特許出願(申請)は自分でできる?事務所に代行依頼をしたほうがいい?
特許の出願をしようとなった時、おそらく選択肢は自分で出願するか特許事務所に頼むかの二択になると思います。
特許は書類を自分で作って出願することができますが、特許事務所に代行を依頼することをおすすめします。
今回は自分で出願する場合と特許事務所に依頼をする場合の違いについて紹介しようと思います。
特許事務所に代行を依頼すべき理由
特許事務所に特許出願を代行してもらうべき理由は大きく分けて以下の3つが挙げられます。
- 明細書の作成が難しい
- 特許の請求範囲を正しく設定するのが難しい
- 拒絶されたときの対処が難しい
明細書とは発明の詳細を記述する書類のことです。
決められたフォーマットで正しく発明を説明しなくてはならないので、素人が簡単作れるような書類ではありません。
特許には請求範囲というものがあります。
この請求範囲は広すぎると特許になりませんし、狭すぎては守れる範囲が狭すぎて無意味な特許となってしまいます。
拒絶とは簡単に言うと、特許の審査が通らなかったということです。
しかし拒絶されたとしても、出願の内容を修正し、再度審査を依頼することができます。
この手続きは素人にとって非常にハードルが高いです。
上記の3つの理由を見ただけでも、特許の取得は弁理士の腕にかかっているということがわかるでしょう。
こちらの記事ではより詳しく代行を依頼すべき理由を解説しています。
→弁理士・特許事務所とは?特許出願を代行してもらうべきかも解説します!
特許事務所に代行依頼するメリットについても触れようと思います。
特許事務所に出願代行を依頼をした時のメリット
労力と時間を省ける
発明した人は特許を出願することが本業ではありません。特許の出願方法を一から調べる作業は非常に時間のかかる作業ですので、本業に割くリソースが減ってしまうのは間違いありません。特許事務所に任せることで、手間なく特許の出願が可能です。発明者は本業に専念することができます。
トラブルを回避できる
特許事務所は特許に関するプロです。仮に特許庁が拒絶してきた場合でも、専門知識を持って対処することができます。
上記の特許事務所に代行を頼む理由とも重複しますが、出願自体が無駄になることや、発明者の権利範囲が狭くなったりするトラブルも回避しやすいの特許事務所による代行出願です。
権利化後も安心
出願が認められた後の手続きや、特許の管理なども専門知識を持ってサポートしてくれます。権利化後も特許に関する煩わしい手続きを任せることができるのも魅力の一つです。
自分で出願した場合のメリット
費用が抑えられる
自分で出願した場合は特許庁へ支払う費用だけです。特許事務所に依頼をした場合に比べて、大きく費用を抑えることができます。
知財に関する知識が蓄積する
自社で出願をした場合、特許に関する知識やノウハウが社内に蓄積します。今後も特許の出願を繰り返す場合、自社で出願ができるような仕組みを作っておくのは非常に重要です。また特許事務所に依頼をすることがあった場合でも、自社に特許出願のノウハウがあれば事務所とのやりとりがスムーズに進みます。
費用の比較
自分で出願する場合の費用
自分で出願を行う場合は、かかる費用は特許庁費用だけです。
特許庁費用は総額162,00円です。
内訳はこちらの記事で詳しく解説しています。
→特許出願の費用と相場を徹底解説!
特許事務所に代行依頼した場合の費用
特許事務所に特許の出願代行を依頼した場合、上記の特許庁費用と特許事務所手数料がかかります。
特許事務所費用は事務所によって異なりますが、30~40万円くらいが一般的です。
特許事務所に依頼をする場合は、30~40万円プラスでかかるということを頭に入れておきましょう。
自分で出願する場合
出願の手順
特許の出願を自分で行う場合の手順を説明します。発明により異なる場合はありますが、ほとんどの場合は以下の手順になると思います。
①特許に関するリサーチ
特許に関する情報をとにかく調べなくては何もできません。どのようなものが特許として該当するのか、個人で出願する場合何をしなくてはならないのかなどリサーチを行うことから始まります。特許や知財に関して無料で講習会を行なっているところもありますので、積極的に参加して情報を集めましょう。特許庁のHPでも様々な情報を得ることができます。
②発明の分析
自分の発明がそもそも特許に該当するのか、発明のどの部分が特許として認められる可能性があるのか、ということを①で調べた情報を元に吟味しなくてはなりません。ここで発明の本質を分析し、本当に出願の価値があるのかを判断しましょう。
③調査(先行技術調査)
特許を出願すると決心したら、次は調査に入ります。ここで言う調査とは先行技術調査のことで、これから自分が出願する発明と類似のものが既に特許として出願されていないかを調べるものです。特許を出願し拒絶されてしまう多くの理由が、この先行技術によるものなので、無駄な時間やコストをかけないためにもしっかりと調査を行なった上で出願をしましょう。行技術調査を行う方法は以下の通りです。
Jplatpatは特許庁の提供する特許情報のプラットフォームであり、特許権を無料で検索することができます。調査を行う最も一般的な手段ですが、使うのに慣れが必要なのと平成5年以前の内容を調べるのが難しいというのがデメリットです。Jplatpatでは特許を分類しているコード(FI記号やFターム)を使用して検索するので、これらをうまく使えれば苦労しないでしょう。
NRIの提供する知財全般のソリューションです。有料になりますが、世界約100の国と機関の知財情報を収録されています。AIを活用した検索機能も搭載されており、特許調査を効率化してくれます。調査だけでなく、知財のコンサルティングサポートも提供しているので、知財に関してトータルサポートしてくれます。自分で出願したいが、サポートが欲しいという人にはぴったりのサービスです。
アメリカに特許出願を考える場合、アメリカの特許庁のHPでも調査をしておきましょう。無料で利用可能ですが、表記は全て英語です。
- 手めくりで調べる
特許庁や発明協会では広報を直接調べることができます。古典的な手段ですが、徹底的に調査をしたいという場合は今でも用いられている手段です。
- 調査を依頼する
特許の調査機関や一部の特許事務所では、調査業務のみの代行も行っています。各機関や事務によって費用はことなるので、しっかりと確認しておきましょう。知財タイムズでは調査業務のみの依頼も見積もりが可能です。
特許調査に関しては、こちらの記事でより詳しく解説しています。
→特許の検索サイトと使い方を徹底解説!
→特許調査とは?どこに依頼できるかも解説します!
④出願書類準備
特許出願において最も時間のかかる作業が、出願書類の準備です。特許の出願には
- 特許願
- 特許請求の範囲
- 明細書
- 図面
- 要約書
の5つの書類が必要です。これらの書類で特許が認められるかどうかが大きく左右させます。
書類の書き方はこちらの記事で解説しています。
→特許出願の必要書類と書き方!弁理士が徹底解説します!
詳細は特許庁の出すガイドを参照しましょう。
ガイド
⑤出願
書類が揃ったら、あとは特許庁に書類を提出するだけです。特許庁へ出願書類を提出には、書面で出願書類を提出する方法とパソコンを使って電子出願をする方法があります。書面の場合は後日、電子化手数料を追加で払うことになります。
自分で出願する場合の費用
出願する発明によって異なりますが、出願時の費用は約14,000円です。
出願ののちに審査依頼を特許庁にしなくてはなりませんので、別途審査請求費が発生します。
特許事務所に出願代行を依頼をする場合
代行依頼の手順
①特許事務所探し
特許出願において最も重要なのがこの特許事務所です。
なぜなら事務所選びを間違ってしまうと
- 特許が取れない
- 特許を取ったのに事業を守れない
- 取得後のうまく知財を活用できない
特許が取れるか、その特許が事業を守れるものか、活用できるかは、どれだけ強い特許を取れるかによって決まります。
強い特許を取れるかどうかは弁理士の腕次第です。
しっかりと価値のある特許を取るためにも、
近所だから、安いから、いつも商標を頼んでいるから、、、
などといった安易な理由で特許事務所を選ばないでください!
特許事務所選びに関する記事
→特許は弁理士選びで全てが決まります!
→必見!特許事務所の選び方
特許事務所は全国に4,000個以上あり、特徴は事務所ごとに様々です。
自分の発明にあった事務所を探すだけでも一苦労ですが、知財タイムズではあなたにぴったりな特許事務所を複数ご紹介が可能です!
せっかくの発明を無駄にしないためにも、知財タイムズで自分にあった事務所を見つけましょう。
②特許事務所に相談する
ほとんどの特許事務所は初回相談を無料で行っています。依頼したい特許事務所が決まったら、まずは自分の発明に特許の可能性があるのか、相談をしてみましょう。
③調査(先行技術調査)
特許事務所で依頼をする場合、調査も同時に行ってくれるところが多いです。費用は各事務所によってことなりますので確認が必要です。事務所によっては、出願を依頼する場合調査を無料で実施してくれるところもあります。別途費用がかかる場合、調査だけ自分で行うということもできます。
④出願代行依頼
信頼できる特許事務所を見つけ、先行技術調査まで行ったらあとは正式に出願を依頼します。サポートの内容など事務所によって異なるので、担当者としっかりと話し合った上で依頼を出しましょう。
まとめ
特許出願は自分で行うことは制度上可能ですが、非常に難しいとということが割ったかと思います。
弁理士は特許出願のプロです!
そのプロですら、腕に違いがあったり、得意分野があったりする”特許出願”なので、素人が自分で出願するのが非常に危険です。
過去に出願して特許を取った経験があったり、知財部での実務経験がある場合は例外かもしれないですが、まずは特許事務所に相談しましょう。
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