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先行技術調査とは?重要性や費用についても解説します。

先行技術調査

知財部では、特許調査は避けて通れない重要な業務です!

しかし、調査業務と言っても、調査にはいくつかの種類があり、目的に合った調査をしなければいけません。

本記事では特許を出願しようとする際に行う「先行技術調査」の重要性について解説いたします!

先行技術調査とは?

先行技術調査とは、出願しようとする発明が既に出願されていたり、公開されている技術でないかを調べる調査です。

先行技術調査を行うことで、出願したい発明が特許になるものなのか、拒絶理由が出されるものなのかの判断をすることができます。

先行技術調査はなぜ必要?メリットは?

それでは、なぜ先行技術調査を行う必要があるのでしょうか?

先行技術調査を行うメリットには

  • 無駄な出願を減らし、コストを削減できる
  • 改良商品(技術)が生まれる
  • 明細書の内容をブラッシュアップできる

などがあります。

無駄な出願を減らし、コストを削減できる

発明者が、これは新しい発明だ!と思っても、先行技術調査をしてみたところ、先行技術文献が存在したと言うことはよくある話です。

先行技術調査をしなければ、この出願は審査段階で先行文献が発見されて拒絶理由通知が出されることになるでしょう。権利化の可能性も低くなります。

このように、先行技術調査を行うことで、無駄になってしまう出願を防止することができます。出願費用、審査請求費用も安くはありませんので、コスト削減にも繋がります。

改良商品(技術)が生まれる

先行技術調査を行うことにより、発明に新規性や進歩性がないと言うことが分かってしまうこともあると思います。

しかし、これで出願できないと決まったわけではありません。

先行技術文献が見つかったのですから、そこから発明を改良して、新しい発明が生まれるかもしれません!

明細書の内容をブラッシュアップできる

出願をする際、先行技術文献があると、明細書作成に大変役に立ちます。

特に、初めて出願する技術内容に関しては、一から技術を調べて明細書を作成するよりも、先行技術文献がある方が参考になり、内容を充実させることができるでしょう。

また、先行技術文献と出願する発明との差を明確に主張することができます。

特許調査はどこに頼める?費用相場は?

簡易的な調査であれば自分ですることもできますが、本格的に調査をするとなると精度の面で不十分なこともあります。

そのような場合は、専門の調査機関に調査を依頼することができます。

また、特許事務所でも調査を行なってくれるところもありますので、特許事務所に相談するのも良いでしょう。

調査を外部委託する場合の費用

特許調査を外部委託する場合、もちろん費用がかかります。

一般的に5万〜30万円程度と言われています。

簡易的な技術調査なのか、先行技術調査なのか、抵触調査なのかなど、調査内容によって金額は大幅に変わりますので、調査を依頼する際は料金の確認をお忘れなく!

外部委託するメリットは?

先ほどご説明しましたように、調査を外部委託する場合には費用がかかります。

しかし、費用を支払うだけのメリットがあります。

特許調査を行う専門の調査会社や特許事務所は、

  • 特許法や審査基準などの法律的知識
  • 技術的な基礎知識
  • 調査経験に基づく蓄積されたノウハウ

を備えています。

発明のポイントを的確にとらえ、適切な検索式を作り、効率的な調査をしてくれます。

自社での特許調査に不安な場合や、調査会社や弁理士の専門的な見解を必要とする場合は、調査依頼をご検討されてみてはいかがでしょうか。

先行技術調査は自分でできる?

先行技術調査は特許の検索システムを用いて行います。

抜けや漏れのないしっかりした調査を行うためには、長年の経験や知識、コツなどが必要です。

知財部であれば検索システムや調査の仕方については知っておく必要がありますので、以下にご紹介いたします!

特許検索システム「J -PlatPat」

J -PlatPatは、独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供している無料の検索サービスです。

特許・実用新案・商標・意匠・審判が検索対象となっており、検索式を作って検索する他、各種番号や日付での検索もできます。

有料の検索システムを導入されていない企業においては、こちらで無料の調査が可能ですので、是非ご利用下さい!

J -PlatPat▶︎​​https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

検索方法についてはこちら▶︎https://tokkyo-lab.com/co/info-patentsearchog

キーワード・特許分類を調べてみよう

先行技術を調査する際、少ないキーワードだけで検索を行うと、調査結果に抜けや漏れが生じてしまう可能性があります。

キーワードとしては、同義語や類義語なども含めて検索する必要があります。

ただ、キーワードが増えることにより、検索結果の数も増えると共に、ノイズも増えてきます。そこで役に立つのが特許分類なのです。

特許分類には

  • IPC(国際特許分類)
  • FI
  • Fターム

があります。

特許分類は、公開公報や特許公報に記載されています。

調べたい技術内容を簡易的に検索し、類似する公報が発見できた場合は、その公報に記載されている特許分類を参考に調査を行うのがおすすめです。

また、J -PlatPatでも特許分類を検索することができます。

J -PlatPat・特許・実用新案分類照会▶︎​​https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

検索式を考えてみよう

J -PlatPatの検索ページで検索をするために、検索式を考えてみましょう。

キーワードだけではなく特許分類とのAND検索などを行い、調査対象により関連する文献だけを効率よく探せるようにしましょう!

もちろん、1回の検索で成功するものではありません。

検索結果に、関連する文献が入ってくるように、色々な検索式をたてて検索し、何度も試してみることが大切です!

調査にはどんな種類がある?

特許の調査業務は先行技術調査の他に

  • 技術動向調査
  • 審査請求前調査
  • 侵害予防調査
  • 無効資料調査
  • SDI調査

があります。

目的に合った調査をしなければ、必要な結果が得られないこともあります。

各調査業務がどんなものなのか、簡単にご紹介します!

技術動向調査

他社の技術や開発の動向を調べるための調査です。

出願状況や内容を分析することで、他社の開発分野を知ることができます。これを知ることで、自社の新規開発分野を見つける参考にもなります。

私の勤めた企業では、開発部門から、

  • このような問題があって、このような方法で解決したいが、他に方法はあるのか?
  • このような技術の特許を出しているところはあるのか?

などの問い合わせがあります。

そういった場合には、他社出願で類似の技術をピックアップして開発部門へ提示しました。

他社の技術を知ることでより良い自社の技術開発に繋がります!

審査請求前調査

審査請求前に、発明に新規性や進歩性があるか否かを調べる調査です。
既に出願された発明に対して行う調査ですので、特許請求の範囲に対応した調査を行います。

出願前調査も審査請求前調査も、広い意味では同じような調査を行う「先行技術調査」です。

しかし、出願前調査と審査請求前調査とでは、調査対象が異なります。

出願前調査では、まだ発案段階で特許請求の範囲が確定していないため、調査も大まかなものとながちですが、審査請求前調査は

出願した特許請求の範囲に対する調査

となり、出願前調査よりも更に的確な調査を行えます。

調査の末、特許にならなそう….となった場合

審査請求前に調査を行い、特許にならなそうな(新規性や進歩性を否定するような文献が発見された)場合は、

  • 審査請求を行わない・・・コスト削減
  • 自発補正を行う・・・先行技術との差を明確化

などのメリットがあります。

私が勤めた企業では、審査請求期限の一定期間前に全ての案件において審査請求前調査を行なっていました。

また、調査は行わず、審査請求期限時点において、既に今後活用できなそうな技術、規定や規則により実施できないような技術など、特許化する必要のないと判断できるものは審査請求を行わないという判断をする場合もあります。

侵害予防調査

自社で開発中の技術や製品や、すでに販売している製品が他社の権利を侵害していないかを調べる調査です。

他社の権利を侵害しているとなれば、訴訟に発展する可能性もありますので、トラブルを未然に防ぐために、とても重要な調査です。

抵触調査、クリアランス調査、FTO調査などとも呼ばれます。

私が勤めた企業では、新製品に対し、他社権利を実施していないかどうかの調査を定期的に行なっていました。

具体的には、自社製品をよく知る開発部門と、特許をよく知る知財部門とで連携して、抵触・非抵触の判断を行なっていました。

抵触判断は難しいため、弁理士への鑑定をお願いすることもあります。

関連記事

重要!クリアランス調査(FTO調査)と依頼先!

無効資料調査

事業を行うにあたって障害となる、または障害になるかもしれない特許を無効化するための調査です。

問題となりそうな特許の出願日より前に公知となっている特許文献や技術誌などを探します。

私が勤めた企業では、実際侵害訴訟を提起されたため、無効資料調査を行い無効審判を起こしました。

また、その経験から、訴訟の危険のある競合他社の特許については全件無効調査を行いその後の訴訟に備えていました。

SDI調査

毎週発行される新しい公開公報や特許公報を継続的に監視する調査です。

予め検索式を決めておき、この検索式に基づいて、毎週、合致する文献が抽出されるようにしておきます。ウオッチング調査とも呼ばれます。

私が勤めた企業では、契約している特許検索システムのSDI配信機能を使い、ピックアップされた公報の内容を毎週確認していました。

その際、その公報の概要や自社製品との対比などのコメントを残しておき、危険な案件の動向をチェックするようにしていました。

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技術動向調査とは?弁理士が詳しく解説します!

まとめ

先行技術調査を行うことで、

  • 無駄な出願の防止
  • 改良発明が生まれる
  • 明細書の内容が充実する

などの、メリットがあることをご説明しました。

先行技術調査を行なったら先行文献が見つかってしまった!

と言うのは、残念と思うのではなく、むしろラッキーと思っても過言ではありません。

先行文献と全く差異のない発明でしたら、出願を断念することで出願に係る時間や費用をなくすことができます。

また、発見された先行技術文献を知ることで新しくアイデアが浮かび、改良発明が生まれるかもしれません。

先行技術調査を行い先行技術を知ることは、権利化の可能性を知るために重要であると共に、無駄なコストを減らすためにもとても重要です。

自社で特許調査が難しい場合は、特許事務所や専門の調査機関に調査を依頼することができますので、その際はぜひご活用ください!

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