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位置商標とは?現役弁理士が簡単に解説します。

位置商標

位置商標という言葉を最近聞いたけど、何なのかわからない。とお悩みの方もいらっしゃると思います。

位置商標は、動き商標と同様に2015年に導入された比較的新しいタイプの商標です。

位置商標を有効に利用することで、他社に対するブランドを確保することができます。

本記事では、位置商標とは何か、また、簡単な類否判断の方法についてもご紹介いたします。
ある程度理解をしたら、あとは弁理士に相談しましょう!

そもそも商標とは?

商標とは、「ネーミング」に該当する部分と、その「ネーミング」で使用する商品・サービス(商品は目に見えるもの・サービスは目に見えないもの)に該当する部分を組み合わせることで成立します。

例えば、ネーミング「無印良品」は、第28類で「おもちゃ」で商標を取得しております。

したがって、上記商標を保有している株式会社良品企画以外は、上記ネーミングと上記商品の組み合わせを使用すると、商標権を侵害することになります。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1993-067627/76253533C770749B70D8CC42ED3B95424C217906189198D02F450BB44FA79770/40/ja

商標の種類

今回、ご説明する「位置」以外にも、文字・図形・色・音等の様々な種類の商標があります。

商標の種類とは?種類や役割をわかりやすく解説!

新しいタイプの商標とは

従前は、新聞や雑誌等の紙に対して文字や図形を掲載することで、商品及びサービスの認知度の向上を図ってきました。しかし、スマートフォンやPC等のデバイスの発達やインターネット環境の充実化に伴い、今までの紙に限らない形で商品及びサービスを提供することが増加してきました。

このような実情から新しいタイプの商標が2015年に導入される運びになりました。

このタイプは大別すると、5つになります。

1)位置

位置商標とは、図形等が商品の特定の位置にある図形です。

2)色彩のみからなる商標

色彩のみからなる商標とは、輪郭のない色彩のみからなる図形です。
色彩のみからなる商標とは?現役弁理士が簡単に解説します。

3)ホログラム

ホログラム商標とは、図形が見る角度等によって、変化してみえるもの図形や写真です。
ホログラム商標とは?現役弁理士が簡単に解説します。

4)動き

動き商標とは、時間の経過に伴って、変化する文字や図形です。
動き商標とは?現役弁理士が徹底解説します

5)音

音商標とは、TVCM等で使用されるサウンドロゴです。
意外と身近な音商標!具体例も併せて徹底解説!

位置商標

位置商標が導入された背景について説明します。例えば、デニムを購入すると、ポケットにあるステッチ部分により、他のデニムとの差別化を図っています。同様に、ペットボトルの側面にも特定の色や模様を施すことで、他のペットボトルとの差別化を図ることができます。つまり、商品ごとに異なりますが、特定の位置に付された図形や色等が商標として機能していることになります。

位置商標とは、「図形等が商品の特定の位置にあるもの」になります。

ここであるものとは、図形や模様等が含まれます。

位置商標 具体例

以下に具体例を説明します。

(1)商標登録第6424592号 大日本除蟲菊株式会社

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-073608/B3514C5FEDA546926EA9D730EFE189AC883B7A447B6A5D17AFAC4F592CF12A37/40/ja

容器の胴体の下半分の周縁に、上から青色と白色の縦長三角形状の図形がそれぞれ交互に連続する図形、当該図形の下方に同じく青色と白色の縦長三角形状の図形がそれぞれ交互に連続する図形、当該図形の下方から下端縁部にかけて付された青色の横帯状図形とを組み合わせた図形からなります。

→これらの説明は、商標登録願に記載された「商標の詳細な説明」からも確認できます。

(2)商標登録第6118238号  株式会社ニコン 

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2015-030285/F699AD4383292B96A174B7760A21478EBAD398AC73B55F7152A7C7F83A32B8EB/40/ja

カメラ又はデジタルカメラの前面グリップ部上部に付された図形からなります。

→これらの説明は、商標登録願に記載された「商標の詳細な説明」からも確認できます。

位置商標を取得するときのポイント

①:商標欄には、願書に記載した商標が、商標に係る標章を実線で描き、その他の部分を破線で描くこと等により、標章及びそれに付する商品中の位置が特定できるように表示する必要があります。更に、一又は異なる二以上の図又は写真を用いる必要があります。

認められる場合

認められない場合

左右の図で色彩が付されている位置が異なるため、このような場合は位置商標として認められません。

参考:

https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/newtype/document/new_shouhyou_video/01.pdf

②:商標出願人側の意思として、商標記載欄の下に【位置商標】を記載します。

③:②で記載した位置商標の下に、商標の詳細な説明を記載します。

つまり、「位置商標」を構成する標章及びこの標章に付する商品等における位置(部位の名称等)について具体的かつ明確な説明を記載する必要があります。

例)

①商標登録を受けようとする商標は、標章を付する位置が特定された位置商標であり、包丁の柄の中央部分の周縁に付された図形からなる。なお、包丁の刃及び柄の部分の破線は、商品の形状の一例等を示したものであり、商標を構成する要素ではない。

位置商標 メリット

位置商標を取得するメリットは主に下記の点です。

  • 商品の特徴的なデザインを保護できる。

商品の特徴的なデザインを保護できる。

商品の外観に表現されるため、商品において、特徴的なデザインを位置商標で保護することができます。

破線と実線を使い分けることで、商品全体ではなく、より特徴的な図形や模様に対してのみを選定して、商標権の取得をすることができるため、他社からすると、回避が難しくなります。

例えば、図形商標の場合ですと、その商品全体の形状を変更することで、その図形商標の類似範囲から外れることができましたが、位置商標の場合は、商品全体の形状を変更してもその図形を使用していたら、商標権の侵害になりますので、回避するのが困難になります。

位置商標 類否判断

位置商標における類否判断を説明します。

商標全体として考察します。

  • 位置商標を構成する文字や図形等の標章とその標章が付されている位置とを総合して、商標全体として考察します。
  • 位置は、商標の識別力に影響を与える要素に過ぎないため、位置のみでは識別力がないため、位置のみによる類否判断は行いません。

①位置商標同士における類否について 

・商品に付されている位置等によって、消費者に対して与える印象等を総合して考察する必要があります。

例)原則として類似する場合

・標章が同一又は類似であれば、その標章を付する位置が異なっていたとしても、原則としては、類似します。

例)指定商品 28類 卓球のラケット

②位置商標と図形商標との類否について

・位置商標を構成する標章が要部として抽出されない場合は、消費者に対して与える印象等を総合して考察する必要があります。

・位置商標を構成する標章が要部として抽出される場合は、標章が同一又は類似の図形商標等とは、原則としては、類似します。

例)指定商品 28類 ラケット

  •  左 位置商標
  •  右 図形商標

図形商標の検索方法

j-platpatを使った調べ方

j-platpatでの調査方法を紹介します。

商標で「商標検索」を選択します。

この状態で、「検索オプション」の「開く+」ボタンを押します。

開いた状態で、「位置商標」にチェックを入れます。

この状態で、検索ボタンを押します。

まとめ

位置商標は理解いただけたでしょうか。今後、デザイン面での保護を行う場合において、利用の場面がますます広がっていくとおいますので、積極的に位置商標を出願していきましょう。不明点があれば専門家である弁理士に相談してみてください。

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