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超簡単!特許調査のキホンを企業知財部員が解説

特許調査

企業の知財活動としてまず最初に行うのは、特許調査ではないでしょうか。知財部員だけでなく、開発者もある程度の特許調査スキルは持っておかないと、開発したものが他社特許を侵害してしまいます。

特許調査は、分類やキーワードの選び方が難しく特許公報の読み方も分からないため、敬遠されがちです。今回は特許調査のキホンとして、まずはツールを使ってみて特許公報を読むという流れを企業知財部目線で解説します!

<この記事でわかること>
・無料検索ツール(J-PlatPat)の基本的な使い方
・特許公報の基本的な読み方
・知財担当者として開発者へ提供する情報

(執筆:知財部の小倉さん

特許調査は知財活動のキホン

特許調査って難しい?

特許調査には、出願前調査、技術動向調査、クリアランス調査など目的に合わせて様々な種類があります。自社の開発技術を出願する前に、開発に着手する段階から必要となる技術が特許調査ですので、その方法については知財担当だけでなく開発者にも知ってほしいものです。

調査の種類や依頼できる特許事務所に関しては、こちらで詳細に解説しています。
→ 参考:特許調査とは?どこに依頼できるかも解説します!

もちろん、特許事務所など専門家へ特許調査を外注することもできます。しかし、簡単な調査をいちいち外注していたら業務スピードも遅くなりますし、お金もたくさんかかってしまいます。そこで、簡単なキーワード検索の方法は覚えておくことをおススメします。

特許調査に関する無料の情報でも学習できる

独立行政法人工業所有権情報・研修館(略称:INPIT)は、国内外の知財情報を検索できるサービスとしてJ-PlatPatを無料で一般へ提供しています。

さらにINPITは検索サービスだけでなく、講習会の実施、講習会資料やマニュアルなどユーザーに必要な情報も公開しています。ただ、特許について全く知識のない人が資料を読んでJ-PlatPatを使って検索してみるには、少しハードルを感じてしまうかもしれません。
→ 参考:特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)講習会

無料の検索ツールはJ-PlatPat以外にも、Googleが提供するGoogle Patentや世界知的所有権機構(略称:WIPO)が提供するPatent Scopeなどがあります。他の検索ツールや特許データベースについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 参考:特許の検索サイトと使い方を徹底解説!

特許検索をまずは体験してみることが大事

特許庁ホームページに支援情報・活用事例というページがあり、スタートアップ向け情報をクリックすると「競合他社の技術・デザインもチェックしましょう」という項目があり、「特許公報を検索してみましょう」というリンクが貼られています。

本記事では、このリンク先のページに記載している手順を解説しつつ、特許公報の読み方についても解説します。特許検索を一度体験してみることで、疑問や興味が湧いてきて特許調査が身近なものになると思います!

無料検索ツールで簡単な特許検索をしてみよう

百聞は一見に如かずということで、まずは下記リンクからJ-PlatPatにアクセスしてみましょう。いかに手順を示しますので、同じようにやってみてください。

リンク:J-PlatPat 特許情報プラットフォーム

そして、下図のように「特許・実用新案検索」をクリックしてみましょう。特許番号があらかじめ分かっていれば、その上に表示されている「特許・実用新案番号紹介/OPD」から検索できます。

出典:特許公報を検索してみましょう(特許庁ホームページ)

すると、下図のような画面が表示されます。「(3)検索項目を選択(例は「全文」)」とありますが、全文は特許公報の全体を範囲とします。そして、「(4)検索したいキーワードを入力」のテキストボックスに探したいキーワードを入力して検索すれば、特許公報の内容にそのキーワードを含む特許を抽出してくれます。

出典:特許公報を検索してみましょう(特許庁ホームページ)

キーワードで技術を絞ってみましょう

今回は試しに「電気自動車」をキーワードとして入力して、検索をクリックしてみました。

自分の気になる技術をキーワードとして入力してみましょう。ただし、「EV」や「電動車両」など類義語は検索されません。類義語も含めたい場合には、スペースで区切って「電気自動車 EV 電動車両」と入力すれば、いずれかのキーワードを含む特許文献を検索(OR検索)することができます。

すると、検索結果が3000件を超えてしまったため、表示できませんでした。下図の赤字のようにエラーメッセージが出てしまいました。

さすがに「電気自動車」というキーワードが特許文献のどこかにあるという調べ方だと12万件という膨大な数になってしまいますね。さらに他のパラメータで件数を絞ってみましょう。

出願人(権利者)を絞って検索してみましょう

次は、出願人・権利者の項目で絞ってみましょう。ここでは「トヨタ自動車」というキーワードで絞ってみます。実際には、顧客や競合の名称を入力して他社動向を調査するとよいでしょう。

これでもまだ1万8千件ありますね。さらに別のパラメータで検索範囲を絞る必要があります。

発行日で絞ってみましょう

あまり内容を絞りたくないので、次は時期で絞りたいと思います。下図に示すように、検索オプションから「公知日を21年4月以降」に指定しました。

これにより、21年度に発行された公開公報に絞り込むことができました。

公知日でなく、「登録日」で絞ると登録された特許を見ることができます。

特許公報を読んでみよう

特許公報には公開と登録がある

取得した文献一覧から文献番号のリンクをクリックすると下の画面になります。テキスト表示以外にもPDF表示をすることができます。テキスト表示では検索キーワードが色付きで表示されますので、キーワードの箇所を探したいときに便利です。

上の例では「特開2021-180587」という番号が記載されています。これは、公開特許公報(A)という種類の特許公報です。その他にも特許公報(B2)という特許公報もあり、「特許第XXXXXXX号」という番号が付けられています。

特許は出願日から1年6カ月後に出願時の内容が出願公開によって一般へ公開されますが、この時に特許庁から発行されるものが公開特許公報(A)になります。つまり、出願時の内容が公開されたもので特許登録されたものではありません。

自社特許の出願前調査のときに、公開特許公報 (A) をチェックして出願しようとしている自社技術に特許性があるか判断するという使い方をよくします。

一方で、 特許公報(B2)は審査を経て特許登録されたものが記載されています。特許権は侵害した者に対して、損害賠償請求や差止請求をすることができる権利です。そのような強力な権利ですので、特許庁は新しい権利が登録されたら、その内容を特許公報 (B2) として一般に通知しています。

請求項を読んで権利範囲を確認しよう

特許公報で特に重要なのが、「請求の範囲」の項目です。なぜなら、出願公開時では出願人が権利化したいと考えている技術の範囲が分かりますし、登録時では権利者が持っている特許権の範囲が分かるからです。

審査経過から補正や反論の内容を確認できる

特許の審査では、出願時の内容がそのまま登録されることは珍しく、公知文献にもとづく拒絶理由が審査官から出願人へ通知され、補正や反論をしていることが多いです。出願人の考えが意見書の中に見ることができますので、読んでみると反論手法など勉強になります。

特許庁と出願人とのやり取りは、「経過情報」をクリックすると確認できます。

「経過情報」をクリックすると、下図のような画面になります。拒絶理由通知書や意見書などリンクをクリックすると各種書類の内容が閲覧できます。この例ですと、出願後に3回の拒絶理由が通知され、そのたびに手続補正書と意見書を提出し、登録となっていますね。

開発者へ最新の特許情報を提供しよう

まずは特許を読むことを習慣化しよう

今回紹介した方法を使えば、簡単に特許公報を閲覧することができます。まずはJ-PlatPatを触って、1つでも特許公報を読んでみてください。

そして、特許公報を読むことを習慣化することで特許の出願動向を把握でき、自社出願の登録や他社特許の侵害予防にも役立ちます。

気になる特許があったら開発者に見せてみよう

知財部がある会社であれば、知財部員が特許検索をし、気になる特許を見つけたら開発者に見せてみましょう。

開発者は技術やコストなどの製品要求を満たすことに加えて、他社特許もチェックしなければなりません。そこで知財部員が開発者の代わりに特許を読んで要注意の登録特許が見つかったら注意喚起を行えば、開発者からは喜ばれるかもしれません。

しかし、開発業務がスピードが速く、知財部員がすべての開発アイデアを追いかけるのは難しいと思います。製品コンセプトは知財部員、製品改良は開発者など開発段階によって担当を分けると効果的かもしれません。

製品と他社特許の対比は専門家へ相談!

特許調査は奥が深く、本記事で紹介した方法を使えば簡単に特許を検索することができます。しかし、本当に自社製品が他社特許の権利範囲に含まれているかなど、法律上の解釈は裁判になるほど難しいものです。

また、権利侵害を行ってしまえば、製品の生産が止められてしまうなどビジネスに直結する大問題となってしまいます。なので、少しでも怪しいと思ったら弁理士や特許事務所に相談することをおススメします。

まとめ

今回は特許調査のキホンとして、J-PlatPatを使ったキーワード検索と特許公報の読み方を解説しました。インターネットや本には、特許調査に関する情報が溢れていますが、結局どうやって使えばいいのか分からず調査できていない方もいるのではないでしょうか?

まずは、今回解説した方法で1週間に1回でも顧客や競合の特許情報を見るようにしましょう。そして自社開発品と似ているなど気になる特許があれば専門家に相談して、自社開発品が他社特許を侵害していないかチェックしましょう。必要に応じて自社で特許出願し、他社が自社開発品を模倣しないように技術を権利化していきましょう。

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