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外国出願の費用!PCT出願とパリルートの費用を徹底比較!

日本で特許を出願しただけでは、外国でその権利は使うことができません。
外国で事業を展開する場合や、外国でも自社の技術を模倣されたくないと考えている場合、PCT出願やパリルートを使って特許の外国出願をする必要があります。

今回はPCT出願とパリルートの違いや、かかる費用について解説していこうと思います。

PCT出願とパリルートの違い

PCT出願とは特許協力条約(Patent Cooperation Treaty)という制度が適用されている全世界の153カ国に、まとめて特許を出願することを指します。
PCT加盟国一覧
複数の国に出願できることから、国際特許や国際出願などと言われることもあります。PCT出願は出願した後は、権利を取得したい国へ各国移行という手続きを行う必要があります。

一方でパリルートとは、特許を取得したい国にそれぞれ個別で出願を行う方法です。
日本での特許出願から1年以内に、出願希望国に特許の出願を行う必要があり、
取得したい国の弁理士(特許事務所)に代理人として特許庁に出願をしてもらいます。

2つの出願方法の詳しい違いは以下の記事で解説しています。
→特許の外国出願を徹底解説!PCT出願とパリルートとは?

PCT出願の費用

PCT出願は大まかに分けると、以下の費用が発生します。

出願時・国際出願手数料
・調査手数料
・送付手数料
・国際予備審査請求※
・弁理士費用
(※特許事務所費用)
各国移行時・翻訳費用
・弁理士費用
・現地代理人費用
・現地特許庁費用

上記のように、PCT出願(国際出願)は複数の費用が発生しますので、国内の出願に比べてハードルが高いです。国によって異なりますが、国内出願に比べると確実に費用は高くなるでしょう。

出願時の費用

国際出願手数料152,100円(請求項数により変動)
調査手数料70,000円
送付手数料10,000円
国際予備審査請求(※必須ではない)48,900円
弁理士費用事務所により異なる
合計232,100円〜

PCT出願の場合、出願時に約231,000円+弁理士費用がかかります。
オンラインで申請を行う場合、34,300円の割引が適応されるので、197,800円+弁理士費用で出願を行うことも可能です。
197,800円は日本の特許庁に支払う印紙代となります。

印紙代については特許庁の公開する手続料金計算システムで確認することができます。

請求項数(範囲)によっても異なりますので、一度確認してみましょう。

(https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/jidou-keisan/kokusai.html)

国際予備審査請求とは

国際予備審査請求とは、国際出願( PCT出願)前段階で予備的に審査を行うことです。出願を行う国々の正式な審査を受ける前に、発明の特許権利の可能性や権利化に必要な要素などを具体的に指摘してくれます。

この審査は強制ではなく、希望者が任意で受けることのできる審査です。
請求は日本の特許庁へ行います。

費用については48,900円〜となっていますが、請求項数によっても料金が異なってきます。詳細の料金は国際予備審査請求用の手続料金計算システムで調べることができます。

PCT出願時の弁理士費用

弁理士費用については請求項数や事務所によって異なりますが、おおよそ20万円〜30万円前後となるのが一般的です。こちらの費用は国際出願手数料であり、書類作成料は別途必要となる場合もあるので、詳しい料金は事務所に直接確認をしましょう。

各国移行時の費用

各国移行時に発生する費用には以下の4つが挙げられます。

  • 翻訳費用
  • 弁理士費用(日本の特許事務所費用)
  • 現地代理人費用(取得したい国の特許事務所費用)
  • 現地特許庁費用(出願費用・審査請求費用等)

これらの料金は事務所や出願したい国によって異なります。
詳しくは特許事務所へ確認をお願いします。

米国の特許庁費用(国際出願移行費用)

米国特許庁の費用は2020年10月2日より料金が改定されています。
PCT出願移行費用については$1,660に改定となりました。

中小企業(small entity)に関しては、費用が半額になります。
詳しくは出願時に特許事務所へ相談をしましょう。

請求項数や事務所によっても異なりますが、出願時の費用も合わせて総額で80万円~100万円前後と考えておくとよいでしょう。

欧州の特許庁費用(国際出願移行費用)

欧州に関しては、費用が非常に割高です。
出願国数によって異なりますが、総額として150万円〜200万円となるのが一般的です。

中国の特許庁費用(国際出願移行費用)

中国のPCT国内移行時の料金は約70,000円前後となっています。
この料金は中国の特許庁へ支払う金額であり、翻訳代や現地代理人費用などは別途かかります。

出願から権利取得までの総額は60万円~80万円前後が想定されます。

特許庁に支払う印紙代の料金も、頻繁に改定されるので、しっかりと特許事務所に確認を取るのがよいでしょう。

パリルートの費用

パリルートで出願を行う場合、以下の費用がかかります。

  • 翻訳費用
  • 弁理士費用(日本の特許事務所費用)
  • 現地代理人費用(取得したい国の特許事務所費用)
  • 現地特許庁費用(出願費用・審査請求費用等)

PCT出願(国際出願)の各国移行時とかかってくる費用項目は同じですが、各項目の料金がPCT出願とは異なってきます。

例えば各国の出願手数料は、PCT出願とパリルートでは料金が異なってきます。
弁理士費用に関しても、PCT出願とパリルートでは料金が異なる場合がほとんどでしょう。

米国の特許庁費用(出願費用)

米国特許庁の費用は2020年10月2日より料金が改定されています。
パリルート出願費用については$1,820に改定となりました。

PCT出願とパリルート出願の費用を比較

一般的に出願する国が少ない場合はパリルートの方が安価ですが、3カ国以上出願を行う場合、PCT出願の方が安価になる場合が多いです。

また複数国に出願する場合、手続きに関してもPCT出願の方が手間が少なかったり、翻訳期間を長く確保することができたりするので、PCT出願を選ぶ場合が多いようです。

もちろん出願人の状況や意向などによって状況は異なるので、特許事務所へ弁理士費用の詳細なども含めて確認をしてみましょう。

弁理士があなたの状況に合った、最適な方法を勧めてくれます。

外国への特許出願の際に使える減免制度

外国出願で最もネックとなるのがやはり費用面だと思います。特許庁ではPCT出願の段階で、個人や中小企業・大学法人などが減免を受けることができる制度を用意しています。

対象軽減率
中小企業
研究開発型中小企業
大学法人等(アカデミック・ディスカウント)
独立行政法人 など
1/2に軽減
ベンチャー企業
小規模事業者
1/3に軽減
福島関連中小企業1/4に軽減

条件等の詳細情報は特許庁のHPにて確認することができます。

各国移行時にも減免制度を受けられることも!

アメリカの特許庁は各国移行時に、中小企業が受けることのできる減免制度を用意しています。

アメリカは個人や中小企業をマイクロエンティティとスモールエンティティなどに分類し、マイクロエンティティだと1/4。スモールエンティティだと1/2に減免をしています。

このように、国によっては各国移行時にも減免を受けることができるので、しっかりと弁理士に相談をしましょう。

外国出願用の助成金もある!

特許出願 助成金

特許庁が用意するものとは別に、外国出願に使うことのできる助成金も存在します。いくつか外国出願の費用を助成してくれる事業をご紹介します。

より詳しい情報はこちらの記事で解説しています。
→特許出願の際に使える助成金(補助金)

日本貿易振興機関(JETRO)

JETROでは中小企業等外国出願支援事業を行なっています。

助成内容
  • 助成率:1/2以内
  • 助成限度額:1企業あたり300万円まで
           特許150万円
           実用新案、意匠、商標60万円
           冒認対策商標30万円
  • 助成対象経費:外国特許庁等への納付出願料、代理人費用、翻訳費等


東京都知的財産総合センター

東京都が設立した、都内中小企業の知的財産を支援する期間です。
外国特許出願費用の助成事業を行なっています。

助成内容
  • 助成率:1/2以内
  • 助成限度額:300万円
  • 助成対象経費:外国出願料、弁理士費用、翻訳料、先行技術調査費用、
           国際調査手数料、国際予備審査手数料等

まとめ

特許出願 まとめ

今回は少しややこしい、外国への特許出願費用について紹介しました。

PCT出願(国際出願)やパリルートなどただでさえ複雑な外国出願ですが、各国によって費用がことなったり、必要な手続きも煩雑だったりしていて、記事を読んだだけでは理解するのがとても難しいでしょう。特に弁理士費用に関しては特許事務所に相談をしないことには、詳細がわかりません。

大まかな費用がわかったら、一度特許事務所に相談をしてみることから始めると良いでしょう。

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