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コンビニコーヒーは香りで勝負!「香りフタ」〜株式会社ローソン〜【おもしろ特許】

1杯100円で本格的なコーヒーの苦味やコク、風味を楽しむことができるコンビニコーヒー。

毎日のようにコンビニコーヒーを飲んでいる方も多いのではないでしょうか。かくいう筆者もそのひとりです。店内でコーヒーを淹れているときに漂うコーヒー豆の香りがたまりません。

今回はそんなコンビニコーヒーの香りにこだわった特許を紹介します。

【特許の基本情報】

特許番号:特開2021-031070

発明の名称:飲料カップ用蓋体

特許権者:株式会社ローソン

出願日:2019.8.19

出願状況:特許出願中(2022.7.31時点)

  • セブン-イレブン『セブンカフェ』
  • FamilyMart『FAMIMA CAFÉ(ファミカフェ)』
  • ローソン『MACHI café(マチカフェ)』

コンビニコーヒーというと、まずはこの3社のブランドを思い浮かべる方も多いかもしれません。

その中のひとつ、ローソンから特許出願されたのが今回の「香りフタ」です。

特許の肝「発明が解決しようとする課題」を簡単解説!

【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  従来の飲料用カップの蓋は、飲み口が比較的小さいため、飲料の香りを楽しむことができなかった。例えばコーヒーを飲む際には、コーヒーそのもののおいしさに加えて、コーヒーの香りを楽しみたいという要求が存在する。蓋のないカップ、例えばマグカップであれば、マグカップの上面からコーヒーの香りが拡がるので、コーヒーを飲もうとユーザがマグカップを口元に近付けると、コーヒーの香りがユーザの鼻に至ってこれを楽しむことができる。

【0006】
  しかしながら、飲料用カップに蓋をしてしまうと、香りが蓋で閉じ込められてしまい、これを感じることができない。特に上述した飲料用カップの蓋では、不用意な液漏れを防ぐために飲み口の開口面積を小さくしている。この結果、飲み口から香りが漏れる量も少なくなってしまうという問題があった。かといって、飲み口を大きく開口すると、今度は不用意な液漏れのリスクが高まる。このように、飲料の香りを楽しむことと液漏れを防ぐこととは、相反する特性を有することから、両方の要求を満たすものは従来存在しなかった。

【0007】
  本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、カップから飲料が漏れにくい構造は維持しつつ、カップ内の飲料の香りをも楽しむことができるようにした飲料カップ用蓋体を提供することにある。

【課題を解決するための手段及び発明の効果】

【0008】
上記構成により、飲料カップ非使用時は、カバー部で飲み口である開口部を塞ぐため、飲料が飲料カップからこぼれたり、暖かい飲料であれば、冷えたりすることの回避を図ることができる。また、飲料カップ使用時には、開口部を開放すると同時に香り窓も開放される。これにより、開口部を通じてだけでなく、香り窓を通じても飲料の香りがもれる。したがって、使用者は通常のワンプッシュの簡単な動作で、通常の香り窓を設けない飲料カップより飲料の香りを楽しむことができる。

出典:J-PlatPat

”  従来の飲料用カップの蓋は、飲み口が比較的小さいため、飲料の香りを楽しむことができなかった。”

この発明が解決しようとする課題はこの一文につきます。

これまでのフタは、中に入っているコーヒーをこぼさないようにするために、必要最低限の広さの飲み口しか開いていませんでした。これではコーヒーの魅力のひとつである「香り」までは十分に楽しむことができません。

そこで発明されたのが、この「香りフタ」です。

出典:J-PlatPat

使い方はこれまでと変わらず、飲み口を開くための凸部(上図の42部)をフタ中央の凹部(上図の70部)に差し込むだけです。

これにより、フタ中央にも飲み口(上図の30部)とは別の開口部である香り窓(上図の90部)ができます。

この香り窓からコーヒーの香りを楽しめるんですね。

飲み口を元に戻すとこの香り窓も塞がるので、飲んでいないときに中のコーヒーが飛び出す心配も不要です。

実際に香りフタでコーヒーを飲んでみた

お恥ずかしい話ですが、筆者は今までこの中央の穴は「飲みやすくするための通気孔」だと思っていました。

この香り窓の存在を知ってから実際にローソンでコーヒーを飲んでみましたが…

「たしかにコーヒーの香りが漂って、美味しさを引き立ててくれている…!」

と感じました。

この香り窓の位置は、飲んでいるときの鼻の位置に近く、コーヒーを飲み切るまで香りを楽しむことができます。

余談ですが、コンビニコーヒーは「ドリップ抽出タイプ」と「エスプレッソ抽出タイプ」の2種類に分けられます。

ローソンのコーヒーは「エスプレッソ抽出タイプ」。コクや苦味が落ち着いているので、比較的飲みやすい印象です。香りはやや控えめに感じましたので、この香り窓の存在は大きいと思います。

まとめ

今回はローソンの「香りフタ」について紹介しました。

コーヒーを飲む人の気持ちに寄り添った工夫が嬉しい特許になっています。

また、特許ではありませんが、FamilyMartのコーヒーのフタにも見逃せない工夫があります。こちらは飲み口が広く作られており、飲みやすさとコーヒーの香りを感じられるような設計になっています。

コンビニ各社のコーヒーへのこだわりは、豆や抽出方法だけには留まらないんですね。

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