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パロディとパクリの違いって?あなたは説明できる?【弁理士解説・それってパクリじゃないですか第2話】

※本記事にはドラマ「それってパクリじゃないですか?」第二話のネタバレ要素を含みます。未視聴の方はぜひ、本編視聴後にご覧ください。作品はTVerHuluにて配信されています。

看板商品をパクられた!「それパク」第2話のあらすじ

4/19(水)22時に「それってパクリじゃないですか?」の第2話が放送されました。

今回はドラマのタイトルにもある「パクリ」に直球で迫る内容となっていました。

※1:17~に「緑のお茶屋さん」「緑のオチアイさん」比較シーンがあります!

主人公・亜季の所属する月夜野ドリンクの看板商品「緑のお茶屋さん」のパロディ商品のチョコレート「緑のオチアイさん」が落合製菓から販売されていることを知った亜季。

亜季は、落合製菓・落合社長の優しさに触れ、当初は悪気のないパロディだからいいんじゃないかと会社に訴えました。

しかし、上司の弁理士・北脇や社長はパクリであるとして訴訟も辞さない構え。

一方、亜季は、親友のゆみが手掛けるハンドメイドブランド「ふてぶてリリイ」の商標を他社にパクられて先に商標登録されてしまったことを聞いて憤慨します。

また亜季は「緑のお茶屋さん」の開発秘話を聞き、「緑のお茶屋さん」を開発した高梨部長の商品への思いに気づきました。

パクられた側の思いや努力を理解しつつ、「緑のオチアイさん」への法的措置を取るべきか悩む亜季。最後は胸が熱くなる展開へ……。

さて、ドラマの中でも出てきましたが、そもそもパクリとパロディの違いって何なのでしょうか?パロディだと許されて、パクリだと許されないということはあるのでしょうか?

そんな疑問について、現役弁理士の観点から解説してまいりたいと思います。

パロディとパクリの線引きは?

そもそもパロディとはどういう意味でしょうか。

パロディとは、他者の作品や商品をユーモアをもって模倣することをいいます。一方、パクリも他者の作品や商品を模倣することをいいます。

ではパロディとパクリのどこが違うのかというと、ドラマでは「愛があるか」が違いだと言っていました。

つまり、パロディは元ネタについて愛をもって茶化すのに対し、パクリは元ネタに対する愛がなく専ら自分の利益のために模倣したものだということです。

パロディに似た概念として「オマージュ」があるということもドラマで触れられていました。「オマージュ」も他者の作品を模倣することですが、そこには作品へのリスペクトが存在します。

亜季は当初、「悪気がないパロディだから」ということで落合製菓の肩を持ちました。しかし、上司の弁理士・北脇は「愛があればパクってもいいのか」と、断固としてパクリを認めませんでした。

実は、法的にはパロディとパクリの線引きというものはなく、「愛があるか」「リスペクトがあるか」というのは法的な判断に影響しません。

「商標の類否」という聞きなれない言葉を弁理士・北脇が言っていましたが、「類否」とは要するに商標同士が似ているか・似ていないかということです。

法的に「似ている」(類似といいます)ということになれば、愛があろうがなかろうがパロディ商品を販売することは元ネタの商標権の侵害となってしまいます。

過去にパロディで争いになった実際の事件はある?

過去にパロディ商品が元ネタ側から訴えられて争いになった事件はいくつかあります。

今回は原作小説第一巻でも登場した著名事例である、「白い恋人」事件と「フランク三浦」事件を取り上げて解説します。

白い恋人事件

ドラマの中でも触れられていましたが、北海道のお土産として有名な「白い恋人」のパロディ商品「面白い恋人」を大阪などで販売していた吉本興業が、「白い恋人」の石屋製菓から訴えられた事件があります。

●「白い恋人」製造元、「面白い恋人」の吉本を提訴 – 日本経済新聞

ドラマの「緑のオチアイさん」は訴訟に発展することはありませんでしたが、「白い恋人」事件では、ユーモアのある「面白い恋人」であっても訴訟になってしまいました。

この事件は最後、和解で終了しましたが、両者の間でどのような条件で和解になったかは明らかにされていません。

●「面白い恋人」訴訟和解 デザイン変更、関西限定に – 日本経済新聞

現在も大阪では「面白い恋人」が販売されているので、「白い恋人」側は少なくとも「面白い恋人」の大阪での販売は認めてくれたのではないかと推測します。

よって、パロディだから許されたというわけではなく、あくまでも両者の話し合いでの解決となったわけです。

フランク三浦事件

高級腕時計「フランクミュラー」のパロディ商品「フランク三浦」の商標登録がされたことについて「フランクミュラー」側が商標登録の無効を訴えて訴訟となった事件があります。

裁判所では「フランク三浦」は「フランクミュラー」と似ていない(類似しない)という結論になりました。

平成27年(行ケ)第10219号全文

この事件もパロディだから許されたというわけではなく、あくまで商標自体が似ている・似ていないの判断によって結論が下されました

商標が似ている・似ていないという判断基準は、「称呼」(読み方)、「外観」(見た目)、「観念」(意味)で、これらを総合的に考慮して判断されます。

「フランクミュラー」と「フランク三浦」は読み方において類似するものの、見た目や意味は類似しないとして、両商標は類似しないと判断したのです。

白い恋人事件やフランク三浦事件でもわかるとおり、パロディだから許されるというわけではなく、訴訟に発展してしまう事例はあるのです。

今回の「緑のオチアイさん」を弁理士はどうみるか

今回の「緑のオチアイさん」、私が担当弁理士だった場合、訴訟するかどうかは微妙なところだと思います。

「緑のお茶屋さん」と「緑のオチアイさん」は外観が極めて類似するものの、称呼は紛らわしいとはいえないという解釈も可能です。また、観念(意味)は全く異なります。

仮に訴訟となった場合、フランク三浦事件のように敗訴する可能性も考えると、訴訟に踏み切らなかった弁理士・北脇の判断は懸命だったといえます。

実際にパクリ商品を見つけたという相談が来たときはどうする?

パクリ商品を見つけた場合、現実の知財部はどう動くか気になる方もいると思います。

実際は弁理士・北脇と同じく、パロディだからといって容赦はしません。即刻商標の使用を停止するよう求めるのが通常です。

なぜかというと、パロディを黙認していたという事実が自社に不利に働くことがあるからです。そうならないために、パクリ商品を見つけた際は、どういう事情があるにせよ使用を停止してもらう対応をすることが多いと思います。

結局、パロディって許されるの?

弁理士・北脇が考えた結論は、「緑のオチアイさん」を訴えることではなく、落合製菓とのOEM(他社ブランドの商品を製造すること)を提案することでした。

ドラマではお互いWinWinとなる結果でハッピーエンドとなりましたが、上記の事例にもあるとおり、実際は裁判に発展してしまうケースもあります。

商標は長い年月をかけて信用が蓄積したものであり、会社の営業努力の結晶ともいえます。

会社はその営業努力の成果を守るため、ユーモアのあるパロディであっても許すことはできないというのがドラマでおわかりいただけたことと思います。

第2話は身近な「商標」という知的財産がテーマで非常にわかりやすく、ストーリーも山あり谷ありで楽しめる内容でした。

ふだんは知的財産になじみのない方が、ドラマをきっかけに知的財産に興味を持っていただけたら弁理士としては最高です。

慣れない知的財産業務に奮闘する亜季と知的財産のエリートである弁理士・北脇が、知的財産に関する問題をどのように解決していくのか、今後のドラマの展開に期待したいと思います。

番組概要・原作情報

番組概要

番組名:それってパクリじゃないですか?

放送日時:毎週水曜夜10時 (TVerHuluにて配信あり)

出演:芳根京子、重岡大毅(ジャニーズ WEST)ほか

脚本:丑尾健太郎(「半沢直樹」「ノーサイド・ゲーム」「下町ロケット」など)

製作:日本テレビ

公式サイト:https://www.ntv.co.jp/sorepaku/

原作情報

「それってパクリじゃないですか? ~新米知的財産部員のお仕事~」奥乃 桜子 /集英社オレンジ文庫

「それってパクリじゃないですか? ~新米知的財産部員のお仕事~」奥乃 桜子 /集英社オレンジ文庫
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