaxyのSamsungに続き、ファーウェイなど次々に知財に関する訴訟が起こり始めました。
人々の生活にスマホが溶け込みだしてから、知財に関しても非常に
スマホの二大巨頭が衝突!泥沼化した7年の知財紛争!
※参照記事:日本弁理士会資料
スマホ関連の知財紛争の中で、非常に有名なのがAppleとSamsungの7年にわたる抗争です。
この知財紛争は2011年に、AppleがSansungに意匠権の侵害を訴えたことから始まります。
2010年の7月にSamsungがGalaxy Sを発売しました。
この製品に対しAppleはApple製品のデザインと類似性が見られるとし、意匠権の侵害でSamsungを訴えました。
一連の訴訟は世界10か国に及び、大々的な知財紛争の幕開けとなりました。
抗争勃発の背景には、2011年時点でSamsungがスマートフォンのシェアが第二位となったことで、Appleに焦りが出たのではと言われています。
Samsungの反撃
Samsungはこの訴えに対してAppleのデザインに新規性がないと主張。
つまりAppleの意匠権は有効ではないので、侵害にはならないと訴えたため、この抗争は泥沼化していきました。
このように告訴された側は、相手の知財の権利は無効だと主張することで、侵害回避しようとすることがあります。
AppleとSamsungの知財紛争の結末
AppleとSamsungの知財紛争は世界10か国にもわたり、一進一退の状況が約7年間も続くこととなりました。
意匠権の侵害から勃発した知財紛争ですが、アプリのアイコンを商標権侵害で訴えたり、ipadの特許技術の侵害でも訴えたりと、Appleは知財全域にわたって訴訟を行いました。
状況が拮抗していた2社間の抗争ですが、格安スマホの台頭により状況が変わり始めます。
リーズナブルで高性能なファーウェイの登場により、スマホ市場がAppleとSamsungの独壇場ではなくなってきたのです。
このような背景があり、AppleとSamsungの抗争が徐々に鎮静化していきました。
最終的には2018年の5月にサンノゼの地裁陪審がSamsungに損害賠償として5億3900万ドル(590億円)を支払うよう求め自体が収束に進みました。
(参照:日本経済新聞)
知財から読み解く世界のトレンド
AppleとSamsungの抗争のように、知財は世の中のトレンドを表しています。
スマホ黎明期の2010年前後では、スマホの形状や基本機能の部分での抗争が起こっていましたが、時代が進むにつれOSやアプリケーションの知財の話題が増えていきました。
最近ではAIの分野での知財の話題が増え出しています。
ビジネスを行う上で切っても切れない関係の知財ですが、実は単なる防衛の権利ではなく、時代を読み解くカギでもあります。
発明にかかわらない人でも、常に知財に目を向けておくのが重要です。
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