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実用新案について徹底解説!具体例や費用・メリットについて説明します!

実用新案 

本記事は「実用新案に興味がある」というすべての人に向けて、実用新案についての基本的な情報や特許との比較をまとめたものです!

この記事を読めば、実用新案の理解はもちろん、権利活用のアイデアが湧いてくること間違いなしです!

実用新案は特許よりも格安で権利が取得できます。特許と比較したメリット・デメリットや活用方法も解説しますので、特に中小企業の方は実用新案の出願をぜひご検討ください。

特許出願ラボにご相談いただければ、あなたの会社にぴったりの特許事務所や弁理士を紹介します。本記事を読んで実用新案について詳しく知りたいと思ったら、ぜひお問い合わせください。

実用新案とは?

特許は発明を保護する制度ですが、実用新案は何を保護するのでしょうか?まずは保護対象や制度目的など基本的な事項を具体例を交えながら解説します。

実用新案の保護対象

実用新案の保護対象は、「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」です。また考案は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」と定義されています。

出典:特許庁 2021年度知的財産権制度入門テキスト

実用新案権で保護されないもの

保護対象は物品の形状等に係る考案なので、特許のような「方法」や「物質」は、実用新案法の保護対象となりませんので注意が必要です。

出典:特許庁 2021年度知的財産権制度入門テキスト

なぜ実用新案は必要?

実用新案の目的

実用新案は考案を保護する制度です。考案は技術的思想の創作という点で発明と同じですが、発明のような高度な技術ではありません。ちょっとした工夫であっても産業上役立つことも多く、日常生活の利便性を向上させてくれます。いわゆる小発明として保護する価値があるということですね。

「同じ技術的思想であれば特許を取ればいいのでは?」と思うかもしれませんが、実用新案ならではの利用価値があります。それは「審査が早く、登録になり易い、費用が安い」ということです。権利を取得すれば、特許よりも制限がありますが、独占排他権を行使することができます。

実用新案制度の詳細は専門家である弁理士がこちらでも解説しております。
実用新案権とは?現役弁理士がわかりやすく解説!

身近な具体例は?

実は私たちの生活の中で使っている製品も実用新案権で保護されている物もあります。フローリングワイパー押しつぶせるティッシュ箱がその具体例です。100円均一ショップで売っているような日常アイデアのレベルで権利が登録されているというのは驚きですね。

出典:実公平02-001272
出典:実公平06-021421

権利取得にかかる費用は?

実用新案を検討する際に重要なのは費用ですよね。

具体的な金額としては、特許が約60万円/件に対して実用新案は約40万円/件で済みます。出願から登録(1~3年の維持費用含む)まででここまで違うので、登録維持が長くなるともっと費用に差が出てきます。

実用新案登録を弁理士に依頼をした場合、費用の詳細は以下のようになります。

出願手数料(印紙代)14,000円
登録料(1〜3年分)6,600円
出願手数料(弁理士費用)265,896円
成功報酬(弁理士費用)60,934円
合計347,430円

依頼する特許事務所や請求の範囲によって異なりますので、詳しくは特許事務所へ直接確認しましょう。

実用新案登録出願の詳しい費用の解説はこちらの記事で読むことができます。
実用新案登録の費用を徹底解説!

特許と何が違うの?

実用新案は特許とはどう違うのでしょうか?特許庁の資料では以下のようにまとめられています。

出典:特許庁 2021年度知的財産権制度入門テキスト

本記事では特に、以下の3つの違いについて解説したいと思います。

  • 審査の違い
  • 権利取得までの期間の違い
  • 権利行使上の違い

審査の違い

既に上で書きましたが、保護対象は特許の方が広いです。

特許はテレビの構造やスマホの製造方法など、あらゆる技術を保護できるのに対し、実用新案は机の形状や洗濯ネットの構造など、物品の形状、構造又は組合せに係る技術しか保護されません。

したがって実用新案では画像処理方法など方法に関する技術は保護されないので、この場合には実用新案ではなく特許を取得する必要があります。

また、実用新案は特許と違い無審査で登録されます。

正確に言うと、形式的な審査はされますが、考案が本当に世の中に知られていないものであるか(新規性と言います)などの点は全く審査されずに登録になります。

極端な例でいえば、すでに世の中にあるパソコンの構造を実用新案として出願したとしても、権利になってしまうのです。

権利取得までの期間の違い

実用新案が登録になるまでの期間は、出願からおおむね2~3カ月です。特許になるまでの期間が数年単位であることを考えると、かなり早いといえるでしょう。

この理由はご説明したとおり、実用新案には審査がないため、特許のような長い審査期間がかからないからです。よって、すぐに権利化したいときは実用新案はメリットがあるといえます。

権利行使上の違い

実用新案権は存続期間が10年と、特許に比べて短いです。

特許は出願日から20年間権利が存続しますが、実用新案は出願日から10年間権利が存続しますので、特許の半分の期間しか保護されません。

よって、長い期間技術を保護したい場合には不利ですが、逆にあまり長い間使われないような技術の場合は特許より実用新案のほうが向いているといえます。

また、実用新案は権利行使に制限があります。

実用新案は無審査で登録されてしまいます。すると、既に世の中にあるパソコンの構造などに実用新案権が与えられてしまうことになり、世の中にある技術が実用新案権者に独占されてしまうことにもなりかねません。

このような事態を防ぐために、実用新案権者が他人に対して実用新案権を行使する場合、実用新案技術評価書という書類を特許庁から取得しないと行使できないことになっています。

この評価が高ければ高いほど、実用新案はきちんとした有効な権利であるといえるのです。この評価が低い場合、有効な権利とはいえないので、権利行使を断念することになります。

これにより、無審査で登録された実用新案権が安易に行使されないようにしているのです。

実用新案取得の流れ

今まで実用新案と特許との違いを説明してきましたが、次に実用新案権を取得する流れを説明します。

まずは特許庁へ出願、そして登録料納付

以下に実用新案の出願から登録、そして実用新案技術評価請求までの流れを示します。ここに記載されている費用は特許庁へ支払う費用のみで、特許事務所や弁理士に支払う費用は入っていません。

実用新案登録出願の流れ
出典:特許庁 初めてだったらここを読む~実用新案出願のいろは~

出願手続きを進めるにあたり、出願しようとするアイデアについてすでに似たような出願がされていないかを調査するのが通常です。

出願した後に似たような出願が見つかった場合、権利が取得できなくなってしまいますし、出願までにかけた費用が無駄になってしまいます。過去に出願された特許や実用新案については、特許庁のJ-Platpatという無料のデータベースが提供されていますので、これを使うことができます。

実用新案登録出願をすると、特許庁ではまず形式的な審査(方式審査)が行われます。

実用新案は審査を一切しないというわけではなく、例えば明細書や図面が提出されているかや、実用新案登録請求の範囲が規則に沿って書かれているかなどの形式面については審査が行われます。

形式的な審査が終わると、特許の場合はアイデアの中身についての審査(基礎的要件審査)となるのですが、実用新案の場合、アイデアの中身についての審査は一切行われません。

よって、実用新案は無事に登録されたとしても権利としては不安定であり、特許に比べて先行調査をよりしっかり行っておくことが重要なのです。

特許庁からの登録通知が来た後、登録料を支払えば無事実用新案権として登録されます。

実用新案登録の必要書類は?

実用新案登録出願の書類は以下の5つになります。特許とほとんど同じですが、図面を必ず提出しなければならない点だけが異なります。

  • 願書
  • 明細書
  • 実用新案登録請求の範囲
  • 図面
  • 要約

願書には出願人の住所・氏名などを記載します。

願書のほか、実用新案を取得したい技術的なアイデアを説明した明細書と呼ばれる書類、権利範囲を記載した実用新案登録請求の範囲と呼ばれる書類、明細書と同じく内容を説明した図面、そして内容をコンパクトに説明した要約を提出する必要があります。

これらの書類については自分で作成して出願することも可能ですが、技術的な知識のほか、特許や実用新案の専門的な知識も必要になりますので、通常は特許事務所の弁理士に作成を依頼します。

出願書類や手続きの詳細はこちらの記事で弁理士の解説が読めます。
実用新案登録の流れ!出願から登録まで弁理士が徹底解説します!

実用新案取得のメリット

ここまで制度や特許との比較を解説してきましたが、「実用新案を取っても使えないんじゃない?」という声もよく聞きます。取得した実用新案権をどのように使うか、以下で解説します。

実用新案のメリットは?

実用新案の主なメリットは以下の3つです。

  • 登録までの期間が短い
  • 費用が安い
  • 進歩性のハードルが低い

まず、実用新案は登録までの期間が短いというメリットがあります。

実用新案は実体的な審査をしませんので、出願から通常2~3カ月で登録となります。ライフサイクルが短い商品については、特許になるまで待っていると商品の販売が終了してしまい、適切な保護ができなくなるおそれがあります。なるべく早く権利化して保護したいのであれば、実用新案を取得することはメリットの一つとなるでしょう。

次に、費用が安いということも大きなメリットです。

実用新案は特許と比べて一般的には弁理士に支払う報酬が安くなります。スタートアップ企業で知的財産の取得にそこまでお金をかけることができないという場合には、実用新案を取得することもメリットの一つであるといえます。

そして、特許よりも進歩性のハードルが低いというメリットもあります。

特許になるための要件の一つに、進歩性という要件があります。公知技術に基づいて容易に発明することができたときは、特許を受けることができないという要件です。

実用新案にも似たような規定がありますが、実用新案は、「きわめて」容易に考案することができたときは、実用新案登録を受けることができないとされています。

つまり、特許に比べて実用新案のほうが権利になりやすいといえます。特許は取れないかもしれないが、実用新案なら有効な権利となる可能性があるのです。

やっぱり特許にしておけばよかったという方へ

実用新案登録に基づいて特許出願を行う制度もあります。

実用新案を出願した日から3年以内であればその実用新案に基づいて特許出願ができるという制度です。

この制度を利用すれば、まずは実用新案として出願して登録しておき、その後実用新案についての技術が市場で盛り上がりそうな状況であれば特許として出願することも可能です。

はじめから特許出願する場合と比べて、まずは実用新案権として保有することができますし、3年以内に特許出願をしなかったとしてもそのまま実用新案権として残りますので、出願後の事業の状況によりフレキシブルな対応が可能です。

実用新案は意味ないって本当?

実用新案権を取っても意味がないという方の多くは、以下のようなデメリットのことを言っています。

  • 無審査で登録されるリスク
  • 権利行使の前に実用新案技術評価書の提示が必要
  • 実用新案権が無効になった場合の権利者の責任が重い
  • 権利の存続期間が短い

無審査で登録されるリスク

一般的には実用新案と特許とを比較した場合、特許出願をしたほうがよいといわれています。

理由は、実用新案は特許と違って無審査で登録になるからです。正確に言うと、形式面の審査は行われますが、新規性や進歩性などの実体的な審査は一切されることなく登録になってしまいます。

つまり、登録されたとしても本当に有効かどうかはわからないのです。極端な例でいうと、既に世に知られているような技術であっても登録になってしまうのです。そうすると、実用新案を取ったとしてもすぐに無効にされてしまうリスクがあります。

権利行使の前に実用新案技術評価書の提示が必要

実用新案は実体審査をしませんので、登録されたとしても本当に有効なのかはわかりません。このような権利を安易に行使されると、行使された側が不利益を被るおそれがあります。

そこで、実用新案を行使するためには、行使の前に実用新案技術評価書を取得したうえで、それを相手方に提示して警告しなければ権利を行使することができないとされています。

実用新案権が無効になった場合の権利者の責任が重い

実用新案を行使するためには、実用新案技術評価書を取得したうえで、それを提示して警告しなければならないとされています。

実用新案技術評価書の評価として、特許庁の審査官が実用新案について否定的な評価をした後、無効になってしまった場合、原則として実用新案権者は権利行使された者に対し損害賠償責任を負うことになります。

特許庁が否定的な評価をしたにもかかわらず権利行使をしたのですから、無効になった場合には責任を負うことになるわけです。

一方、特許は審査官によってしっかりと審査がされてから登録されるため、仮に無効になったとしても特許権者はこのような責任を負うことはありません。

損害賠償責任は実用新案権者にとって大きなリスクであり、実用新案を取るよりも特許を取ったほうがよいと言われる理由になります。

権利の存続期間が短い

最後に、実用新案は存続期間が出願の日から10年であり、特許と比べて半分の期間しかないため、長く実施される技術にとってはデメリットとなります。

実用新案は無意味かというテーマについては、こちらの記事で弁理士が詳細に解説しています。
実用新案は意味が無いのか?みなさんの疑問に弁理士が答えます!

実用新案は稼げるの?

特許ほどの自由度はないが同じように稼げる!

実用新案権は権利行使に制限があったり、存続期間が短かったりして特許ほどの活用自由度はありません。また、特許や商標など他の知的財産権と同じように、権利を取得したからと言ってすぐに稼げるようになるわけではありません。

ただ、自社製品が売れたときに他社が類似品を販売することを止めさせることができ、結果的に自社の製品が売れやすい状態を作ることができます。また、他社からライセンス料をもらうことで自社の利益とすることができます。

拒絶が確定しない不気味さがある

特許は審査がありますので、拒絶査定が確定したり、審査請求がされていなかったりすれば公知技術として自由に使っていいんだと理解することができます。

しかし、実用新案は審査が無い分、どこまでいっても権利行使される可能性が付きまといます。これは、他社からすると不気味で嫌な権利ではないでしょうか。

もちろん、実用新案技術評価書を他社が請求することもできますが、わざわざお金を自分で払ってまで請求するでしょうか?自分たちがその技術を使いたがっているという情報はあまり出したくないのではないでしょうか?

したがって安価に10年間の嫌がらせができる方法として有効かもしれません。

実用新案技術評価書って?

今までの説明で実用新案の活用において、「実用新案技術評価書」が重要だということが分かったと思います。本記事の最後に「実用新案技術評価書」について個別で解説します。

特許庁の審査官が評価した結果

実用新案技術評価書とは、実用新案権の有効性について、特許庁の審査官が評価した書面になります。特許は新規性や進歩性などの審査が特許庁で行われるのに対し、実用新案は新規性や進歩性などの審査が特許庁で行われません。

つまり、実用新案は登録されて権利になったとしても、本当に新規性や進歩性があるのかはわからないのです。すでに世の中に知られている技術であったとしても、審査がされないため実用新案として登録されてしまいます。

そのような権利を他人に行使してしまうと、本当は有効ではない権利を行使することによって他人に不利益を及ぼしてしまうかもしれません。

よって、実用新案は、他人に権利を行使する前に必ず実用新案技術評価書を取得し、それを他人に提示したうえで警告しなければ権利を行使してはならないとされています。

実用新案技術評価書の内容

実用新案技術評価書については、特許庁のページにサンプルが掲載されておりますので、詳細につきましてはこちらをご参照ください。

実用新案技術評価書には、「1」~「6」までの評価と、先行文献が記載されています。

「1」~「6」までの評価の意味は以下のとおりです。

  • 「1」…新規性がない場合
  • 「2」…進歩性がない場合
  • 「3」…拡大先願がある場合
  • 「4」…先願がある場合
  • 「5」…同日出願がある場合
  • 「6」…先行技術文献等を発見できなかった場合

簡単にいうと、「1」~「5」の場合は、実用新案について特許庁の審査官が否定的な評価をしたということになります。一方「6」の場合は、肯定的な評価をしたということになります。

評価が「1」~「5」の場合は特許庁の審査官が否定的な評価をしているわけですから、他人に対して権利行使をするのは控えたほうが無難ということになります。

もっとも、「1」~「5」だからといって他人に権利行使をしてはダメというわけではありません。審査官の評価が誤っている可能性もありますし、ご自身が先行文献等を検討した結果、有効性は認められると考えれば、権利行使をすることは可能です。

実用新案技術評価書について詳しく知りたい場合には、こちらの記事をお読みください。
実用新案技術評価書とは?

まとめ

今回は実用新案について基礎知識や特許との比較について解説しました。

実用新案は無審査で登録となってしまうため、権利行使のときには特許よりも慎重に対応する必要がありますが、「2~3か月で早期に登録が可能」、「費用が40万円と安い」などメリットもありますので、特許の補完として使うことができると思います。

この記事を読んで、「あの技術はライフサイクルも短いから実用新案かな」と思い浮かぶものがありましたら、弁理士に相談することをおススメします。特許出願ラボであなたに合った弁理士を見つける作業に移りましょう!


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