特許出願(申請)するべき?特許のメリット・デメリットを徹底解説!
なにかを発明した時、特許を取ったほうがいいのかな…と悩むこともあると思います。
今回はそんな悩みを抱えるための人に「特許とはそもそも何なのか」ということから、特許出願のメリット・デメリットについてまとめて説明したいと思います。
特許とは?
特許権は知的財産権のひとつで、簡単に言うと、これまでにないアイデアや発明を保護するための権利を指します。この特許制度は、産業の発達に寄与することを目的に作られました。
特許権を取得すると、権利者はその特許技術を独占的に使えるようになります。
権利による保護期間は、出願日から20年。保護期限が切れた後は誰でも好きに特許技術を使えるようになります。
なお知的財産権には、実用新案権や意匠権、商標権などもあります。これらの権利と特許はどう違うのか、といった詳細は下の記事で解説中です。
特許取得のメリット 5つ
特許のメリットとして5つのポイントが挙げられます。
- パクリ防止になる
- 事業停止のリスクを回避できる
- ライセンス収入で稼げる
- 知名度上がる
- 信頼度があがる
1.パクリ防止になる
特許を取る一番大きなメリットは、パクリやコピー品の流通を防げること。
特許は登録した技術を独占的に使える権利なので、無断で模倣されたときには、権利者として相手を訴えることもできます。
競合他社は訴えられるリスクや高額な賠償金の支払いを避けるために、コピー品の製造販売をやめるでしょう。
また多くの場合、コピー製品は純正品より品質が劣ります。そういった質の悪い模倣品の流通を防ぐことで、結果的には自社製品の信用やブランド力も守れるはずです。
2.事業停止のリスクを回避できる
特許を取得することで、事業停止のリスクを小さくできる、というメリットもあります。
たとえば自社の事業で使っている特許未取得の技術Aと類似している、技術Bの特許を他者が取ったとします。
そうすると、最悪の場合「あなたの事業で使っている技術Aは我々の特許を侵害しています。今すぐ事業を停止してください。もしくはライセンス料を支払ってください」と言われるかもしれません。
これは、自社で使っている技術Aの特許を取っておけば防げた事態です。
事業停止といったトラブルを回避する意味でも、特許取得は積極的に検討するのがおすすめです。
3.ライセンス収入で稼げる
自社の取得した権利を使いたいという企業が現れたら、ライセンスとして貸与し収益を得ることができます。場合によっては、ライセンス料だけで数十億稼げることも!
ただしライセンス料を生んでいる特許は全体の5~6%程度だと言われています。特許で一発大儲けするぞ!と過度に期待するのは少し危険です。
そうは言っても、特許で稼ぎたいのがビジネスマンの本心ですよね。
特許を上手く活用できるかどうかは、実は権利を取るときに申請する書類内容に左右されます。
上手く運用できる特許を取れないかな、将来的にどうやって特許を活用すればいいのかな、と思ったら、知財のプロである弁理士に相談してみませんか?
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4.知名度が上がる
特許を取得することによって、業界を超えて自社の技術力をアピールすることができ、広告宣伝効果が見込めます。
登録された特許は、特許庁のデータベースで誰でも調べられますから、たとえば新しい技術を探している開発部に自社のことを認知してもらえるかもしれません。
そこから発展して、今まで取引のなかった企業から共同開発の依頼を受けたり、大学と産学連携で研究を行ったり、と新たな機会に繋がる可能性もあります。
特に近年、オープンイノベーションも非常に注目を浴びているので、昔よりも特許を持った企業を連携先として探している企業が増えているのは間違いないでしょう。
5.信用度が高まる
特許を取れるほど高い技術力を持っている、という事実は企業の知名度だけでなく信頼度も高めてくれます。
企業の信頼度は資金調達をするときや、商品を売るときに役立ちます。
特にベンチャー企業やスタートアップの資金調達の際に効果を発揮してくれるでしょう。
大手企業でも、消費者向け商品を販売するときに「特許取得済」と記載があると、ユーザーの興味が引かれたり、安心感に繋がったりして、売り上げがアップするはずです。
これらの特許出願のメリットについては、2020年9月開催の第一回知財EXPOで開催された特別講演でも言及されていました。
特許出願のデメリット 3つ
事業を行う上で特許はとても重要な役割を果たしますが、権利取得にはいくつかのデメリットがあります。
- 費用がかかる
- 権利取得まで時間がかかる
- 発明の内容が公開されてしまう
しっかりとデメリットも知った上で出願をしてください。
1.費用がかかる
やはり一番大きなデメリットは、権利取得までに高額な費用が必要になる点です。取得するための手続きはもちろん、登録された権利を維持するためにもコストがかかります。
弁理士に依頼する場合、一般的にはトータルで60万円ほどのお金+維持費用が必要です。
減免制度や補助金・助成金もありますが、それでも数十万円は支払うことになると思っておくべき。
一番安いのは個人で手続きする方法ですが、それでもだいたい16万円の支払い+維持費用がかかります。
ちなみに特許申請時、必要書類を書くためには発明技術や知財の専門知識が必須です。自分で準備して出願するのは、格安な分、非常に手間も時間もかかると覚えておきましょう。
2.権利取得まで時間がかかる
特許申請をしてから無事に権利を取得できるまで、だいたい1~2年必要です。速くても半年程度、長いと5年以上かかることもあります。
これほど時間がかかる理由は主に、申請された発明に、本当に特許権を与えられるほどの新しさがあるかどうかを特許庁が審査しなければいけないから。
この審査に時間がかかるので、出願してすぐ技術を独占、というわけにはいかないのです。
3.発明の内容が公開されてしまう
知的財産権による技術の独占的使用権の獲得は、その技術の情報を公開することを条件にしています。なので特許出願をすると、出願日から1年6ヶ月後に、発明の内容が公開特許公報として公開されます。
注意しておきたいのが、この情報を元特許として登録した範囲を避けた、類似の発明をされる危険性があること。
なおアイデアや書類内容によっては申請しても特許として認められないこともありますが、この場合も、出願から1年半後に発明内容が公開されます。
無事に特許権を取れた場合でも、権利で保護できる期間は出願日から数えて20年間のみ。存続期限をすぎると、誰でも技術を真似できてしまいます。
とはいえ情報開示を恐れて特許の権利を取得せず、類似の特許を他社に取られてしまうと、今度は逆に自社の技術さえ使えなくなってしまいます。
つまり公開されること前提で特許を取るのか、リスクを承知で発明を秘密にして守り続けるのか、選ぶ必要があるのです。
しかし、どちらがより賢い選択かを1人で判断するのは難しいですよね。もしも特許を取るかどうかで悩んだら、まずは知財の専門家である弁理士に相談してみましょう。
専門家ならではの知識で、どのように技術を守るのがベストか、アドバイスをしてくれますよ。
特許申請前に知っておきたい注意点
意外と知られていない、特許出願時の注意点を紹介します。
絶対に権利を取れるとは限らない
実は、特許出願をした技術がすべて権利を取れるわけではありません。出願した発明が特許権を取るためにはいくつか条件があります。
- 産業として利用できるか
- 今までにない新しいものか(新規性はあるか)
- 進歩性はあるか(従来技術を少しだけ改良した内容でないか)
- 同一、もしくは類似の技術が先に出願されていないか
つまりこれらの条件を満たしていない発明は、特許として認められないのです。
外国で技術を守るには海外出願が必要
日本の特許庁に申請して得た権利で守れるのは、日本国内のトラブルだけです。外国でも自分の発明を守りたいなら、各国の特許庁に出願して権利を取得する必要があります。
先ほど解説したように、特許申請をした技術は公開されるので、海外の会社が真似をして類似品を作る、なんてことが起きるかもしれません。
この場合、外国でも特許を取っておかないと、パクリを訴えることができないので、泣き寝入りするしかなくなります。
まとめ
今回は特許のメリットデメリットについてまとめました。
デメリットがあるとはいえ、特許を取得し事業展開を考えることは非常に重要です。しっかりとデメリットを知った上で正しい知財戦略を立てましょう。
正しい知財戦略を立てるのに最も肝となるのは、信頼のおける弁理士をさがすことです。
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