特許のライセンス料っていくら?特許使用料の相場を解説!
特許の収益化の方法の一つにライセンス料があります。
ライセンス料の設定は自由なため、特許の保有者と実施者合意によって決まります。
相場は一般的に売上の3%~5%くらいとも言われています。
今回はこのライセンス料について、細かく解説していこうと思います。
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目次
そもそも、特許とは
特許とは、物や手段などの発明を保護する権利のことを指します。
特許を取得することにより、発明を独占できる、自社の知名度や信頼度があがるといったメリットがありますが、ライセンス収入を得ることも可能になるというのも特許の大きなメリットです。
このライセンス収入に関しては、特許を出願する前からしっかりと仕組みを知っておくことが大切です。
特許のライセンス料(実施料)とは?
特許のライセンス料とは自社の持つ特許を、他社が使用する場合に支払う費用です。ロイヤリティや実施料とも呼びます。
例えば企業Aがある技術を発明し、特許を取得したとします。その技術を用いて企業Bが製品を販売したいとなった場合、企業Bは企業Aの特許技術を使用する代わりに、ライセンス料を支払います。
個人で特許を取得した場合でも、ライセンス料での収益化の可能性はあります。個人発明家の中にはこのライセンスでの収益化を目的に、特許を取得している人もいます。
バーコードの技術などを発明した、発明王のジェローム・レメルソンは特許のライセンスで巨万の富を得たことでも有名です。
彼は特許のライセンスで収益をもとに、数兆円の資産を築いたとも言われています。
特許のライセンス契約の方法は?
特許法におけるライセンス契約は、専用実施権と通常実施権という、2つの権利に基づいて行われます。
専用実施権
専用実施権とは、権利利用者(ライセンシー)が独占的に特許を実施(利用)することができる権利で、特許法第77条に定められています。
特許を専門実施で契約する場合、ライセンシーを特許原簿へ設定登録をする必要があります。
第七十七条
特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる。
2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。
3 専用実施権は、実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4 専用実施権者は、特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。
5 第七十三条の規定は、専用実施権に準用する。
通常実施権との大きな違いは、権利が侵害された際にライセンシー自身が差止請求をする権利があります。(特許法第100条)
通常実施権
通常実施権とは特許法第78条に定められている、特許を実施(使用)する権利のことですが、専用実施のように独占排他的な権利ではありません。
仮に他者によって権利が侵害されてしまっても、ライセンシーには差止請求権はありません。
第七十八条
特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる。
2 通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を有する。
ライセンス料の決め方は?
特許のライセンス料について、法令によって定められた制約等はありません。権利保有者と権利使用者(実施者)の合意によって自由に決めることができます。
またライセンス料金だけでなく、支払いをどのように行うか、どのタイミングで料金が発生するかなども自由に決めることができます。
このように特許のライセンスは双方の話し合い次第なのですが、専門的な取り決めも多いため、ライセンサー(権利保持者)とライセンシー(実施者)だけだとなかなか話が進まないこともあります。
ライセンス契約書の作成から、ライセンス契約の代理交渉のサポートは特許事務所が行っています。ライセンス契約に強い特許事務所に問合せしましょう。
ライセンス料の支払方法はどうなるの?
ライセンスの支払い方法の取り決めは当事者間で自由に行われるため、様々なケースがあります。
代表的なものは以下の3通りです。
- 定額支払
- 一括支払
- 売上の一定割合の支払
1.定額支払
定額支払とは商品の製造量や売上に関わらず、定額のロイヤリティを支払い続ける方法です。契約時には別途契約金を支払う場合もあります。
オールオーバー方式とも呼ばれます。
例:特許利用に際して、月額10万円のライセンス料を支払う
2.一括支払
一括支払いとは、契約時に契約金と特許実施に関する一切の料金を支払う方法です。ランプサム(Lump-Sum)とも呼ばれます。
例:1年間の特許利用に際して、100万円のライセンス料を支払う
3.売上の一定割合の支払
売上の一定割合の支払はランニング・ロイヤリティ方式とも呼ばれ、売上によって総額のライセンス料が変動する支払い方法です。
例:特許利用に際して、売上の5%をライセンス料として支払う
ライセンス料の相場
前述したように、ライセンス料は双方の合意によって自由に決めることができます。
ただしライセンス料は、特許の分野や契約方法(専用実施権または通常実施権)によって差が出てくるものです。また細かく言及すると、特許が関連する製品の市場価値なども、ライセンス料を決める要素となります。
一般的な相場としては、
- 通常実施権:3~5%
- 専用実施権:10%前後
と言われていますが、ケースバイケースなのでしっかりと弁理士に相談した上で交渉を進めることをおすすめします。
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特許の使用承諾のメリット3つ
1.小リスクで収益化できる!
特許技術を使って新たな製品を作るなら製造コストが、事業を展開するなら事業のためのランニングコストが発生します。商品化の際には在庫リスクも起こりえますね。
ライセンス収入はこういったコストやリスクを負わず収益化をすることができます。
2.眠っている特許で収益化ができる!
権利化できた特許の権利を維持するためには、特許年金というものを支払い続けなくてはいけません。特許は保有しているだけでコストがかかるのです。
その点ライセンス契約は、活用できていない休眠特許を収益化させることのできる非常に良い機会です。
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3.今まで取引のなかった企業との接点になることも!
ライセンス契約をきっかけに今まで取引のなかった企業とも接点ができることがあります。
新たな協業を生む機会や、クロスライセンス(お互いの持っている特許を利用し合う契約)などのきっかけにもなるかもしれません。
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特許の使用承諾のデメリット
自社で独占状態を作れなくなる
自社で独占し商品化や事業を行なった場合の方が、将来的に市場を独占できる可能性があります。
革新的な技術の特許の場合、自社で実施まで行った方が将来的に大きな利益をもたらすかもしれません。
特許を取得した技術の将来性や、その技術を活かせるだけのリソースが自社にあるかどうかをしっかりと判断することが大切です。
まとめ
今回は特許のライセンスについて紹介しました。
せっかく取った特許を無駄にしないためには、そしてライセンス契約に繋げるためには「どうやって知財を活かしていくか?」という知財戦略をきちんと考えておくことが大切です。
ただ知財戦略を考えるには、どうしても専門の知識が必要。
そんなときに頼れる存在が、知的財産の専門家・弁理士です。
特にライセンス契約も見据えて特許出願をするなら、出願前から知財戦略~ライセンス契約のサポートまで安心して任せることのできる弁理士を探すことが非常に重要です。
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