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ロゴに著作権は発生する?作成時・利用時に気を付けるべきポイント

事業を進めていく中で、デザイナーにロゴを外注することがあるかと思います。

みなさんはそのロゴに、著作権が発生するかもしれないと考えたことはありますか?

もし考えたことがなかったのであれば、この先ロゴが使えなくなったり損害賠償を請求されてしまうかもしれません。

そこで本記事ではロゴに著作権が発生するか否かや、デザイナーにロゴの作成を依頼する際の注意点などを説明していきます。

【前提知識】著作権とは?

著作権は簡単に言うと、著作物を保護するための権利です。

具体的には著作物の財産的価値を保護するための権利であることから、「著作財産権」と呼ばれることもあります。

この著作権は特許権や商標権と異なり、権利の発生に出願などの手続を必要としません。つまり著作物の創作と同時に発生するのです。

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ロゴに著作権は発生するの?

次にデザイナーが創作したロゴに著作権が発生するのか見ていきましょう。

ロゴに著作権が発生するための要件

ロゴに著作権が発生するためには、ロゴが「著作物」に当てはまることが必要です。

この点、著作権法2条1項1号では著作物について次のように定めています。

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

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つまりロゴが「著作物」として認められるための要件は、以下の4つに分けられます。

  1. 思想又は感情が含まれること
  2. 著作者の個性が表れていること(創作性)
  3. 表現したものであること
  4. 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属すること

この4つの要件を全て満たすロゴは著作物と認められて、著作権が発生するのが基本です。

著作権が発生しづらいロゴの特徴

前提として「ロゴ」は、大きく以下の3種類に分けることができます。

  1. 文字のみのロゴ(ロゴタイプ)
  2. 絵柄のみのロゴ(シンボルマーク)
  3. 絵柄と文字を組み合わせたロゴ(ロゴマーク)

特に1のロゴタイプは著作物と認められないケースが多く、著作権が発生しづらいといえます。

参考までに、ロゴタイプの著作物性が否定された判例を2つ紹介します。

東京高裁平成6年(ネ)第1470号 Asahi事件

引用元:J-PlatPat

Asahiのロゴについて一定のデザイン性は認めつつも、美的創作性を感得することはできないとして著作物性が否定されました。

知財高裁令和4年(ネ)第10011号 ANOWA事件

引用元:J-PlatPat

ANOWAのロゴはそれ自体が独立して美術鑑賞の対象となる創作性を備えているような特段の事情を認めることはできないとして、著作物性が否定されました。

著作権侵害の判断基準

ロゴの著作権を気にするときは、「どんなロゴなら著作権の保護対象になるか」と同時に「どうすると、ロゴの著作権侵害に当たるか」も考えるべきです。

著作権侵害が認められるための要件は、以下の4つに分けられます。

1.著作物であること

前述のとおりロゴタイプは著作物性が否定される傾向にあるとしても、シンボルマークやロゴマークについては著作物と認められる可能性は大いにあるでしょう。

2.依拠性があること

もしも新しく創作されたロゴが、既存のロゴを参考にして作られた場合は依拠性があるといえます。

一方、既存の著作物を知らずに偶然似たようなロゴを創作した場合は、依拠性の要件を満たしません

3.類似性があること

例えば新しく創作されたロゴが、既存のロゴに似ているか否かということです。

この「似ているか否か」は新しく創作されたロゴと既存のロゴの共通部分が、本質的な特徴にあたる部分なのかという視点で判断されます。

4.利用者が著作物を利用する権限を持っていないこと

例えばロゴの著作権者から利用許諾を得ていない場合は、著作物を利用する権限を持っていないということになります。

著作権侵害のペナルティ

上記の4つの要件を満たした場合は著作権侵害が成立するため、ロゴの著作権者から差止請求や損害賠償請求などを受ける可能性があります。

ロゴの個人使用(私的使用)は著作権侵害になる?

ではロゴを個人的に使用する場合について考えてみましょう。

著作権法上「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」において著作物を使用するときは、原則的に使用者が複製できる旨の記載があります。

しかし、この範囲は親しい少人数の友人や数名程度のサークルなどが想定されており、同じ範囲内の者同士に強い個人的結合関係が必要といわれています。

このようにロゴを個人的に使用する場合でも、その範囲によっては著作権侵害になってしまう可能性があるので、注意が必要です。

デザイナーにロゴの作成を依頼するときの注意点4つ

次にロゴの作成をデザイナーに外注する際の注意点を説明していきます。

1.著作権の譲渡

デザイナーにロゴの作成を依頼した場合、ロゴの著作権は依頼者ではなくデザイナーに発生します。

つまりロゴが依頼者に納品されたとしても、著作権はデザイナーに残ったままとなるのです。

そのため発注の際は、デザイナーからロゴの著作権を譲渡してもらうよう事前に交渉しておくと良いでしょう。

なおデザイナーから著作権の譲渡を断られた場合の対応策としては、ライセンス契約の締結や複製権・翻案権などに限定した権利譲渡があります。

ちなみに「翻案権」とは簡単にいうと、著作権者に無断で著作物をアレンジ・改変されない権利のことです。

2.著作者人格権の不行使特約

デザイナーにロゴの作成を依頼する場合、著作権の譲渡だけでは不十分といえます。

というのもデザイナーがロゴを創作したとき、著作権とは別に「著作者人格権」が発生します。

著作者人格権は著作者の名誉や作品に対する思いを保護する権利であり、以下の3つの権利が含まれます。

  • 公表権(作品を公表するか否かや公表する際の時期・方法などを決められる権利)
  • 氏名表示権(名前を表示するか否かや実名での表示などを決められる権利)
  • 同一性保持権(著作者の意に反して作品の内容を無断で変えられない権利)

この著作者人格権は著作権と異なり譲渡できません。

そのため契約書中に著作者人格権を行使しない旨の特約を入れることで、未然にトラブルを防ぐことができます。

3.商標権の確認

前述の判例で紹介したAsahiのロゴやANOWAのロゴは、著作物性が否定されたため著作権侵害を理由に権利行使を受けることはありません。

しかし、これらのロゴはそれぞれ商標登録されているため、登録と同じ分野で事業をしていた場合、商標権侵害で権利行使を受けるおそれがあります。

このようなリスクを未然に防ぐためにも、作成したロゴタイプやロゴマークなどが商標登録されているかの確認は必須といえます。

他人の商標権が存在しないことが確認できた場合は、将来の自己の事業を守るためにも速やかに商標登録すべきと考えます。

なお商標権と著作権の違いについては、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

商標権と著作権は何が違う?ポイント4つ

4.似ているロゴの確認

ロゴの作成にあたって、デザイナーが他人のロゴやイラストなどを真似している可能性があります。

そうとは知らずにロゴを使用した場合、依頼者は著作権者から差止請求などの権利行使を受けるおそれがあります。

このようなリスクを防ぐためにも、デザイナーから完成したロゴが納品されたら、画像検索サイトで類似するロゴが存在しないか確認しましょう。

まとめ

ロゴはロゴタイプのように著作権が発生しにくいものもありますが、事業を安定的に運営していく上では著作権が発生する前提で進めるべきでしょう。

またデザイナーとの間で将来トラブルが発生しないように、著作権譲渡や著作者人格権の不行使特約については口頭やメールではなく、しっかりと契約書を締結することを推奨します。

本記事を何度でも読み返して、実務に活かしてください。

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