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商標を登録するには?手続きの流れから注意点まで徹底解説

商標登録のやり方!権利化までの4ステップ

商標は知的財産権の一つであるため、登録までの流れが複雑なのではないかと感じる人も少なくないでしょう。

実際は意外とシンプルであり、商標登録までのステップは大きく4つに分けられます。

  1. 他人の商標を検索・調査する
  2. 出願書類を特許庁に提出する
  3. 審査結果に対応する
  4. 年金を納付する

本記事では、自社の商標を登録するまでの流れや注意点、個人で手続きを行う際のポイントをまとめました。

商標登録を検討されている人は参考にしてみてください。

注:特許庁費用はすべて2022年4月1日改定後の金額です。

商標登録されるための要件

自社のロゴマークやブランド名を商標登録して保護するためには、いくつかの条件があります。

  • 使用意思がある
  • 識別力がある
  • 商標の不登録事由に該当しない

ひとつめの「使用意思」とは、現在ないし将来自身で使う商標か?という要件です。商標法は「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与」するための法律なので、自分で使うことが求められます。

そして商標は自社サービスと他社サービスを区別するための目印ですから、区別する力、つまり「商標の識別力」が必要です。そのため普通名称などは登録できないと決められています。

そのほか、公益や他人の権利との関係で商標登録できないと決まっているものがあります。例えば先に出願された商標と、「商標自体が同一または類似」かつ「指定商品・役務が同一か類似」だと商標登録はできません

関連記事:商標のコンセント制度について解説。商標法改正で登録要件が緩和

1.他人の商標を検索・調査する

ここからは、具体的な権利化までの流れを解説します。

自社の商標を登録したいと考えたら、まずは他人がその商標を使っていないか調べましょう。すでに登録されている商標は、J-PlatPatで確認できます。

検索ページにアクセスし、登録したい商標を入力してみてください。

たとえば「TOYOTA」で検索した際の結果は以下の通りです。

出典:J-PlatPat

検索結果のチェックポイントは

  • 提供する商品・サービス名
  • 区分

が同じ商標があるかどうかです。

両方とも自社と同じ商標が見つかった場合、商標登録できる条件を満たせないので、出願をしても登録できません。

なお同じ「TOYOYA」であるのに複数の商標が登録されているのは、区分が異なれば別の商標として扱われるためです。

それぞれの商標公報を見てみると、「TOYOTA」が

  • 自動車並びにその部品及び附属品
  • 乾燥装置
  • 業務用テレビゲーム機
  • テレビジョン放送

などの様々な区分で登録されているのが分かります。

自社の商品・サービス名を、どの区分でカバーできるかは慎重に検討しましょう。

なお45個に分けられている区分の詳細は、特許庁ホームページの類似商品・役務審査基準で確認できます。

2.出願書類を特許庁に提出する

自社が登録したい商標が他人に使われていないと確認できたら、出願の書類を作ります

出願書類は、自社で作成することもできますし、特許事務所に代行依頼することも可能です。

ただ出願する区分数が多いときなどは、手続きでミスが起きないよう特許事務所に外注するのが安心でしょう。

出願書類のテンプレートは知的財産相談・支援ポータルサイトで手に入ります。

手続き自体は、書面とインターネット(電子出願)のいずれかで行います。

手続きを書面で行うと電子化手数料が余計にかかるので、経費削減のためにも電子出願がおすすめです。

  • 出願料(3,400円+区分数×8,600円)
  • 電子化手数料(2,400円+書面の枚数×800円)

電子出願の場合、電子証明書と専用のソフトウェアが必要になります。

手続きは電子出願ソフトサポートサイトの記載に従えば完了できますが、手続きの不備が心配であれば、特許事務所に依頼するのが安心かもしれません。

3.審査結果に対応する

書類を提出すると、特許庁にて出願した商標が登録できるかが審査されます。

商標登録出願から一次審査通知までの期間は、約10ヶ月です。

特に問題となる点がなければ、追加の手続きなしに登録査定されます。

ここで、登録できない理由があると通知されるのが、拒絶理由通知書です。

もし拒絶理由通知書を受け取ったら、特許庁のお助けサイトを参考に対応しましょう。

出願内容の補正や登録されるべき理由の説明をすることで、登録を認められることがあります。

4.年金を納付する

登録査定されたら、年金(権利の維持費用)を納付しましょう。

年金は10年分(区分数×32,900円)、もしくは5年分(区分数×17,200円)をまとめて納付する必要があります。

また10年毎に更新登録料(区分数×43,600円)を支払うことで、商標権を維持できます。

年金を納付し忘れると権利を失ってしまいますので、管理には注意をしなくてはいけません。

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商標登録の費用をかんたん解説!

商標の登録出願前に知っておきたいこと

商標登録の出願の手続きを進める前に、知っておいてほしいことが2点あります。

  • 誰も使っていなくても登録できない商標がある
  • 権利を行使しないと効力が弱まることがある

誰も使用していないから、また自社が権利を保有しているから安心であると思ってしまいがちですが、そうでない場合があるのです。

登録できないものがある

他人が使用していなかったとしても、出願した商標が登録されるとは限りません。

以下が登録できない商標に該当します。

  1. 他人の商品・サービスと区別するマークとして機能しないもの
  2. 公共機関のマークと紛らわしいなど、公益に反する商標
  3. 他人の登録商標または広く知られた著名な商標などと紛らわしい商標

上記1の例として、野菜の商品名を「北海道」として販売した場合が挙げられます。

消費者はその野菜がどのようなものか判断する際に戸惑ってしまうでしょう。

商標は消費者に商品・サービスの内容を分かりやすく伝えるために用いるものであり、その機能を果たしていないと登録できないのです。

権利を行使しないと効力が弱まることがある

手間と費用をかけて取得した権利であっても、管理を怠ると「普通名称化」という、自社の権利を失うリスクがあります。

模倣品を見つけたら、提供をやめさせるための権利行使が必要です。

ここで放置してしまうと、せっかくの商標が普通名称化し、誰もが商標を使える状態となってしまうことがあります。

  • うどんすき
  • 巨峰
  • ホッチキス

などは当たり前のように使われていますが、もともとは企業の登録商標だったのです。

商標は登録するだけで終わりでなく、権利を維持する限り管理が必要となると覚えておきましょう。

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ホッチキスの商標!弁理士が普通名称化についても併せて解説!

商標は必要?何のために登録するのか【基礎知識】

あらゆる商品・サービスには、ブランド名やロゴといった商標が使われています。

ブランド名などを自社だけが使えるようにするためには、商標登録が必要です。

特許庁に出願し、登録された商標は登録商標と呼ばれ、特許庁のホームページに掲載されます。

模倣品が出回ることが少なくない現在の市場において、登録商標はコピー品を防ぐツールの一つとなります。

商標登録をするメリット

自社の商標を登録すると、大きく以下の3つのメリットが得られます。

  1. 登録した区分において、提供する商品・サービス名を自社のみが使える
  2. 他人による自社の登録商標の使用をやめさせられる
  3. 他社から使用中止を訴えられるリスクが抑えられ、ビジネスを継続しやすくなる

消費者はブランド名やロゴなどの商標と、商品・サービスの特徴を、結びつけて覚えています

模倣品が出回るのを防ぐことで、消費者は安心してその商品・サービスを使い続けられるでしょう。

また商標権を取得することで、ブランドイメージが正しく伝えられ、ビジネスを継続しやすくなります。

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商標登録をするとどうなる?メリットや事例をご紹介

商標登録にかかる費用相場

商標登録にかかる費用は以下の通りです。

1:特許庁に支払う費用

項目費用
出願料3,400円+8,600円×区分数
電子化手数料※2,400円+書面の枚数×800円
登録料区分数×32,900円(10年分)区分数×17,200円(5年分)
更新登録料区分数×43,600円

※電子出願の場合不要

2:特許事務所に支払う手数料(1区分の場合)

項目費用
商標出願2~10万円
拒絶理由通知対応4~16万円
更新登録2~8万円

出典:日本弁理士会 平成15年特許事務報酬(弁理士手数料)に関するアンケート結果

特許事務所に代行依頼するかによって、かかる費用が倍以上変わることがあります。

費用を含む代行依頼するか迷ったときの判断ポイントは、次の項目を参考にしてください。

商標登録は自分でできる!代行依頼するか迷ったときの判断ポイント

商標の出願と登録は専門家にしかできないと思われがちですが、特許事務所の力を借りなくても行えます。

自社で行う場合と特許事務所に代行依頼する場合には、それぞれメリットがあります。

  • 調査する範囲の広さ
  • かけられる費用・時間

が代行依頼するかの判断基準となるでしょう。

【判断基準1】調査する範囲の広さ

出願前に他人の商標を調査する際、

  • 商標を登録できる可能性を少しでも高めたい
  • 模倣品を減らせるように十分な範囲の権利を取得したい

といった希望が強いほど、代行依頼することをおすすめします。

自社で調査する場合、確認できる商標の数に限りがあったり、他人の登録されている商標が審査の際に問題となるか判断しきれなかったりします。

試しに自社で調査を行い、対応が難しいと感じたら代行依頼する特許事務所を探すのもよいかもしれません。

【判断基準2】かけられる費用・時間

代行依頼により得られる主なメリットの一つが、時間の削減です。

一方で、代行依頼すると追加で以下の費用がかかります。

  • 出願手数料
  • 登録手数料
  • 出願前の事前調査費用

これらは10万円で済むこともあれば、事前調査を行う範囲によっては100万円を越えることもあります。

具体的な費用が気になる人は、いくつかの特許事務所に見積もり依頼を出して、自社に合いそうな事務所を探してみましょう。

まとめ

商標は、消費者が商品・サービスを識別するための目印です。

その目印を真似されてしまうと、たとえ内容が素晴らしくても、ビジネスを続けるのが難しくなってしまうことがあります。

商標を登録して自社にしか使えない権利とすることは、商品・サービスを守るための重要な手段です。

本記事を参考に、自社が使う商標の登録を検討してみてはいかがでしょうか。

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