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特許の取り方!分野別で出願のポイントを解説します!

特許 取り方

「特許を取らないと自社製品を模倣されてしまう」、「他社特許を侵害してしまうと高額の損害賠償を請求されてしまう」など、特許出願や特許調査の重要性は分かっていても知財部がない中小企業も多く、対応に困っている方が多いのではないでしょうか?

今回は中小企業で特許出願を検討中の方にも分かりやすく、具体的な特許の取り方を技術分野別に解説します。

<この記事でわかること>
・世界の特許出願件数
・分野別の出願動向
・各分野の出願ポイント

(執筆:知財部の小倉さん

世界の特許出願件数

自社の出願方針を決定する前に、グローバルでの特許出願の動向を確認してみましょう。特許庁ホームページの「資料・統計」というページに日本だけでなくアメリカ中国など各国の統計情報も公開されています。

特に、特許行政年次報告書に詳細な統計データがまとめられています。ここでは2020年版の特許行政年次報告書のデータを使って特許出願の動向を解説します。

特許出願件数の推移

日本の特許は、全体では約30万件/年で出願されていますが、年々減少傾向にあります。一方で、外国出願にあたるPCT出願については全体の16%の約5万件/年に留まっていますが、年々増加傾向にあります。つまり、外国出願への注目度が高まっていることが分かります。


出典:特許庁 特許行政年次報告書2020年版

それでは、外国の出願状況はどうでしょうか?下の図は5つの特許庁(日本、中国、米国、韓国、欧州)での出願件数の推移です。やはり中国は圧倒的に数が多いですね。人口が13億人もいるので当然かもしれません。中国は年々出願数が増加していますので、日本も中国と競合している分野については、急いで出願しないと先を越されてしまうかもしれません。


出典:特許庁 特許行政年次報告書2020年版

分野別の特許出願状況

次に日本における分野別の出願件数を見ていきましょう。特許行政年次報告書には今後の進展が予想される10個の技術テーマについて調査した結果も載っていますので、気になる調査結果をいくつか紹介します。

AIを用いた画像処理

AIは広い分野で応用できる技術として最近流行っていますが、特許としてはどのような状況なのでしょうか?

特許庁の報告書によると、日本は「応用先が決まっていない出願」と「産業が特定された出願」とが2016年まで同水準で推移しているのに対し、外国は2010年からすでに「産業が特定された出願」が多くなっています。


出典:特許庁 特許行政年次報告書2020年版

このデータから外国では早い時期から産業特有の課題を解決する技術開発に取組んでいたと考えられます。そこで日本もAIによる画像処理を産業に応用した技術開発を加速させるべきと提言がされています。

V2X通信技術

次は、自動車に関連した技術です。自動運転や電動化が進むと、車内外のネットワークを介した通信が活発になります。「V2X」とは「Vehicle to everything」を意味し、V2X通信技術とは「車車間・路車間通信や、セルラーネットワーク技術を利用した車車間・車-サーバ間通信等、自動車とあらゆるモノを繋げる無線通信技術」のことを言います。

V2X通信技術の出願は増加しており、2015年以降は中国と韓国の出願が増加しています。ただ、主要な要素技術のうち、状況に応じて種々の通信パラメータ(リソース・送信電力・通信経路等)を制御する適応制御技術に着目すると、中国と韓国よりも日米中の出願が多いことも報告されています。


出典:特許庁 特許行政年次報告書2020年版

このデータから、中国や韓国が今後軸足を移してくる可能性があるため、日本もV2X通信技術のような標準化の対象とならない技術での技術開発を推進する必要があると提言されています。

分野別の特許出願ポイント

それでは特許出願をする場合、どんなポイントに注意すればよいのでしょうか?特許出願の際に注意すべきポイントを技術分野別に解説します。

構造特許の取り方

構造特許とは、「物の発明のうち、物の構造に技術的特徴を有するもの」です。技術は実物の製品として世の中に出ることが多いため、構造特許が多く出願されています。

構造特許のメリットは「他社が実施しているかどうか見た目で分かる」という点で、デメリットは「特定の構造を権利化するために権利範囲が狭くなりやすい」という点です。

特許請求の範囲(クレーム)で注意すべき点は、構成要件列挙型で明確に書くということです。物の構成要素が明確に分かれていないと、権利行使できない特許となってしまいます。

明細書においては、広い特許を登録できるよう実施例を豊富に書くことが重要です。また、実施例ごとに特有の発明の効果を記載することで、広い特許を登録できない場合でも個別の実施例をピンポイントで権利化しやすくなります。

構造特許の取り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
企業知財部が語る!基本的な構造特許の取り方!

ソフトウェア特許の取り方

最近は、IT技術の発展によりソフトウェアが製品の中心となる企業が増えてきたことで、ソフトウェアを特許で保護するニーズも高まってきました。ハードウェア製品と異なり、パソコンや携帯のアプリケーションなどのソフトウェア製品はデジタルデータなのでコピーが簡単です。

このような製品を模倣から保護するためには、秘密保持契約著作権も活用できます。特許出願すると1年6か月後に公開されますので、アルゴリズムなど公開したくない技術内容の場合には契約などで縛ることも検討しましょう。

特許登録に関しては、ソフトウェア特許は新しい分野ということもあり、「発明に該当するか」や「特許性があるか」の見極めが難しいです。

例えば、請求項に使用目的は記載されていても、「使用目的に応じた特有の演算又は加工を実現するための具体的手段又は具体的手順」が記載されていない場合、発明と認定されません

また例えば、特定分野に利用されているコンピュータ技術を他の分野に適用することは普通に行われていますので、進歩性が認められません

ソフトウェア特許の取り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ソフトウェア特許の取り方を知財部の目線から解説!

システム特許の取り方

システム特許とは、「複数の要素が関係し合い、全体としてある機能を発揮するもの」に関する特許です。

ソフトウェア特許はその処理内容に特徴がありますが、システム特許はソフトウェアとハードウェアの連携に特徴があります。ビジネスモデル特許は会社が提供するサービス(システム)のうち、マネタイズに重要な部分を発明として出願したものです。

システム特許はソフトウェア特許と同様、物の発明として審査されます。ソフトウェアの部分が人為的な取り決めと判断され、発明と認定されないこともあるので審査基準他社特許を見て勉強しておくとよいでしょう。

また、ソフトウェアとハードウェアの複合体ですので、特許権の侵害者の特定が複雑で、侵害立証に難しさがあります。侵害立証を容易にするために、システムの発明だけでなく、システムに使われる装置やプログラムの発明もクレームに入れるなど工夫が必要です。

システム特許の取り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
システム特許の取り方と事例紹介!企業知財部が解説します!

化学特許の取り方

化学特許は化学物質に関連する特許のことで、「化学物質そのもの」、「組成物の配合」、「化学物質や組成物の製造方法」があります。「化学物質そのもの」という中には、「物質の特性」、「化学構造式」などを特徴とする発明が含まれます。

化学特許を取る上で注意すべき点としては、化学的な特徴の侵害立証ができるかという観点です。例えば、樹脂組成物の配合は完成品から特定するのは難しいでしょう。単純な配合であれば特定できるのかもしれませんが、微量の添加物や混合後の分離が困難な物質などもあります。そのような場合、特許明細書の中に詳しい配合や狙いなどを書いてしまうと公開損になってしまいます。

また、広い権利を取得するためには、構造特許と同様に実施例をたくさん記載する必要があります。化学特許の場合、実施例は実験データになりますので、様々な実験条件での実験データが必要となります。権利範囲内のデータを実施例、権利範囲外のデータを比較例として、効果を比較しやすいように表形式にしてまとめてください。

化学特許の取り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
知財部目線で解説!化学特許の取り方

製造装置の特許の取り方

製造装置は工場の中で使用される装置で、製品を作るためのものです。この製造装置の特許は、発明のカテゴリで言うと物の発明です。具体例としては、ベルトコンベア・加工ロボット・半導体製造装置などです。

製造装置の特許で気を付けたいのはノウハウ流出です。自社の機構や製造手順などのノウハウが漏れないよう詳細を書きすぎず、技術的な概念として発明を抽出しましょう。特許図面に関しても設計図面をそのまま載せてしまうと、競合が容易にコピーできてしまいますので、実施品を簡略化した図を作成しましょう。

製造装置の権利範囲としては、製造方法とは異なり、製造装置を使って製造した物は権利範囲外です。したがって処理手順に特許性がある場合、製造方法のクレームも独立請求項で追加すると良いでしょう。製造方法のクレームであれば、その方法で製造した物にも権利行使ができます。

製造装置の特許の取り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
製造業の特許の取り方!製造装置を例に解説します!

まとめ

今回は分野ごとの特許の取り方を解説しました。特許は技術分野ごとに明細書やクレームの書き方が違いますが、最適な書き方は特許庁とのやり取りや裁判例の勉強を通じて身に付けていくしかありませんので、特許の専門家である弁理士に相談しましょう。

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