知らないじゃ済まされない!特許権侵害差止請求と損害賠償請求
特許権侵害差止請求とは
特許権侵害請求とは、発明の特許権を持たない第三者が、当該の特許発明を実施(利用)した場合に第三者に侵害の停止を請求することです。
つまりは第三者が自社のもつ特許技術を用いてビジネスを行っていた場合は、
その事業の停止を請求することができます。
特許法第100条第1項には以下の様に記されています。
- 第百条
- 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者
又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
また
この差止請求権の行使には、損害賠償請求権の行使とは異なり、故意・過失とい
った主観的要件を必要とせず、客観的に権利侵害行為があれば、原則として請求可能である。
という記載もあり、故意に特許技術を模倣したわけではなくても、差止の対象となってしまうので、注意が必要です。
上記で記載のあるように、特許権侵害差止請求は、損害賠償請求とは異なり、
別途損害賠償請求をされた場合は賠償金を支払わなくてはなりません。
誰が特許権侵害差止請求する権利を持つの?
特許権侵害差止請求をする権利は以下の2者が保有しています。
- 特許権の保持者
- 専用実施権(特許法77条)でのライセンサー
ライセンスについての詳しい内容は以下をご参照ください。
→特許のライセンス料はいくらなの?特許使用料の相場を解説!
損害賠償請求とは
特許における損害賠償請求とは、特許権を侵害する模倣品を製造・販売・輸入している者に対して、賠償金を請求することです。
(参照:特許料HP)
また、この損害賠償は第三者の故意・過失によって特許が侵害された際に請求することができるため、侵害者は知らなかったでは済まされません。
損害賠償額はどのように決まるの?
損害賠償額については特許法の102条によって3つの算定方法が定められています。
損害賠償額の算定規定その1(特許法第102条第1項による救済)
- 「損害額」※=「侵害者の譲渡等数量」×「権利者の単位あたりの利益」(ここまでの計算結果が特許権者等の実施能力を超えない限度で)-「権利者の実施能力を超えた部分に相当する金額(侵害者に立証責任)」
- ※寄与率の問題が損害の算定結果に影響する。
損害賠償額の算定規定その2(特許法第102条第2項による救済)
- 「損害額」※=「侵害者が得た利益」
- ※寄与率の問題が損害の算定結果に影響する。
損害賠償額の算定規定その3(特許法第102条第3項による救済)
- 「損害額」※=「使用料相当額」
- 例:「侵害者の譲渡数量」×「権利者の単位あたりの実施料」
- 「侵害者の売上高」×「実施料率」
- ※寄与率の問題が損害の算定結果に影響する。
詳細は特許庁のHPで解説されています。
→特許庁HP
特許権の侵害をしないために
特許権を侵害してしまった場合、特許権侵害請求による事業の停止だけでなく、損害賠償まで発生してしまうかもしれません。
大丈夫だろうと侮っていると、会社の将来そのものを危うくしてしまう事だってありえます。
新規事業を始める際や新商品を開発する際には、しっかりと他社の特許を侵害していないか確認をすることが大切です。
特許侵害予防調査(クリアランス調査)を行おう!
特許の侵害についてしっかりと確認することは分かったが、具体的にどうすれば良いのかわからないという人も多いと思います。
自分の商材やサービスが、他社の特許を侵害しているかどうかは特許調査を行うことによって確認することができます。
この特許調査のことを特許侵害予防調査(クリアランス調査)と呼びます。
特許調査について詳しくはこちらの記事で解説しています。
特許調査の依頼先も併せて紹介しています。
→特許調査とは?どこに依頼できるかも解説します!
特許権侵害差止請求をするにはどうすればよい?
次は自分の持っている特許が侵害されてしまった場合、どのように特許権侵害差止請求を行うかを解説します。
自社の持つ特許が侵害されていると分かった場合まずは警告書を送付します。
この警告書には特許権が侵害されていることを記載するとともに、販売の中止を求めたり、ライセンス契約を経て販売を再開してもらうなど具体的な対応策を記載しましょう。
警告文に応じない場合は、本案訴訟または仮処分のどちらかで対応します。
本案訴訟
本案訴訟とは通常の訴訟のことを指します。
本案訴訟を行った場合は損害賠償の請求が可能ですが、訴訟費用が比較的高額であったり、決着までに時間がかかるといったデメリットがあります。
仮処分
仮処分は比較的早く決着がつき、申し立てを行う費用が安いといったメリットがありますが、損害賠償請求をすることができません。
とにかく早く差止をしたいという場合は、仮処分を申し立てることが多いようです。
どこに頼めばいいの?
特許事務所によっては、侵害訴訟に対応しているところもあります。
しっかりと実績のある特許事務所に任せることが重要です。
対応している特許事務所は多くの場合、HP上で侵害訴訟が対応可能な旨を記載していると思います。
しっかり特許はとっておこう!
何かを発明した場合、やはり特許を取っておくことが非常に重要です。
仮に自社の発明した技術を後から他社に特許を取得されてしまった場合、
先に発明したにも関わらず、特許権の侵害で訴えられてしまうこともあります。
発明や自社の事業を守るためにもしっかりと特許を取得しておきましょう。
特許出願の費用
特許出願の費用はおおよそ60万前後になるのが一般的です。
出願に関わる費用に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→特許出願にかかる費用と相場を徹底解説!
特許は維持にも費用が掛かります。
維持費(特許年金)についてはこちらで解説しています。
→特許年金とは?具体的にかかる金額も徹底解説します!
特許事務所の選び方
特許出願において、最も重要なのは特許事務所選びです。
特許は権利化するのはもちろんですが、権利化後の知財戦略もしっかりと練った上で出願をするべきです。
しかし知財部を持たない企業にとって、独自で知財戦略を策定するのは非常に困難でしょう。
そこで重要になるのが、知財に関して的確なアドバイスをくれる弁理士に出会うことです。
弁理士にも得意な分野など様々な特徴があります。
自分の発明や会社の方向性に合った、弁理士を見つけることが非常に重要です。
こちらの記事では特許事務所の選び方について、より詳しく解説しています。
→必見!特許事務所の選び方
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