特許出願(申請)の流れ!必要書類や費用など気になるポイントも合わせて解説!

特許の出願はどんな流れで行われるのか、初めての人は検討も付かないと思います。
特許出願の流れはとてもわかりずらいと言われていますが、図解してみるとそこまで複雑ではありません。
ポイントは大きくステップに分けて考えることと、自分がやるべきことは何かを整理して考えることです。
本記事では特許出願の流れを中心に、特許の基本的な情報を解説していきます!
特許事務所に出願を依頼する場合も、事前に流れを押さえておくと打ち合わせがスムーズなので、しっかり確認しておきましょう。
<この記事でわかること>
・特許出願の流れ
・特許取得までにかかる期間
・特許取得までの総額費用
・特許は自分で出せるのか
大まかな特許出願の流れ
特許事務所選び
特許出願で一番初めに行うことは特許事務所選びです。
実はこの特許事務所選びが特許出願において、最も重要です!
特許事務所の選びは行う際は、
- 自分の発明の分野に対応しているか
- 新規の問い合わせを受け付けているか
をホームページなどで確認し、まずは問合せを行います。
問合せ後は、弁理士との初回相談で
- どのような発明なのか
- 特許の可能性がありそうか
- 出願にかかる費用はどれくらいか
などを話し合います。
事務所によって得意な技術分野や費用・サポート内容は異なるので、必ず複数の事務所を見比べるようにしましょう!
特許出願ラボならお客様の発明分野に強い特許事務所に問合せることが可能です。
事務所の得意分野や新規対応可能かなど、自分で調べる必要がないので、簡単に自分にぴったりな特許事務所が見つかります。
お問合せは無料なので、特許事務所選びにご活用ください。

依頼する特許事務所が決まったら
依頼する特許事務所が決まったら、実際に特許を出願する準備に移ります。
特許出願は一般的に以下のフローで行われます。
- ①調査
- ②特許出願
- ③方式審査
- ④出願審査請求
- ⑤実体審査
- ⑥特許料の納付
特許出願のフローチャート

これらのフローを発明者自身または代行依頼を受けた弁理士が行います。
特許の出願代行は弁理士資格を持つ者のみが代行することができます。
①調査
調査とは自分の発明が既に類似のものが特許となっていないか確認する作業で、先行技術調査(特許調査)と呼ばれています。
調査は特許事務所や専門の調査機関に依頼をすることができます。
調査については以下の記事により詳しく記載があるので、気になる人は参照してください。
→特許調査とは?どこに依頼できるかも解説します!
②特許出願
自分の発明に特許取得の可能性がある場合、いよいよ特許出願となります。
特許の出願方法には書類での出願と電子出願の2通り用意されていますが書類で出願した場合、のちに電子化手数料を支払う必要があります。
手数料以外には大きな違いはありません。
※電子化手数料:1,200円+(700円×書面のページ数)
必要書類を揃え、出願したのちに様式のチェックである方式審査を受けます。
この時点で書類に不備があった場合通知されますが、特に不備がなければ特許庁からの通知はありません。
出願時の注意点!
特許の審査は出願しただけでは開始されません。
出願後にされる審査は方式審査のみで、発明自体の審査である実体審査は出願者側から出願審査請求をしなくてはなりません。
必要書類
特許の出願には以下の5つの書類の提出が必要です。
- 特許願(願書)
- 特許請求の範囲
- 明細書
- 図面
- 要約書
これらの書類のフォーマットは以下からダウンロードが可能です。
→知的財産相談・支援ポータルサイト
特許出願書類の書き方についてはこちらの記事で細かく解説しています。
→特許出願の必要書類と書き方!弁理士が徹底解説します!
実際は弁理士が記載をするので、このような書類が必要ということだけ認識しておきましょう。
③方式審査
方式審査とは、出願人が提出した出願書類に不備がないかどうかをチェックする審査のことを指します。
この調査はあくまで書類の形式的な審査であり、発明の内容が特許になるかどうかを審査するものではありません。
補正命令・却下処分(書類に不備があった場合)
方式審査の結果、書類に不備があった場合は特許庁から補正命令の通知が届きます。
出願人は指定期間以内に、出願内容を補正する書類である、補正書を作成し提出する必要があります。
補正書もこちらのリンクからダウンロードが可能です。
→知的財産相談・支援ポータルサイト
期間を過ぎてしまうと、却下処分となってしまいますので注意が必要です。
④出願審査請求
出願審査請求とは発明の具体的な内容について、特許庁に審査を行ってもらうために行う手続きのことです。
この出願審査請求は実際に出願してから3年以内に行う必要があり、3年を経過してしまうとその出願は無効となってしまいます。
一般的に急いで権利化をする必要がない場合、他者に同じ内容の発明を権利化されることを防ぐため、出願だけ行っておく企業も多くあります。
審査請求率は?出願のみでも意味がある?
特許庁の調べによると、出願審査請求率は70%前後で、30%の発明は出願だけ行われた状態となっているようです。
(参照:特許庁特許行政年次報告書)
30%の出願していない発明ですが、出願だけでも意味があるのでしょうか。
出願された発明は「特許出願中」といった扱いになります。
商品であればパッケージに記載することができますし、信頼度が上がるメリットがります。
商品ではない場合でも、既に出願された発明は他者が特許を出願することができません。
そのため競合への牽制といった意味でも効果があるでしょう。
審査請求時に必要な書類
- 出願審査請求書
出願審査を依頼する書類です。様式は下記からダウンロードが可能です。
→出願審査請求書フォーマット
詳細は特許庁のHPでも記載があります。
→特許庁HP
⑤実体審査
実体審査とは、出願された発明が特許になるかどうかを判断する審査のことを指します。
この実体審査は、出願審査請求をした場合にのみ行われます。
特許の要件と審査基準のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→特許になる発明は?特許の要件についてもわかりやすく解説します!
実体審査の期間
審査期間は発明の内容によって異なりますが、審査請求をしてから何らかの通知があるまでの平均期間は、9.3か月と特許庁のHPでは記されています。
これは拒絶された通知を含む、期間となっていますので、一度拒絶された場合は特許が権利化するまで更に時間がかかります。
権利化または、拒絶と決定するまでの「最終処分までの期間」は平均14.1か月となっています。
特許の審査はすぐに結果が来るものではないので、権利化を考える場合、なるべく早く出願することをお勧めします。
早期審査制度
特許の審査には「早期審査」という制度があります。
これは早く権利を取得しなければならない出願者を助ける制度となっており、所定の要件を満たした場合のみ早期審査を受けることができます。
一般的には中小企業や個人事業主の特許出願人がこの制度を利用する場合が多くなっています。
また早期審査を行うのに費用はかかりません。
早期審査制度の必要書類
- 早期審査に関する事情説明書
早期審査制度を利用するためには、早期審査を申請する事情、先行技術文献の開示及び対比説明などを記した、「早期審査に関する事情説明書」の提出が必要です。
特許事務所に代理で作成してもらうことも可能です。
早期審査をした場合の審査期間
発明により異なりますが、特許庁の公表では、早期審査の申請から平均3か月以下には何らかの通知が出願者に送られています。
大幅に審査期間を短縮できる制度のなので、権利化を急ぐ場合積極的に利用するようにしましょう。
拒絶理由通知(拒絶された場合)
拒絶理由通知とは、実体審査の結果、出願された発明が特許にならないと判断した場合に出願人に拒絶の理由を通知することを指します。
拒絶理由通知が来た場合、意見書・手続補正書を提出して拒絶の理由を解消させることにより、審査を覆すことができます。
拒絶理由通知には
- 最初の拒絶理由通知(初回)
- 最後の拒絶理由通知(2回目)
があります。
拒絶理由通知が来た時の対処方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
→どうすればいい?特許の拒絶理由通知と拒絶査定の対処法
拒絶査定と拒絶査定不服審判
最後の拒絶理由通知に対して意見書・手続補正書を提出しても審査が覆らなかった場合が拒絶査定となります。
拒絶査定に対しては、拒絶査定不服審判を求めることができますが、請求項の数に応じた所定の手数料が発生します。
判定を覆す見込みがなければ無駄になってしまうので、弁理士に相談するのが良いでしょう。
⑥特許料の納付
審査を経て特許査定となった場合、特許料の納付が必要となります。
特許料を納付した後に、特許権設定登録、特許証発行を経て晴れて権利化となります。
費用(納付額)
特許の場合、初回納付時に、第1年分から第3年分を一時に納付しなくてはなりません。
費用は3年分×(2,100円+請求項の数×200円)となっています。
納付期限
特許料は特許(登録)査定の謄本が送達されてから、30日以内に納付を行う必要があります。
特許料(特許年金)についての詳細はこちらの記事で解説しています。
→特許年金とは?具体的にかかる金額も徹底解説します!
特許取得までどれくらいの期間がかかる?

特許の取得は平均14ヶ月です。
早期審査制度を利用すると、審査期間が約9ヶ月から約3ヶ月に早まるので、だいたい8ヶ月くらいで取れる計算となります。
また特許には出願公開制度というものがあります。
この制度によって出願された発明は、出願より1年6ヶ月で公開されます。
(インターネットで見れるようになるのは1年8ヶ月と言われています。)
特許の公開とは?
出願公開制度とは出願された特許が権利化されるかどうかに関わらず、
特許公開公報に出願した書類全てが公開される制度です。
この制度の目的は以下の2つです。
- 同じ内容の出願を防ぐため
- 世の中の技術発展に貢献するため
特許の公開についてはこちらの記事で細かく解説をしています。
→特許の公開とは?登録とはどう違う?
特許取得にかかる費用
特許出願にかかる費用相場はおおよそ60万円です。
費用は以下のように2つに大きく分かれます
- 特許庁に支払う費用
- 特許事務所に支払う費用
細かい内訳は以下の通りです。
特許庁へ支払う費用 | 特許事務所へ支払う費用(平均) | |
出願時 | ¥14,000 | ¥300,237 |
審査請求時 | 138,000円+(請求項の数×4,000円) | – |
特許登録時 | ¥6,900(三年分) | ¥118,445 |
小計 | ¥162,900 | ¥418,682 |
合計 | ¥581,582 |
特許庁のHPでは「手続料金計算システム」を公開していますので
詳しくはこちらをチャックしておきましょう。
→特許庁HP
特許事務所に支払う費用含め、細かな費用についてはこちらの記事で解説をしています。
→徹底解説!特許出願にかかる費用と相場
特許は自分でも出せる?(個人出願)
「特許は自分でも出せるか」という質問をよく目にしますが、出せるが現実的ではないという回答が正しいでしょう。
弁理士並みに知財に関する知識があり、発明の分野に詳しく、ビジネスにも明るいという人であれば、自分で出願ができると思います。
しかし上記の知識の一つでもかけていると、特許が取れないまたは弱い特許(範囲が狭い特許)しか取れないということになってしまいます。
特許の出願はプロに任せるのが一番です!
特許事務所に代行を依頼する場合
特許の出願に関する業務は特許事務所(弁理士)への代行を依頼することが可能です。
しかし、特許事務所ならどこでも良いと言うわけではありません。
特許事務所によって所属する弁理士の腕は様々です。
また弁理士には分野に得手不得手があります。
しっかりと自分の発明に合っていて、ビジネスに明るい弁理士に出願を依頼しましょう。
特許事務所の選びかたに関する記事はこちら
→特許は弁理士選びで全てが決まります!
特許事務所(弁理士)選びにはどれくらい時間がかかる?
発明の内容や企業の状況によりますが、事務所選びには1~3週間かかる企業がほとんどです。
(※特許出願ラボ調べ)
商品の発売時期やサービスの開始時期に合ったスケジュールで出願が進められる様に、余裕を持って準備をしておきましょう。
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