IPランドスケープとは?具体的な活用方法を弁理士にインタビュー!
知財を重視した経営が注目されはじめ、近年話題となってるIPランドスケープ。
様々な著書や多くのインターネット記事でも取り上げられていますが、
・IPランドスケープって結局何なの?
・実際の経営にどうやって活かすの?
など、知財を専門としていない人にとっては疑問がたくさんあるかと思います。
本記事では、IPランドスケープを実際の経営に活かす方法について、専門家の先生にお話を聞いてみました。
知財を専門としない方でも、IPランドスケープはなぜ重要か・実際にどう活用するかが分かるよう徹底解説していきます!
より専門的な内容は、今回お話しを伺った佐藤先生のブログでも紹介されていますので、是非ご覧ください。
(取材協力:佐藤総合特許事務所)
目次
IPランドスケープとは?
そもそもIPランドスケープとはどんなものなのか、特許庁の資料を見てみましょう。
特許庁はIPランドスケープを下記のように定義しています。
- 経営戦略又は事業戦略の立案に際し、(1)経営・事業情報に知財情報を取り込んだ分析を実施し、(2)その結果(現状の俯瞰・将来展望等)を経営者・事業責任者と共有すること
簡単に言うと
- (1)知財情報などをしっかり調査・分析して
- (2)経営に活かせるようにしっかり活動しよう
ということです。
IPランドスケープの全体像については、以下の図のように特許庁のホームページで分かりやすく示されています。
(特許庁HP:https://www.jpo.go.jp/support/general/chizai-jobobunseki-report.html)
IPランドスケープが注目されだした背景
皆さんも使っているスマートフォンなどで大きな売上と利益をあげ、時価総額でも世界でトップになっているAppleをはじめとして、多くのグローバル企業は知財情報を活用し経営戦略の立案に役立てています。
Appleをはじめとした大手企業におけるIPランドスケープの活用については以下のような本も出版されています。
→参考文献
グローバルな超大手の企業だけでなく、中小企業やスタートアップまで知財分析から得た情報を意思決定の判断材料として活用する活動が広まりつつあります。
一方で日本でもIPランドスケープが注目を集めているものの、知財情報が経営戦略に活用される機会は多くなく、知財情報を扱う知財部も経営層とほとんど関わることがない場合も多いです。
これではグローバル市場での日本企業の競争力が落ちてしまう!ということで、日本は国を挙げて知財情報の活用を推奨するようになりました。
「IPランドスケープ」という言葉自体は、2017 年 4 月に発表された経済産業省の「知財人材スキル標準 ver2.0」で使用されたのをきっかけに、メディアやセミナーで広く使われ出した用語です。
また、このような動きに合わせ、IPランドスケープを推進する団体も活動を始めています。
IPランドスケープ推進協議会 (ip-edu.org)
IPランドスケープ推進協議会では、中小企業の参加企業も募集しているようです。
IPランドスケープの現状
しかし、特許庁の調べでは、知財分野でIPランドスケープという言葉を聞いたことがある人は約8割を占めているものの、実際に活用できているのは約1割という結果となっています。この調査からIPランドスケープは注目を集めていて知名度は非常に高いものの、企業が十分に使いこなすには至っていないという状況が伺えます。
日本企業がIPランドスケープを活用できていない要因の一つには、「IPランドスケープを実際に実務にどう活かすか」というイメージが湧きづらいことがあるかと考えられます。
ここからは「IPランドスケープを実際に企業がどのように活用するか」という事を中心に、専門家の先生に話を聞いていきます!
佐藤弁理士
佐藤総合特許事務所の代表弁理士。
企業知財部・経営企画での経験を元に、知財とマーケティングの両軸から企業を支援しています。
知財タイムズ編集部
日本の中小企業がしっかりとIPランドスケープが活用できるように、
佐藤先生に根掘り葉掘り聞いていきます!
IPランドスケープって本当に重要?
早速短刀直入な質問ですが、IPランドスケープって本当に重要なんですか?
結論から申し上げますと、「超重要」です!
実はですね、Googleで「IPランドスケープ 使えない」という検索が毎月一定数されているんです…….。
そうなんですね…….。
IPランドスケープは非常に重要なのですが、確かにまだまだどうやって活用すればよいか広くは知れ渡っていないのかもしれません。
戦い(ビジネス)において最も重要なのは
・戦場(市場の状況)
・敵(競合他社の状況)
・味方(顧客/提携先の状況)
などの情報だと思います。
実は、この情報も知財の調査・分析から得ることができるんです。
だから知財情報を調査・分析し、経営層と情報共有するIPランドスケープは重要なのです!
経営層はIPランドスケープで得た情報を加味し、ビジネス判断をするべきなのです。
是非知財に関して初心者の人でもわかるように、具体的なIPランドスケープの活用法を教えてください!
市場分析ができる!
わかりました!
それではまず、市場分析についてお話ししましょう。
上のIPランドスケープの定義では「(1)知財情報などをしっかり調査・分析して」というところがありますが、このような分析手法としてパテントマップがあります。
※パテントマップとは?
パテントマップとは特許についての分析ツール(手法)のことを指します。
自社や他社の特許出願状況をグラフや図表にしたもので、
- 出願件数の推移
- 出願先の国
- 技術分野ごとの出願件数
など様々な切り口から特許の出願状況を分析・可視化します。
※特許マップ(パテントマップ)の作り方!知財部員がやさしく解説!
「どのビジネス(事業)をやるか」「ビジネス(事業)をどのようにやるか」を決める際は、いろいろな情報を元に判断する必要がありますが、パテントマップから得た特許情報の分析結果もとても良い判断材料になります。
例えば、ある技術分野で特許の出願件数が伸びていたり、出願人の数が増えている場合、そこの市場は今後伸びることが予想されます。
市場規模(市場の売上高)の調査だけでは出てこない、将来を予測するのに必要な情報を得ることができるのです。
”特許=新しい技術”と考えると、市場が予測できる情報(未来予測のための情報)ということですね。
市場規模の調査結果(過去の情報)と組み合わせたら、経営層は「どのビジネスをやるか」の意思決定がしやすくなりそうです!
そうです!
もっとくわしく説明すると、特許は出願後20年経過するまでその技術を独占することを認めて、代わりに開示を求める制度です。
このため、企業は将来独占したい技術について特許出願しているのです。
そう考えると、特許出願を調べ分析することが将来を予測することにつながるというのは当然ですよね。
それから、特許情報は、企業や国に関係なく調べての分析することができますから、例えば国単位や顧客単位の特許を調べることで、一般的に流通しているような市場情報を裏付ける情報を得ることができる場合が多いのです。
このような知財情報や市場情報などを元に経営層が「どのビジネスをやるか」を決定したら、
・どういう商品を作るか=開発戦略
・どうやって特許を出していくか=出願戦略
・どうやって商品を売っていくか=マーケティング戦略
など、より具体的な戦略に話を進めることができます。
個別の戦略にもパテントマップの分析結果を活かせるので、経営層だけでなく事業責任者にも戦略を決める上で有益な情報を共有することができます。
それから、実は実際の戦略立案にあたり情報を共有する前に重要なことがあります。
それは何ですか?
知財情報が有益な情報であることを経営層や事業責任者にあらかじめ知ってもらうことです。
経営層や事業責任者は皆さん忙しいですし、必要に感じない報告は聞いて貰えません。
そこで、日頃から知財情報が役に立つことを知ってもらう活動をしておくことが必要になります。
具体例を聞いていて、
(知財情報を分析)→(経営者・事業責任者と共有)
をするIPランドスケープがどんな活動か、なぜ重要か、少しずつわかってきました!
経営層や事業責任者に理解して貰うためにも他の役立てかたが知りたいのですが、他にも市場調査にパテントマップは使えますか?
そうですね。日頃から知財情報が役に立つことを知ってもらうためにも使えて、実際の戦略立案にも役立ちそうな例をご説明します。
例えば、”海外展開するにあたり、進出する国を選定したい”という企業にはパテントマップは有益です。競合企業の特許出願状況を国別に見てみると、どの国に進出すべきかのヒントが見えてきます。
下の図は、ある分野の特許出願状況をバブルのサイズで示すパテントマップのイメージです。左から市場規模が大きいと考えてください。
また、A社/B社/C社は日本企業で、D社のみ海外の企業としてみてください。
競合企業4社の特許出願状況を国別に出してみると、どの国に進出すべきかのヒントが見えてきます。
上記の例の場合マーケットシェア上位の競合企業はこぞって中国・台湾に出願をしていますので、これらの国に需要があることは一目瞭然です。
なお、日本の出願が多いのは日本に出願した特許出願を外国で権利化するためなのであまり気にしなくて大丈夫です。
この結果を経営層に共有することで、進出先の候補として中国・台湾を検討することができます。
なるほど!
海外展開するための市場調査というと、調べる情報が多すぎてどこから手を付けて良いのかわかりませんが、競合の特許出願状況を調査するだけで、議論を前に進めることができますね!
特許の出願状況だけで海外進出先を決めることはできませんが、意思決定する際の検討材料としては非常に重要な情報です。
さらに進出先として決まった場合には、
「リスク回避のために現地の権利化状況をしっかり調べよう」とか
「競合が多くの特許を持っているので、自社も中国・台湾に特許出願しておいて、クロスライセンスのバーターのネタを増やそう」
といった具体的な知財施策にも落とし込めるのです。
市場分析のポイント!
パテントマップを使用し、特許出願状況から市場分析を行うことができます。
市場分析の目的に合わせて、分析する特許の情報を選びパテントマップを作りましょう!
特許出願状況以外にも、様々な方法で知財情報から市場分析が可能です。
知財情報の分析結果を経営層や事業責任者に共有することで、戦略立案の材料として役立てることができます。
競合分析ができる!
先ほどパテントマップで競合の特許出願状況の話がでましたが、競合分析にもパテントマップは活用できますか?
もちろんパテントマップは競合分析でも活用できます。
もう一度先ほどのパテントマップを見てみましょう。
競合がどのような戦略で事業を展開しているか?という観点で見てみると、市場規模4位のD社はアメリカを中心に特許を出願していることがわかります。
このデータを見れば、「この分野において主要マーケットは中国・台湾であるが、D社の主要顧客はアメリカだ」ということが推測できます。
例えば、経営層や事業責任者が何らかの理由でアメリカを市場として認識していなかったとすれば、ビジネスチャンスを提供することができます。
また、D社のような強力な競合がいることを知らずにアメリカに進出して特許訴訟に巻き込まれてしまうというリスクも事前に回避することができます。
なるほど!!
でもD社の主要顧客が分かった上で、自社はどのような行動を取れば良いのでしょうか……?
①主要マーケットの中国・台湾で、国内シェア1位~3位のA/B/C社と勝負をするのか?
②実は大きな市場があるかもしれないアメリカで、独走状態のD社と勝負するのか?
③別の国の市場を調べ上げD社のように自社が新たに市場を作り、独走状態を作るのか?
など経営層にいくつかの可能性を提示することができます。
もし、
“②実は大きな市場があるかもしれないアメリカで、独走状態のD社と勝負する”
と決めたのであれば、次はD社の特許情報を取り寄せ、D社と自社の特許取得状況を比較して詳細に検討したうえで
・D社と対抗しどんな商品を作っていくかといった商品開発の戦略
・どの技術についてどれだけアメリカに特許を出願していくかといった出願戦略
・どのようにアメリカに売り出していくかといったマーケティング戦略
の個別戦略を決める一つの情報として、各部署に特許情報を共有します。
競合分析のポイント!
パテントマップを活用し、競合の特許出願状況を分析することで、競合の経営戦略や市場でのポジショニングを推測することができます。
また、新規市場に進出する際のリスクを予測することができます。
知財情報を基にした競合分析の結果は、自社の戦略を決める際に非常に有益な情報です。
競合の特許分析の結果は、特許の出願戦略だけでなく、そのほかの個別戦略にも活用することが重要です。
顧客開拓ができる!
・戦場(市場)を知る
・敵(競合)を知る
ところまで、IPランドスケープの活用イメージが湧いてきました!
・味方(顧客/提携先の状況)を知る
方法も教えてください!
わかりました。
では特許情報を使った、顧客開拓について解説します。
「特許分類分析」や「引用文献分析」を使うと、潜在顧客のリストを作成することができます。
※特許分類とは
“特許分類”とは、特許出願に含まれる技術を技術別に分類する分類です。
図書館で本が分類されていますが、それと同じように、特許出願も関連する技術分類に特許庁が分類してくれます。
例えば、以下の公報はアップル社のスマートウォッチに関する出願ですが、赤枠で示した部分に、「G06F」から始まる特許分類と、「G04B」から始まる特許分類が複数付けられていますよね。
そうですね!
このうち、「G06F」の部分が「デジタルデータ処理に関する技術」であることを意味しており、一番上の特許分類の「3/0362」の部分が、「回転などを検出する(竜頭のよう)な技術」を意味しています。
また、下の方の「G04B」が「時計に関する技術」であることを示しています。
このように、特許情報は特許分類で分類されているため、特許分類を用いて簡易に分析することができます。
1つの出願に(多くの場合)、階層構造を持つ特許分類が複数付けられることで、関連する技術を多面的に知ることができます。
それで、この特許分類を顧客開拓にどう活かすことができるんですか?
いい質問ですね。
下のベン図を見てください。
例えば、商品Aを上記の公報の時計として、あなたの企業がその部材、例えば竜頭のメーカだったとします。
竜頭を使った時計を出願しているAppleのような企業は特許分類を使った検索から探すことができるのです。
あなたの会社が売りたい商品の特許分類で特許を調査して、出願件数などを集計し、上位○○位のようなリストを作ると、顧客や競合など関係する企業を調べることができます。
特許分類は例えば以下から調べることができますよ。
特許・実用新案分類照会(PMGS)|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)
「特許分類分析」を使った顧客開拓、だいぶイメージが湧いてきました!
「引用文献分析」についても教えてください。
※特許の引用とは
「引用文献分析」ですが、特許における”引用”とは、特許の審査の際に先行特許(先出願されている特許)を審査官が参照したことを指します。
例えば下の図で、特許庁の審査官が特許出願イの審査をする際に、関連する技術の先行特許文献アを参照した場合。
・先行特許文献アは、特許出願イの”引用文献”
・特許公報イは、先行特許出願アの”被引用文献”
となります。
なお、アとイのうち、分母が開示されている発明で、分子が権利化対象の発明と考えてください。
発明が近い内容であるということは技術的に関連のある会社ということは予想できますね。
そうです。
ここで説明されているように、引用関係にある企業を一覧にすることで、引用関係からも自社の技術と関連性の高い企業を洗い出すことができます。
自社の特許技術が先行特許として参照されているということは、
・自社の技術に関心を持っている可能性がある
・自社特許に似た技術でビジネスをしようとしている可能性がある
ということですね!
そのとおりです。
なので引用関係にある企業は
特許のライセンスや商品の営業先リストになり得る
ということです。
これらの分析結果に基づいて、企業のHPやIR情報や一般の企業情報と突き合わせていくことで、その一覧の中から顧客になりそうな企業を絞り込んで、アプローチする企業を選定することができます。
また、海外企業については、企業の所在地を現地の言語などで知ることもできるので、その会社へのアクションも円滑にできるかもしれません。
顧客開拓のポイント
「特許分類分析」や「引用文献分析を行うことで、潜在顧客を特許情報の切り口から探すことができます。
自社技術に関心度・関連性の高い企業を「引用文献分析」で洗い出し、自社商品や特許ライセンスの営業先リスト作成に活用することができます。
M&A先・提携先のリサーチができる!
M&Aや業務提携をする候補のリストも、特許情報から作ることができます。
M&Aにも特許情報は活用できるのですか?!
もちろん特許情報だけでは、M&A先を決めることはできませんが、一つの切り口として特許情報は非常に有益です。
例えば、新規顧客の調査の際に登場した「特許分類分析」や「引用文献分析」でM&A先のリストを作成することができます。
さきほどのベン図ですが、自社が「Aのメーカ」で、自社製品の差別化ポイントになり得る技術を持った「Aの製造装置メーカ」や「Aの材料メーカ」があるとします。
このような企業は、先の説明と同様に、商品Aに関する特許分類分析を行っても探すことができます。同様に、”特許の審査で引用された”ということは技術的関連がある企業ということがわかります。
同じ特許分類で出願をしている企業や引用関係のある企業を調査することで、自社と関連する技術を持った企業をリストアップできます。
このリストをその他の切り口から分析することで、さらに候補先を絞っていくことができます。
しかも特許情報はグローバルで調べることができます。
海外企業も含めて、M&A候補のリストを作成できるので特許情報は非常に有益です。
特許情報から似た技術を持った企業を洗い出し、そこからは別の切口でM&A先・提携先を絞り込んでいくイメージですね!
また特許の公報では技術のこまかな情報が公開されています。
リストを絞り込んだ後、企業が持つ技術の詳細も特許情報から見ることができます。
企業はビジネスを有利に進めるために必要な技術を特許として権利化しています。
なので保有する特許の情報を詳しく調べることは、企業の価値を測ることにもつながるのです。
また今後伸びそうな市場の技術が特許として権利化されている企業であれば、将来性も加味して企業価値を測ることができます。
特許情報という観点から、M&A先のリストアップから企業の評価(デューデリジェンス)までできるなんて思ってもいませんでした!
M&Aと同様に、共同開発の提携先も同じように探すことができます。
M&A先・提携先リサーチのポイント!
上記で解説しているように、特許分類分析や引用文献分析では自社の技術に関連性が高い企業をリストアップすることができます。
また特許情報はグローバルで調査が可能なので、そのほかの調査手法では見つけることが難しい海外の中小企業もリストアップできるかも知れません。
M&A先や提携先を探す際のデューデリジェンスに特許情報は活用できます。
企業の保有する特許を調べることで企業価値を測ったり、対象企業が他社の権利を侵害していないかなどを調べることで、M&Aや提携前にリスクを回避することができます。
まとめると、IPランドスケープは企業に必須の活動!
ここまで知財情報の調査・分析を重点に話しましたが、とにかくIPランドスケープとして知財情報を活用できる場面はとても多いんです。
IPランドスケープって本当に便利なんですね!!
今なら冒頭に出た、”役に立たないのか”という疑問に対して、はっきりと”役に立つ!”と言えるような気がします。
たしかにIPランドスケープは企業経営において、非常に重要です。
ただ非常に概念的で活用の幅広いため、企業活動の場で実際に落とし込みきれず、企業に浸透していないというのはよくわかります。
企業はIPランドスケープとして、特許分析(パテントマップ)をしっかり行い、これを適切に活用する方法を理解したうえで、
・「この情報をどこに持っていこう」
・「誰にどのように伝えよう」
・「どのように活用しよう」
と考えることが非常に重要です。
また、伝える相手にその情報を受け取って貰えるように日頃からコミュニケーションをすることも同じぐらい重要だと思います。
調査・分析をしただけで活かされなければ、せっかくの貴重な情報がただの自己満足でおわってしまいます。
このあたりでつまずかないためには、なぜIPランドスケープを行うかという動機をはっきりさせた後、IPランドスケープを行う手順を明確にし、利益に向かって行動することが重要です。
なるほど!このように可視化すると、
どのような手順で、何をすべきかということが、
より明確になりました。
自分も企業時代にパテントマップを作るだけで適切に報告を行うことができず、他のメンバーの行動を促すことが出来なかった経験もありました。
それは、IPランドスケープとして知財情報を活かす工程をしっかりイメージすることができていなかったからだと考えています。
IPランドスケープをしっかり回すこと、つまり知財情報を調査・分析し、その結果を社内でしっかりと揉むこと、目指すべき利益と次の行動をメンバーと握ることで、戦いを優位に進めることのできる戦略を練ることができるのではないでしょうか。
そのような意味で、情報を作り共有していくIPランドスケープは有益なのです
また、中小企業は大企業に比べて資源が乏しいことが多いですから、戦略を練り上げて戦うことの重要度は大企業よりもむしろ大きいのかも知れません。
IPランドスケープは中小企業も無視しちゃいけないものだ!と改めて実感してきました。
IPランドスケープはイノベーションを起こすカギになる
企業がイノベーションを起こすには技術とビジネスの両軸で経営を考えていかなくてはなりません。
知財情報を分析・共有するIPランドスケープは「イノベーションを生むための、”技術”と”ビジネス”を結ぶ架け橋」になります。
図解して見ると、知財情報を社内で共有し、戦略を練ることがいかに重要かハッキリわかります。
・IPランドスケープで企業が部門の垣根無く一体となり戦略を練る
・特許による参入障壁を作る
・事業を利益化する
これらのことはイノベーションを産み出すうえで、非常に重要なプロセスだと思います!
今回インタビューさせて頂き、IPランドスケープの具体的な活用イメージが湧いてきました!
今回お伝えしたのはあくまで、IPランドスケープの基礎的な情報です。
他にも様々な情報を調査したり、高度な分析を行うことで活用の場はさらに広がります!
佐藤先生!
ありがとうございました。
(取材協力:佐藤総合特許事務所)
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